ジャンル | RPG |
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ハード | PlayStation 4 Nintendo Switch Steam |
発売日 | 2022年2月17日 |
発売元 | スクウェア・エニックス |
開発元 | エイリム |
公式サイト | リンク |
プレイ時間 | ストーリークリアまで16時間 |
スクウェア・エニックスがおくるRPG「Voice of Cards できそこないの巫女」のレビュー記事です。
TRPG風RPG、Voice of Cardsシリーズの第2弾となる本作。作風やゲームシステムといったベース部分を流用しつつも、別方向に尖ったダークストーリーや、体験が大きく異なる戦闘が楽しめました。前作で不満だった部分も解消されており、よりおすすめしやすくなった作品です。
基本的な部分は前作と変わりないため、このレビュー記事では、前作から変化している点を中心に記載しています。シリーズを未プレイの方は、前作のレビューと併せてチェックしていただけると幸いです。
【Voice of Cards ドラゴンの島】評価・レビュー カードとナレーションだけで構成されたTRPG風RPG
巫女と従者の運命を描いたストーリー
主人公と「巫女」になり損ねたヒロインが旅立つところから始まるストーリーは、様々な「巫女と従者」の絆と、その結末を描いた物語です。島を維持するために課せられた巫女たちの使命は重く、多くの場合で救いのないダークストーリーが展開されます。一見、ハッピーエンドに見える形でも、遠い未来や描かれていない部分を想像すると、暗い気分になってしまう構成でした。
ヒロインは声を失っている境遇ですが、全てをナレーターが物語る本作においては、プレイヤーの体験を損なわない点も面白いです。ありのままを語られるキャラクターたちと失った声を代弁されるヒロイン、異なる表現がアクセントになっていました。
作中には、前作と同じ世界観を匂わせる部分が存在するものの、直接的なつながりはありません。前作・本作、どちらから遊んでも、問題なく楽しめる作りです。
半固定パーティーを工夫で運用するバトル
ターンごとに蓄積するジェムを使い、スキルを発動して戦うシンプルなバトルシステムは据置きです。ただし、パーティー人数が最大3人から4人に増えた代わりに、自由な入替えができなくなりました。主人公とヒロインは固定で、残りの2枠はストーリー進行に合わせて、各島の巫女と従者が参戦します。
半固定パーティーに加えて、各島の巫女と従者は装備固定&レベルアップなしのため、装備品の種類や育成要素は控えめです。参戦したキャラクターたちに合わせて、主人公とヒロインの装備やスキル構成を工夫する遊びになっています。巫女と従者は、それぞれ大きく異なる性能・スキルを持っているので、一定期間ごとにプレイ体験が大きく変化しました。
巫女と従者がどちらも行動可能な場合にのみ使用できる「連携スキル」も大きな特徴です。ジェムの消費量も多く、条件は厳しいものの、破格の性能を持ったスキルばかりでした。パーティー人数が増えたことで、ジェムを貯めやすくなっており、「連携スキル」などのジェム消費数が多いスキルを使いやすくなった点も好印象です。
TRPG風でありながらダイスを振らない乱数要素が健在ということや、遊び方を強要されている感触が強い点は気になったものの、単調になりがちだった前作に比べて高評価でした。
高速化で快適になったゲームスピード
前作では、発売から約2ヶ月後に実装された高速化機能が、本作では最初から実装されています。ほぼ全ての場面でゲームスピードが上昇しており、前作を発売直後にプレイして、通常速度が焦れったいと感じていた方も快適に遊ぶことが可能です。
高速状態では、本来の雰囲気が損なわれたり、音声が不自然になったりする点には注意が必要です。速度変更は設定画面を開かずとも手軽に行えるため、ストーリー進行と通常探索で速度を使い分けることもできました。
さいごに
同じ作風を継承しながらも、ストーリーだけを差し替えた物ではなく、プレイヤーの体験を大きく変えてきたのは好感触でした。前作は気になってしまう部分が多く、2作目の購入を少し迷ったところもありましたが、買って良かったと思える作品です。
2作目を経て3作目ではどのような仕掛けを用いてくるのか、今後の展開も楽しみなシリーズになります。