【Voice of Cards 囚われの魔物】評価・レビュー 人間と魔物の対立を描いたTRPG風RPGシリーズ第3弾

総評
カードとナレーションだけで構成されたユニークなRPG。作風を継承しながらも、魔物をカード化・収集するシステムを取り入れて、新たな面白さが体験できるシリーズ3作目です。復讐劇の先を描いたストーリーも過去作とは異なる雰囲気で好感触でした。
良かったところ
カードだけで表現された世界観
ナレーションで誘導するTRPGの雰囲気
カスタマイズ性の高いバトルシステム
悪かったところ
ストレスを感じたカード収集周り
5
A+
ジャンル RPG
ハード PlayStation 4
Nintendo Switch
Steam
発売日 2022年9月13日
発売元 スクウェア・エニックス
開発元 エイリム
公式サイト リンク
プレイ時間 ストーリークリアまで11時間

 スクウェア・エニックスがおくるRPG「Voice of Cards 囚われの魔物」のレビュー記事です。

 TRPG風RPG、Voice of Cardsシリーズの第3弾となる本作。作風を継承しながらも、初の女性主人公&ゲームマスターによる物語や、魔物のカード化&収集システムの導入で差別化が図られていました。魔物のカード化に関わるドロップ面の仕様や、アイテム周りについて気になる部分はあったものの、シリーズとして安定した面白さを体験できる作品です。

 基本的な部分は過去作と変わりないため、このレビュー記事では、前作から変化している点を中心に記載しています。シリーズを未プレイの方は、前作のレビューと併せてチェックしていただけると幸いです。

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復讐劇の先を描いたストーリー

 全てをカードで表現する作風やダークテイストは継承しながらも、初めての女性主人公&ゲームマスター体制で、雰囲気は大きく異なりました。更に、過去作では最初から明確な目的が存在していたのに対して、今作は復讐を果たした先に続く物語が描かれる点も特徴的です。

 序盤は、村を滅ぼされた主人公が復讐のために戦う重い展開ですが、復讐劇は早々に一段落を迎えます。以降は、魔物に対して思い思いの考え・境遇を持った主人公たちが、人と魔物が対立している世界において、様々な体験や真実に向き合うストーリーです。

 壮大な目標がないためか、過去作に比べて少し地味な物語になっています。シリーズ作品のストーリーや世界観はそれぞれ独立しており、どの作品から遊んでも楽しめる内容ですが、どちらかと言えば本作は2本目以降におすすめしたい作品でした。

魔物のカード化を取り入れたバトルシステム

 本作の戦闘では、従来のカードゲーム風バトルに加えて、魔物をカード化してスキルにするシステムが追加されました。スキルは自由に付け替え可能で、1キャラクターに最大5枚までセットできるため、カスタマイズ性の高いパーティーメイクが行えます。

 同じスキルでも、ランクが存在している点が、パーティーメイクの幅を更に広げていました。ランクによって生じる変化はカードによって異なり、純粋に性能が高くなる物から、使用コストの減少やダイスロールの条件が緩和されるなど様々です。低ランクでは使いづらいカードが、高ランクになると化けるパターンもありました。

 スキルカードの組合せでカスタマイズ性が高い反面、各キャラクターの個性は控えめです。パッシブスキルやステータスで差を設けているものの、固有のアクティブスキルは0コストの1種類に限られます。魔物カードの演出はシンプルな物が多いため、戦闘中の表現はかなり地味に感じました。

もう一工夫が欲しかったカード収集周り

 魔物カードの収集は、低確率で敵からドロップする形式となっており、3個の宝箱から選択するシステムが流用されています。過去作では、消費・換金アイテムしか手に入らなかったので気にもとめない仕様でしたが、カードが混在したことでストレスを感じた点は残念でした。

 そもそも宝箱が落ちるかどうか運次第で、更に3択を経て獲得する二重の運試しです。選択後に、選ばなかった宝箱も開かれますが、選択を外した。最初から当たりなしだった。と開示されるだけで、精神衛生上マイナスしかありません。同じカードは1枚しか所有できず、同ランク以下を獲得しても無意味なのでなおさらです。

 一応、運頼みを緩和するため、ドロップ率上昇・確定アイテムが新規実装されています。中盤以降は店売りされているため、道具屋へ立ち寄る度に所持数限界まで購入を繰り返しました。結果、アイテムの売買・管理が煩雑になったり、戦闘の度にドロップ率増加アイテムを使うことになったりと、少し手間に感じたので、この辺りはもう一工夫が欲しかったです。

さいごに

 シリーズの新作が発売される度、似て非なる面白さを楽しめて、3作目になると購入にも安心を覚える作品でした。1年間で3本とコンスタントに発売されており、今後の展開にも期待です。