ジャンル | フィットネスアドベンチャーゲーム |
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ハード | Nintendo Switch |
発売日 | 2019年10月18日 |
発売元 | 任天堂 |
開発元 | 任天堂 |
公式サイト | リンク |
任天堂がおくるフィットネスアドベンチャー「リングフィットアドベンチャー」のレビュー記事です。
リングコンとレッグバンドを装備して、身体を動かしながら冒険に挑む本作。筋トレやヨガなど、40種類以上のトレーニングが用意されており、運動不足解消だけでなく、全身を鍛えられるゲームです。長大なボリュームのストーリーに加えて、経験値によるレベルアップ・スキル獲得といった育成要素も存在しており、ゲーム内外の両方で成長を体感することができました。黙々と運動をするのがつらく、ゲーム感覚で身体を動かしたい人におすすめです。
運動の区切りが1ステージ10分前後と大まかで、運動量を調整しにくい点には注意しなければなりません。事前に運動時間を決めたり、キリの良いところで終わらせたりするのが難しいため、日常的に軽く運動を行いたい人には、少し不向きな印象でした。全てのフィットスキル(トレーニング)を利用する場合、適度なスペースも求められます。もちろん、ゲーム感覚で運動できるとはいえ、楽に鍛えられるというわけではなく、しっかり運動するには本人のやる気も求められる作品です。
ストーリーや育成要素でモチベーションをサポート
ゲームのメインとなる「アドベンチャーモード」は、毎日30分のプレイでクリアまで3ヶ月以上は掛かる、長期間のフィットネス・プログラムです。身体を動かしてプレイする仕様上、クリアまでに掛かる時間の振れ幅は少なく、誰がプレイしても同程度のボリュームを楽しめます。ストーリー自体は王道的で、少しワンパターンな展開の繰り返しも多いです。しかし、相棒と一緒に様々なワールド・コースに挑む大冒険は、モチベーションの維持に一役買っていました。
ストーリーに沿って運動するだけでなく、自分の分身であるキャラクターを育成する要素も存在します。運動を行ったり、敵を倒したりすることで経験値を獲得して、一定値でレベルが上がっていく形式です。レベルアップやスキルツリーを伸ばすことで、新しいフィットスキル(トレーニング)の獲得につながり、遊びの幅も広がっていきます。実際に自分の身体を動かしていることもあって、プレイを継続することで、ゲーム内外の両方から成長を体感できました。
40種類以上の豊富なスキルで戦うフィットバトル
敵とのバトルで使用するフィットスキル(トレーニング)は、リングコンを使った筋トレだけでなく、ステップ・スクワット系や床で行う運動など、総数は40種類以上です。スキルごとに、攻撃力・攻撃範囲・属性・クールタイムが設定されており、ステージに適したスキルをセット・使用することで、全身をバランス良く鍛えられる仕組みでした。
楽しくトレーニングが行えるよう、全体的に難易度は控えめですが、ゲームらしい面白さが随所に組み込まれていました。広範囲だが低威力のスキルと、単体攻撃で高威力のスキルを使い分けたり、アイテムを使って一時的な強化を得たりといった要素も存在します。また、スキルごとにリングコンやレッグバンドの反応、画面の演出が発生するので、運動の実感を得やすい点も好感触でした。
スキルの中にはかなりきつめのトレーニングもあるので、運動不足解消やダイエット以上の、ハードに身体を鍛えたい方のニーズにも応えています。同じスキルでも、運動負荷の設定によって運動量を調整できる点も良かったです。定期的に運動負荷の調整・確認が行われるので、常にちょうど良い負荷で運動を行えました。
運動の区切りが大まかでちょうどよく遊ぶのは難しい
アドベンチャーモードはステージ単位でのプレイになっており、1ステージに掛かる時間や運動量は、実際に挑戦してみるまで大まかにしか分かりません。そのため、1~2ステージ遊んで、『もう少し身体を動かしたい』と次のステージに挑戦したら、想像していたよりも物足りないことや、逆に運動量が多すぎてしんどいと感じるパターンが目立ちました。毎回、長時間のプレイを行うなら誤差の範囲ですが、日常的に軽い運動をアドベンチャーモードで継続するのは、少し難しいです。
私の場合、ストーリーの進行で程よい運動ができず、短時間の戦闘を繰り返す「バトルジム」に籠もる時期もありました。バトルジムは1セット2~3分で、密度の高い運動を行えるため、自分のペースで遊びやすかったです。レベルもどんどん上がるため、高いレベル差で「苦戦」という不確定要素を排除してからストーリーの攻略を再開しました。
一応、アドベンチャーモード以外にも、好きな運動を組み合わせて自分だけのメニューをプレイするモード「カスタム」が用意されています。経験値の獲得などはないので、ゲーム性は薄れているものの、ストイックに鍛えたい方には最適です。
快適に遊ぶためにはスペースや服装にも注意
床で行うトレーニングも存在するため、全てのスキルを使いこなすには、一般的なエクササイズフロアマットが敷けるくらいのスペースが必要です。セットするスキルを絞れば狭いスペースでも遊べますが、ゲームとしても運動としても非効率ですし、ステージによってはスキルが固定される場合もあります。
また、ジャージやスウェットなど、余裕のある服装でプレイすると、激しい運動でレッグバンドがズレてしまうことも多かったです。かなりきつめに付けておかないと、うまく判定が行われないこともあります。何日かプレイして、若干のストレスを感じてしまったため、私はフィットするスポーツウェアを購入して、本作のプレイ時には着替えるようにしていました。
さいごに
私はふだんから定期的に運動を行っており、毎回一定の運動量を求めているタイプだったので、少しスタイルに合わない部分がありました。途中、程よい運動ができずにストーリー進行が止まってしまったこともあって、少し評価も低めに付けています。とはいえ、フィットネスゲームとしては十分な完成度であるため、これから運動を始めようという方には、導入としておすすめしやすい作品です。