【Life is Strange 2(ライフ イズ ストレンジ 2) | PS4】評価・レビュー 正解のない選択を積み重ねて物語を決めるアドベンチャー

総評
若き兄弟の逃避行を描いたアドベンチャー。選択の積み重ねによって多彩に変化するストーリーは、プレイヤーの感情移入を強く誘う作品です。
良かったところ
思わず感情移入してしまう物語
選択の積み重ねで変化する人生
5
A+
ジャンル アドベンチャー
ハード PlayStation 4
Xbox One
Steam
発売日 2020年3月26日
発売元 スクウェア・エニックス
開発元 DONTNOD Entertainment
公式サイト リンク
プレイ時間 ストーリークリアまで13時間

 DONTNOD Entertainmentがおくるアドベンチャー「Life is Strange 2(ライフ イズ ストレンジ 2)」のレビュー記事です。

 不幸な出来事によって始まる、若き兄弟の逃避行を描いた本作。全5エピソードの物語は、想像していたよりも遙かに過酷で、劇的な内容でした。プレイヤーの選択が兄弟に与える影響も大きく、選択を積み重ねていくうちに、強く感情移入していたことも特徴的です。意外な展開から、選択を後悔することはあっても、ゲーム的にやり直すのではなく、受け入れて乗り越えようと考えさせられてしまう作品でした。

 なお、ナンバリング2作目ですが、どちらから遊び始めても楽しめる作りになっているので、シリーズが初めての方でも安心です。

若き兄弟の逃避行を描いたストーリー

 ストーリーは、 とある不幸な出来事によって、アメリカ「シアトル」からメキシコ「プエルト・ロボス」までの逃避行を行う、若き兄弟を中心に展開していきます。全5エピソードに分かれる内容は、想像していたよりも遙かに過酷で、単なるスタート地点とゴール地点を結ぶ旅路には収まりません。兄の葛藤や、弟に秘められた超常的な力など、様々なドラマが兄弟を待ち受けていました。

 プレイヤーは兄のショーンを操作することになりますが、多くの場面で幼い弟のダニエルに振り回されてしまいます。良くも悪くも子供らしいだけでなく、超能力(テレキネシス)を操れるダニエルを、兄として導かなければなりません。時には言い争い、憎たらしくも感じる弟の存在ですが、兄弟が離ればなれになってしまうエピソードでは、自分が思っていた以上に感情移入していたと気付く場面もありました。

 ネタバレになるため詳細は語れないものの、兄(プレイヤー)として、弟として、成長した兄弟が辿り着く逃避行の結末は、アドベンチャー好きに強くおすすめできる内容です。なお、ナンバリング作品ですが、前作と直接的なつながりはないので、どちらから遊んでも楽しめる構成となっています。開始時に前作をプレイ済みかの確認が用意されており、プレイ済みと選択した場合は、前作の結末が本作に影響を及ぼすファンサービスも存在しました。

選択の積み重ねによって変化していく人生

 『ひとつの選択だけで人生は決まらないから』というキャッチコピーの通り、本作には数多くの選択が用意されています。特別な演出が発生する重大な選択だけでなく、些細な選択でも、積み重なることによって、物語に大きな影響を及ぼします。選択の結果は、エピソードをまたいでも保持されているため、初期のエピソードで行った選択が、忘れたころに意外な形で自身に返ってくることもありました。選択に明確な正解はなく、たまに後悔することもありますが、セーブ・ロードでやり直すのではなく、受け入れ乗り越えようと考えさせられたことのも、印象的でした。

 一般的な選択だけでは、ストーリーが長くなるにつれて物足りなさを感じるところですが、超能力の存在が良いアクセントになっています。超能力に頼ってばかりでは弟が増長してしまうものの、超能力を使わないことでより悪い結果になることもあって、難しい選択を何度も迫られました。逃避行を通じて、ダニエルが超能力とどのように向き合っていくかという点も、ストーリーの結末に大きな変化をもたらします。

 各エピソードをクリアすると、リザルトでプレイヤーの選択やダニエルの行動を振り返ることができます。他プレイヤーやフレンドの統計と比較することも可能です。必ずしも選択が「選択肢」という分かりやすい形式で発生するわけではなく、リザルトで存在に気付く選択も少なくはありません。ゲームとしては理性的な選択を選んだ方が良いと考えつつも、思わず感情的な選択を選んでしまう場面も多く、自身が多数派・少数派のどちらなのかチェックするのも面白かったです。特に、初プレイでどの結末に辿り着いたのかの割合は、興味深いものがありました。

出会いと別れによって得られる絆と成長

 旅を続ける中で、様々な人物との出会い・別れを経験することも、魅力の1つでした。立場や考え方の異なる人々とのコミュニケーションを通じて、兄弟は精神的に大きく成長していきます。出会うのは善人ばかりではなく、兄弟に害を成す人物も登場するため、時にはプレイヤーを含め、疑心暗鬼に陥る場面もありました。逆に、少しの触れ合いでも暖かさを感じる相手も多く、長い逃避行をコンセプトにした本作の、大きな特徴になっていました。

さいごに

 派手なゲームではなく、概要を知っただけでは魅力の伝わりにくい作品です。気になった方は、冒頭30分のプレイを体験できる公式動画や、サイドストーリーを楽しめる体験版「The Awesome Adventures of Captain Spirit」が用意されているので、是非チェックしてみてほしいと思います。特に、体験版は本編の面白さを引き立てる要素や、影響を及ぼす選択肢も存在するため、購入を決めていても事前のプレイは推奨です。