
ジャンル | アドベンチャー |
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ハード | PlayStation 4 Nintendo Switch Windows Steam Xbox |
発売日 | 2022年6月23日 |
発売元 | スパイクチュンソフト |
開発元 | スパイクチュンソフト |
公式サイト | リンク |
スパイクチュンソフトがおくるアドベンチャー「AI: ソムニウムファイル ニルヴァーナ イニシアチブ」のレビュー記事です。
「AI: ソムニウムファイル」の続編であり、シリーズ2作目となる本作。死体の半身が6年の時を経て見つかる猟奇事件を中心に、現在と過去、2つの時間軸から真相に迫る物語が魅力です。先入観を利用したトリックが秀逸で、疑って掛かっていたにもかかわらず見事に意識を誘導されてしまい、印象に強く残る物語でした。
前作と本作の事件に直接の関係はなく、どちらからでも楽しめる構成に加えて、前作ネタバレを任意で伏せられる配慮が存在している点も好感触でした。「捜査パート」「ソムニウムパート」も要素追加や遊びやすさが強化されており、前作のプレイ有無を問わず、おすすめしたい作品です。
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異なる視点・時間軸から事件を追うストーリー
右半身だけの死体が見つかった「ハーフボディ殺人事件」から6年後、残された左半身を発見するところから始まるストーリーは、現在と過去・現実と夢が入り交じった複雑怪奇な物語です。プレイヤーは、異なる主人公の視点で、現在と6年前、2つの時間軸から事件を追っていきます。
右半身の発見から6年が経っているはずなのに、なぜか死亡推定時刻が間もない左半身。次々と見つかる左右に分断された死体。交錯する複雑な人間関係。様々な箇所で散見される違和感。ストーリーが進むほどに謎は深まり、真相が気になってプレイする手が止まりませんでした。
何もかもが懐疑的な雰囲気を放っており、全てを疑って掛かっていたものの、種明かしされるまで気づけなかったトリックも秀逸です。プレイヤーの先入観を利用した仕掛けで、振り返ってみると様々なヒントがあったにもかかわらず、うまく意識を誘導されてしまいました。やや強引な部分もありましたが、強く印象に残るシナリオです。
基本はシリアスなヒューマンドラマでありながら、遊び心が豊富に盛り込まれている作風も健在でした。主人公が複数人となったことで、前作以上のボリュームとなっていますが、常に緊張感のあるサスペンスではなく、『クスッ』と笑わされるコメディ要素を織り込むことで、テンポ良く進められた点も好感触です。
今作から遊んでも楽しめる構成・ネタバレ配慮
「AI: ソムニウムファイル」の続編となる作品ですが、前作で起こった事件と、本作で起こる事件に関係性はありません。更に、冒頭で前作を遊んだか問いかけが用意されており、未プレイと答えた場合は前作ネタバレ部分が伏せられる配慮も存在。前作と本作、どちらからでも遊びやすいようになっていました。
ただし、前作に登場したキャラクターの大半は本作にも登場しており、前作以降の状況や、6年後の姿を見ることができます。生活の変化や成長を感じられるため、前作をプレイしていると、より楽しめることは間違いありません。どちらからでも遊べますが、両作品を合わせて遊んでほしいシリーズです。
現実世界で手掛かりをつかむ「捜査パート」
現実世界で行う「捜査パート」は、総当たり形式に近いポイント選択式アドベンチャーです。現場の調査や参考人からの事情聴取を行い、事件解決の糸口を探します。一般的な捜査に加えて、主人公たちのバディとなるAI搭載の義眼「アイボゥ」「タマ」の機能を活用して、様々な切り口から調べられる点も大きな特徴です。
仮想空間に事件現場を再現する「拡張視覚パート」では、事件当時の状況から情報を集めて、真相を解き明かします。答え合わせとなる「真相再現パート」は、ほとんどが選択肢形式ですが、一部の謎解きでは、正確な文字入力が必要になります。じっくり考えれば難しくはないものの、総当たりや勘での突破は行えず、プレイヤー自身による謎解きが求められました。
夢の中で真相に迫る「ソムニウムパート」
対象者の夢に入って手掛かりを探す「ソムニウムパート」は、6分の制限時間付き探索アドベンチャーです。限られた時間の中で、深層意識の奥に秘められた情報を得たり、障害を取り除いたりします。今作でも、夢の中らしい奇抜な世界観が描かれており、予想も付かない様々な展開が待ち受けていました。
ソムニウム内では、様々な仕掛けが用意されているほか、上下にも移動可能なマップが登場したことは大きな変化です。謎解きの内容も若干ですが難しくなっていたように感じました。その反面、マップ表示でフィールドを俯瞰できるようになり、ナビゲーション機能も用意され、遊びやすくなっていた点はうれしかったです。
本作最大の特徴といえる「ソムニウムパート」ですが、登場人物が増えて主人公も複数人になった結果、発生頻度が少し過剰だったのは気になる部分でした。プレイ中は考えることが多いため、頻発すると精神的疲労がたまりがちです。余り謎解きに慣れていない人は、難易度調整も用意されているので、緩和して遊ぶのが良いと感じました。
さいごに
単発作品だと思っていたら、まさかの続編で驚きの発売でしたが、前作に負けず劣らずの面白さで満足度の高い作品でした。今作のギミックが大仕掛けで、次回作へのハードルが高くなった印象もありますが、その辺りをうまく回避した上で更なる新作に期待したいです。
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