ジャンル | RPG |
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ハード | Wii U |
発売日 | 2015年4月29日 |
発売元 | 任天堂 |
開発元 | モノリスソフト |
公式サイト | リンク |
壮大な未開拓惑星を探索するRPG「ゼノブレイドクロス」のレビュー記事です。。
シームレスでつながる大規模なフィールドを、自由に冒険できる本作。数え切れないほどのコンテンツが用意されており、ストーリーとクリア後要素で60時間遊んでも、終わりが見えない超大作です。残念ながら、各種システムの説明不足や作り込みの甘い部分が目立ち、RPGとしての完成度は微妙でした。しかし、広大で美しい世界やドール・フライトパックなど、すごいと感じる部分は突出して高評価の作品です。
目次で流し読み
「ゼノブレイド」との関連性はほとんど存在しない別タイトル
一部の種族やキーワード、システムで流用が見られるものの、つながりを強く感じさせる部分はありません。前作を未プレイで購入しても大丈夫です。「ゼノブレイド」とは大きく方向性の違う作品なので、どちらかと言えば、向こうが楽しめたから今作も面白いとは限らない点に注意してください。
未開拓惑星ミラは壮大で魅力的なオープンワールド
特徴的な5つの大陸は、歩いて回るだけでも数時間は楽しめる魅力があります。全てがシームレスでつながっており、どこまでもノンストップで探索が可能です。モンスターとの戦闘やイベントの消化、秘境・絶景ポイントの発見など、目的には事欠きません。ゲームを進めていくにつれて世界がどんどん広がっていきます。
もちろん徒歩だけでなく、ワープポイントも数多く用意されています。パッケージ版でも「ロード高速化データパック」をダウンロードしておけば、あっという間にローディングが終わるので気軽に移動できて快適でした。
楽しませるための工夫が見られないゲームデザイン
オープンワールドらしく、ストーリーやレベル上げを無視して別の大陸に行くことも可能です。ただし、プローブと呼ばれるワープポイントを解放するには、一定のレベルが必要となっており、無理をしても無駄足になることがありました。同様に、巨大なロボット「ドール」を手に入れなければ到達できない場所も多く、序盤は”頑張って冒険しても二度手間”や”行けそうで行けない場所”ばかりです。
ゲームを進めるためにはクエストをクリアするしかないのですが、単純な内容を繰り返していくだけなので、まるでMMORPGを1人で遊んでいる気分になります。幾らすばらしい世界を用意しても、プレイヤーが楽しむための工夫は必要です。おつかいが続くと退屈ですし、内容にメリハリがなければ飽きてしまいます。
時間ばかりが掛かってしまう理不尽な収集クエスト
『大陸のどこかにアイテムが落ちてるので探してこい』ナビゲーション無しで指示される内容は、探索や手探りと呼べるレベルを超えていました。インターネット経由で情報を収集しない限り、見つかるまで運ゲー状態でさまようことになります。こういった収集クエストも、何かのついでに集めるなら楽しめるのですが、ストーリー進行に必須ではしんどい作業です。
事前に入念な探索をしていても、膨大な情報量に対して戦ったモンスターや拾ったアイテムの記録は不明確で、自分の記憶以外に頼れるものがありません。手書きで情報を整理していくには、余りにも世界が広すぎて、常に何かを探していた思い出ばかり残っています。
説明不足や、作り込みの甘さが目に付いた各種システム
ゲーム内のチュートリアルだけではカバーしきれないほど膨大なシステムが存在。電子説明書や、公式サイトで配信されている動画(全部で2時間以上)を熟読しなければ、最後まで知らずに終わってしまうものが出てくるほどです。多くの要素が独立しており、うまく組み合わさっていない点も、見落としにつながっていました。
先に挙げた収集クエストも、オンライン状態なら他のプレイヤーと情報をやりとりできるのですが、フィールドが大きなヘクスマップで座標が存在しないため、場所を正確に伝えることができません。「○○は△△の右上あたり」など、曖昧な情報ばかり流れてきます。いちど全システムを洗い出して、つながりを見直してほしかったです。もう少し遊びやすい作り込みだったら、同じ進行状況でも60時間は掛からなかったと感じます。
手に入れることで世界が変わったドール・フライトパック
機動力や戦力が増すことで、一気に行動範囲が広がるドール。さらに、フライトパックで飛べるようになると、中盤までのストレスから解放された反動で評価は急上昇しました。購入したのは失敗だったと感じていた私が、『このゲームを買って良かった』と手のひらを返すほどです。
これまで歩いてきた道や、行けなかった場所を飛び回り、『世界はこうなっていたのか』と感動の連続でした。探索しながら空を飛んでいるだけで、数時間は楽しめます。世界のスケールにプレイヤーが追いついた印象で、入手以降は面倒なクエストも気にせず遊べるほどの開放感がありました。
盛り上がりに欠けた未完結のストーリー
[/tabs]オンライン要素を付けたため、主人公はアバター形式なっている本作。基本的には空気で、たまに選択肢を選ぶくらいしかストーリーに絡めなかったのは寂しかったです。他のキャラクターばかり目立っており、自分自身が特に必要とされていない展開の連続では、いまひとつ盛り上がれません。
ストーリー自体も、多くの謎が残されたままでエンディングを迎えます。少し伸ばした程度では終わりそうにないため、大型DLCか次回作で補完される予想です。一応は一区切り付いたところまで進んだとはいえ、数十時間も遊んだ末に謎ばかり残して終わりでは、モヤモヤばかり残ってしまいました。
さいごに:This story is never ending…
作り込みが甘く、ストーリーも未完結のため、RPGとしての評価はいまいちでした。それでも、美しく広大なフィールドの魅力はすばらしい作品です。各種システムをもっと遊びやすく洗練させて、ストーリーが完結すれば化ける可能性は高いので、改めて続編に期待したいです。