【ワールズエンドクラブ | Switch】評価・レビュー デスゲーム中止から始まる異例のサスペンスパズルアクション

総評
デスゲーム中止から始まる、異例のサスペンスパズルアクション。デスゲーム中止から始まる謎だらけの物語に加えて、テンポ良く続きの気になる展開で、ストーリー評価の高い作品です。
良かったところ
テンポ良く軽快に進む展開
謎だらけで先の読めないストーリー
個性豊かな12人のクラスメイトたち
5
A+
ジャンル サスペンスパズルアクション
ハード Nintendo Switch
Apple Arcade
発売日 2021年5月27日
発売元 イザナギゲームズ
開発元 Too Kyo Games(シナリオ&ディレクション)
グランディング
公式サイト リンク
プレイ時間 ストーリークリアまで9時間

 イザナギゲームズがおくるサスペンスパズルアクション「ワールズエンドクラブ」のレビュー記事です。

 「デスマーチクラブ【Death March Club】」というデスゲームを題材とした作品から、「ワールズエンドクラブ【World’s End Club】」と改名されて、突然のゲリラリリースが行われた本作(Apple Arcade版)。改名・ゲリラリリースの時点でも異例ですが、作中でもデスゲームが中止になって、世界の終わりに立ち向かう、リリースと連動した物語が展開されます。何もかもが型破りな、異例の異色作です。

 デスゲームから一転して描かれる、少年少女たちの旅路は、謎だらけで先の読めないストーリーとなっています。純粋に続きが気になるだけでなく、テンポを悪くするような細かい話は大胆にカットされており、サクサクと読み進められる点も好感触でした。パズル要素を含んだアクションステージは、誰でも楽しめる難易度で、キャラクターたちの絆を育む演出のような側面を持っていることもあって、全体的にシナリオ重視の作品でした。

デスゲーム中止から始まる謎だらけのストーリー

 突然のデスゲーム開幕。かと思いきや、二転三転した結果、デスゲームは途中で中止。解放された少年少女たちは、なぜか荒廃している日本を横断して、東京を目指す旅に出ます。人の姿がなく、謎の生物が闊歩する世界に何が起こったのか。関東にいたはずの自分たちが、どうして遠く離れた九州にいるのか。謎が深まる中、時にはぶつかり合い、また時には助け合いながら、様々な困難を乗り越えていくストーリーです。

 表面上の世界観は、「終末もの(ポストアトカリプス)」に該当しますが、サバイバル感は希薄です。食料・資源の問題などがストーリーに影響することは少なく、登場人物同士のコミュニケーションや、心が躍るような冒険がメインに描かれます。良くも悪くもご都合主義ではあるものの、テンポ良く軽快に進む展開と、先の読めないシナリオで、細かいことを気にすることなく楽しめました。

12歳の少年少女12人による1200kmの旅

 12歳の少年少女12人による1200kmの旅には、数多くの波乱が待ち受けています。場合によっては、メンバー同士で意見が分かれることも多いです。大きな分かれ道では、主人公の選択で移動ルートやストーリーが変化する分岐も用意されていました。どちらを選んでも正解・不正解はなく、純粋に選択肢だけで判断するのか、気に入ったメンバーと同じ意見を選択して同行するかは、プレイヤーの自由です。

 「終末もの」に加えて、いろいろな「ご当地ネタ」がストーリーに交わってくるのも、特徴の1つです。直接は訪れない地域でも、地図にはランドマークが描かれており、日本横断の旅路を彩っていました。なお、作中にはランドマーク以外にも実在する商品が登場しており、特に「ライフガード」推しがすごかったです。遊んでいたら久しぶりに飲みたくなって、コンビニへ足を運んでしまうほどでした。

個性豊かな「ガンバレ組」のクラスメイトたち

 主人公たちは、全国から落ちこぼれを集めた「ガンバレ組」のクラスメイトです。メンバーは、いずれも個性が豊かで、小学生らしからぬ大人びた行動を取る場面もあれば、時には初々しい感情を露わにするなど、多彩な魅力を備えています。干支をモチーフにした、「竹さん」のキャラクターデザインも、それぞれの個性にマッチしていました。プレイ開始当初は、12人のメインキャラクターが多いと感じていたものの、短い時間で名前や特徴を覚えられた点には、作りのうまさを感じます。

 様々な冒険の中で、「ガンバレ組」のメンバーは、不思議な能力に覚醒していきます。手に持った物をすごい勢いで投げる。身体を鉄に変化させる。超速で発明品を作る。自分だけ重力を反転する。など、能力は多種多様です。1人で全てを解決できる万能な力ではないものの、力を併せることで、強大な敵やトラブルに立ち向かいます。覚醒すること自体が謎の1つとなっており、力に目覚めることでストーリーが盛り上がる反面、謎も深まっていく構成となっていました。

能力を駆使して攻略するアクションステージ

 アクションステージでは、キャラクターの能力とアクションを駆使して、ギミックや敵を攻略していきます。主人公の「れいちょ」だけでなく、仲間も操作キャラクターになり、覚醒した能力を「バディスキル」として利用可能です。ただし、任意で交代できるわけではなく、要所で自動的に切り替わる仕組みとなっています。決められたスキルで、場面ごとに立ち塞がる仕掛けを解く、パズル要素の強いアクションでした。

 攻撃を受けてしまうと、一発でゲームオーバーになってしまうものの、直前からのリトライが何度でも可能です。パズル要素の攻略も難しいことはなく、操作キャラクターが固定されているので、行うことは明確でした。仲間のセリフなどで、ヒントも十分に用意されています。どちらかといえば、操作することによる臨場感を楽しんだり、キャラクター同士の絆を育んだりといった、演出に近いアクションです。

Apple Arcade版も完全版にアップデート

World's End Club -ワールズエンドクラブ-

World’s End Club -ワールズエンドクラブ-

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 先行して配信されたApple Arcade版は、途中で終わりになってしまう未完結でしたが、Switch版の発売に合わせてアップデートが実施。ストーリーの続きや追加要素を含めた完全版となっています。iOS端末を所持していれば、「初回1か月無料」or「月額600円」でプレイできるため、Switch版に比べて手軽に遊べる価格です。

 過去にApple Arcade版を遊んでおり、続きをSwitch版で遊ぶ場合、途中から始められる選択肢が用意されていた点も好感触でした。新たに「シール集め」のコレクション要素が追加されているとはいえ、早く続きを遊びたい人にとっては、嬉しい配慮です。

さいごに

 Apple Arcade版の配信から約8ヶ月越しの完結となった形ですが、待ち焦がれていた期待に応える内容でした。未完結では推しづらいところがあったものの、改めておすすめしたい作品です。

 型破りの異色作ということで、どのような作品なのか想像しづらい場合は、Switch版の体験版も用意されています。iOS端末を所持しており、これまでに「Apple Arcade」を契約したことがない人なら無料で遊べるため、気になる方は是非プレイしてみてください。