ジャンル | RPG |
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ハード | Nintendo Switch |
発売日 | 2018年10月4日 |
発売元 | フリュー |
開発元 | 熱中日和 フリュー |
公式サイト | リンク |
テーマパークのインストラクターとして戦う異色のRPG「WORK×WORK」のレビュー記事です。
なりきり勇者のお客さまをサポートしながら、ダンジョンの攻略を進めていく本作。独特のコンセプトに惹かれて購入したものの、退屈なバトルシステムと大雑把なゲームバランスで、全体的に今ひとつの評価でした。数少ない好印象は、コミカルに描かれるストーリーだけです。
ゲームの進行に対してプレイ体験の変化が乏しく、作業感が強いことも残念です。20時間以上のボリュームも、途中でプレイに飽きてしまい、結果的に評価のマイナスへとつながりました。コンセプトや内容に対して、無理に大きく作ろうとしてしまった印象が強い作品です。
コミカルに描かれるドタバタストーリー
誰でも勇者になれるテーマパーク「勇者さまーランド」を舞台にしたストーリーは、最初から最後までコミカルなコメディとして描かれます。アルバイトインストラクターのポチ夫と、ちょっとお馬鹿な第18王子を中心に展開される、笑いあり、涙あり、シリアス禁止の物語です。
登場人物たちも、妖精や貴族から犬・ラッコまで、個性豊かなキャラクターがそろっています。メインストーリーに関わってくることはもちろん。お客さま一人一人に複数のサブクエストが用意されているので、バックストーリーの掘り下げも十分に行われていました。
かわいらしいキャラクターデザインですが、中身は意外と大人向けという点には、注意が必要です。ちょっとアダルトな内容を連想させる展開や、取扱いの難しいネタを遠回しに示すなど、あまり子供には受けなさそうな作風となっていました。全年齢対象=子供向けではないです。
待ち時間の多い退屈なバトルシステム
インストラクターとなって、お客さまを後方からサポートする「インストラクターバトル」は、かなり異色のゲームシステムです。好き放題に戦うお客さまにアドバイスをしたり、アイテムで回復してあげたりと、満足してクリアしてもらうために、プレイヤーは裏方に徹します。
サポートを行うと再チャージされるまで行動できない仕様上、どうしても受け身のプレイになってしまうのは残念でした。具体的には、プレイヤーが行うコマンドの大半は「回復」と「防御」です。自由にコマンドを選べるのは、戦闘開始直後の1回目くらいしかありません。
再チャージ中は、画面を眺めていることしかできないのも退屈でした。コマンド選択時には時間が止まるため、次の行動を事前に考える必要もなく、ただ待っているだけの時間になります。どのコマンドを選んでもチャージ時間は同じなので、工夫で介入できる余地も少なかったです。
プレイ体験の変化が乏しいゲームデザイン
珍しいバトルシステムで覚えることも多いのですが、チュートリアルはかなり圧縮されています。ゲーム画面を使った解説が用意されているものの、第1章から20枚以上も掲載されるため、詰め込まれるようにシステムを覚えることになりました。一応、あとから見直すことは可能です。
序盤から全てのゲームシステムが解放されたので、太く短く楽しむ作品かと思いきや、20~30時間のボリュームだったことには驚きました。キャラクターが増える以外にほとんど変化がないため、中盤以降は同じことを繰り返すだけの、作業感が強いプレイを続けることになります。
コンセプト自体は面白かったものの、20時間以上も楽しめる内容ではないので、もっとコンパクトにまとめられた方が評価はよかったと感じます。正直なところ、クリアしてレビュー記事を書くというモチベーションがなければ、途中でプレイを辞めてしまった可能性が高いです。
テンポよく遊べない大雑把なバランス
メインストーリーは基本的にメンバー固定となっており、クエストごとに決まったパーティーで挑戦することになります。毎回メンバー入れ替わりが発生するのに対して、推奨レベルは右肩上がりで上昇していくため、新しいクエストが出るたびにレベル上げの周回が求められました。
一応、クエストに参加していないメンバーにも経験値は入る仕様ですが、入手量は僅かです。サブクエストもメンバー固定や制限が多く、狙ったキャラクターのレベル上げには適しません。結果的にストーリーの進行とレベル上げの周回がセットになってしまい、テンポよく遊べませんでした。
ゲーム自体が面白ければ、周回プレイにも楽しさを見いだせます。しかし、作業感の強いゲームデザインと組み合わさると、面倒でしかありません。あまりにも退屈で、寝落ちしそうになることも多く、別の意味でも難易度の高いゲームとなっていました。
さいごに
コンセプトは面白く、ゲームにもうまく落とし込んでいるものの、実際に遊んでみると冴えない印象でした。もっと工夫を重ねるか、ボリュームを減らしてプレイ密度を上げてほしかったと感じます。パッチなどでバトルシステムが大きく改善されない限り、あまりおすすめはできない作品です。