【聖塔神記 トリニティトリガー】評価・レビュー ストーリー・アクションともに薄味で没個性なRPG

総評
どこか懐かしい雰囲気を漂わせるアクションRPG。全体的に薄味で、大きな不満を感じる部分も、褒められる部分も少ない作品でした。ストーリー進行をメインに進めると、あっという間に終わってしまうため、やりこみ寄りのプレイが前提となっています。
良かったところ
特になし
悪かったところ
本編の切り売りに近い「追加シナリオ」
3
B
ジャンル アクションRPG
ハード PlayStation 4
PlayStation 5
Nintendo Switch
発売日 2022年9月15日
発売元 フリュー
開発元 スリーリングス
公式サイト リンク
プレイ時間 ストーリークリアまで11時間

 フリューがおくるアクションRPG「聖塔神記 トリニティトリガー」のレビュー記事です。

 完全新規IPでありながら、どこか懐かしい雰囲気を漂わせる本作。王道RPGっぽさを備えてはいるものの、ストーリー・アクションともに薄味で、どこを取っても『可もなく不可もなし』という評価の作品でした。

 特に、ストーリーはボリューム・演出のどちらも不足しており、良い悪い以前に内容が乏しいです。ストーリー進行をメインに進めると、あっという間に終わってしまうため、宝箱探しや隠しボス討伐といった、やりこみ寄りのプレイが前提となっています。

 アクションバトルも荒削りで、せっかくの3人パーティーを活かすのは困難でした。ただし、低難易度でバトルシステムを活用する必要自体が薄いため、結果的にあまりストレスを感じません。

 大きな不満を感じる部分も、褒められる部分も少なく、没個性で記憶に残りにくい作品です。

神々の決めた運命に抗うストーリー

 「秩序の神々」と「混沌の神々」が争う世界で、戦争の代理者「混沌の戦士」に選ばれた主人公が旅に出るストーリーは、神々の決めた運命に抗う物語です。勝っても負けても世界が変わり果てるジレンマの中、仲間たちとの出会いや、「秩序の戦士」との戦いを経て、自身や世界に秘められた真実に立ち向かいます。

 世界の命運を賭けた物語で、世界観は壮大ながらも、ボリュームや演出の不足から小スケールな印象が拭えない点は残念でした。過去に起こった出来事の大半は、軽いセリフで語られるだけに留まります。キャラクターの言動や設定には突っ込みどころも多く、全体的に作り込みが甘い感触です。

 キャラクターの深掘りに関しては、一部がクリア後に有料DLCで遊べる形式なのも、メインストーリーの薄っぺらさを強調する要因の1つでした。物語の中で少しだけ触れて、詳細を体験できるのは購入者だけという商品もあって、「追加シナリオ」を称しながらも本編の切り売りに近い点は注意が必要です。

3人パーティーで戦うアクションバトル

 本作の戦闘は、攻撃にスタミナ性を導入した3人パーティーのアクションです。操作キャラクターはいつでも変更可能で、最大で8種類の武器を持ち替えながら戦える点が大きな特徴でした。武器ごとに攻撃方法やスキルが異なり、エネミーにも弱点・耐性が存在するため、臨機応変の立ち回りが求められます。

 プレイヤーが操作しているキャラクター以外は、AIが動かしてくれますが、過度の期待は厳禁です。作戦や行動指示はなく、武器の持ち替えやスキル発動も行わないので、ただ殴り続ける単調な動きしか行いません。3人パーティーを活かすためには、キャラクターを逐一切り替えて、武器の持ち替えやスキル発動を行う必要があります。

 システムや操作量が多く、難しそうなゲームに見えますが、良くも悪くもゲームの難度は控えめです。敵のAIやギミックが単調なため、1キャラクターの操作に注力しても、簡単にストーリーをクリアできます。序盤こそ苦戦するものの、装備が充実してくるにつれて、味方の成長に敵の強さが追いつかないバランスでした。

宝箱や強敵を探すフィールドの発見要素

 「発見」をコンセプトに、各フィールドには隠された宝箱が数多く配置されています。宝箱の隠し方は、障害物の影になっている程度の物から、特殊なギミックを作動させなければならない物まで様々です。フィールドに存在する宝箱の数は常に表示されているため、プレイヤーは情報を参考に探索を行います。

 宝箱の中身は、隠し要素に関連する特殊な物を除いて、大半を店売りやクラフト可能なアイテムが占めていた点は、収集欲を減退させる要因でした。初めて訪れた段階では壊せない障害物や、倒せない強さの強敵も存在するため、探索を後回しにした方が二度手間がなく効率的というデザインも、フィールドの駆け抜けを加速させます。

 本作のボリュームは探索・発見まで含めて担保した物となっており、ストーリー進行をメインに進めると、11時間程度とRPGにしては物足りない内容です。全ての宝箱を集めるつもりで探索して、隠しボスを撲滅するような、やりこみ寄りのプレイが前提となっている感触でした。

さいごに

 どのコンテンツも中途半端で尖った部分が少なく、狙っているユーザー層がハッキリとしない印象のゲームでした。一部、ローカルマルチプレイに寄せた作りが見られたため、複数人で遊べば評価が変わるかもしれないものの、1人プレイではおすすめしづらい作品です。