ジャンル | 死に際に想いを託すRPG |
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ハード | PlayStation Vita |
発売日 | 2015年7月23日 |
発売元 | コンパイルハート |
開発元 | コンパイルハート プリアップパートナーズ ゼロディブ |
公式サイト | リンク |
全てが規格外のコンパイルハート最新作、死に際に想いを託すRPG「魔壊神トリリオン」のレビュー記事です。
1兆という桁外れのHPに加えて、一撃死必至の攻撃力を持つトリリオンを打倒するため、6人の魔王を育成して挑む異色作。そのジャンル名の通り、仲間の犠牲と試行錯誤を繰り返しながら進めていく高難易度タイトルです。
挑戦しがいのある難しさと工夫を重ねる面白さに加えて、魅力的なキャラクターが多数登場するため、とても楽しむことができました。幾つか不満点はあったものの、目をつむれる高評価です。ただし、高い難易度に対して「難しかったら攻略情報を見よう」と考える人には、決しておすすめできない作品でもありました。
目次で流し読み
限られた時間で修行を重ねて決死の戦いに挑む育成RPG
トリリオンが進行を開始するまでの日数を育成期間として、選ばれた魔王を強化していく本作。ステータス上昇やスキル取得に必要となる、経験点を得るための修練を基本に、ミニダンジョンに潜ってアイテムの収集や武器の強化など、育成要素は多岐にわたります。タイムリミットまで、どのように時間を活用するかはプレイヤー次第です。
一定周期で模擬戦となるモクジン戦が発生。トリリオンほど強くはないですが、似通った行動をする相手に対して、育成状態の確認を行います。結果から今後の育成方針を考えるだけでなく、勝てば大量の報酬を得ることができる育成要素の1つとなっています。
育成の合間に楽しめる様々なキャラクターイベント
育成からトリリオン戦まで、基本的には同じことの繰り返しになるので、マンネリ回避のために数多くのイベントが用意されています。キャラクターごとのメインストーリーに加えて、親密度による特殊イベント。ランダム発生するものまで含めれば数え切れないほどでした。
親密度はマルチエンディングなどゲーム展開に絡んできますが、キャラクター強化も兼ねているため、イベントを見るためだけのプレイにならない点も良かったです。
【ワンミス即死】絶望的な強さを誇るトリリオン
プレイヤーが動けば敵も動く「同時ターン制」と、攻撃範囲や発動ターン数が見える「発動予告」を組み合わせた緊張感抜群の戦闘となります。 数ターン先の状況を先読みして、移動スキルなどを駆使しながら戦わなければ数ターンも生き残れない激戦です。
しっかり鍛えた魔王でなければ一撃死は避けられない攻撃力を前に、バランスがおかしいのではないかと疑ってしまうトリリオン。ワンミスどころか、育成が不十分な状況で挑むと、逃げ場が無くなって詰んでしまうことも多い理不尽な存在となっています。
撤退などを駆使して何度も戦うことで攻略方法を学び、稼いだ時間を使って再育成を繰り返して、プレイヤー・キャラクターともに成長して初めてダメージを与えられるようになります。しかし、その努力をあざ笑うかのように変異して強化を果たすトリリオンに、更なる絶望を味わわされられます。
キャラクターが容赦なく死亡する「死に際に想いを託すRPG」
トリリオンの異常な強さを別にすれば、本作最大の特徴はキャラクターの死亡です。戦闘中にHPが0になった場合、例外なく死んでしまいます。その際に発動する「死に様スキル」は、トリリオンのスキル封印や育成期間の増加など、5つの絶大な効果から選択。今後の戦いにおいて、どれを選ぶのが効率的か、とても悩ましい決断です。
育成時の経験点は、一部が次の魔王に継承される仕様となっており、強化は積み上げられていきます。魔王の死にを繰り返すことで「死に様スキル」の効果と「能力の継承」を重ねてトリリオンを討伐する。正に「死に際に想いを託すRPG」というジャンルにふさわしいシステムでした。
全滅によるゲームオーバーと引き継ぎ要素
キャラクターの死亡が存在する仕様から、ゲームオーバーが存在します。もちろん救済措置としてゲームオーバー後に引き継ぎ要素を用意。時間が掛かってしまうとはいえ、1周目がダメでも2周目、2周目がダメでも3周目と繰り返しプレイすることでクリアを目指すことも可能です。
さいごに:絶対に攻略情報を調べずプレイしてもらいたいゲーム
絶望的な強さを持っているとはいえ、敵はトリリオンしか存在しません。たった1体の強敵を、どうやって倒すか試行錯誤するのが楽しいゲームです。その討伐に攻略情報を頼ってしまうと面白さは激減します。難しかったら攻略情報を頼りにしてしまう人には絶対に向いてないゲームデザインです。
実際、ゲームに慣れれば1人目の魔王で倒すことも可能です。簡単に倒せるようになると、以降のイベント回収はサクサクと進んでいきます。自力で頑張ってたどり着いたなら、達成感の上の消化試合ですが、攻略を見てしまった場合は単なる作業プレイになってしまいます。
初見では全く活路が見えないトリリオンも、試行錯誤を繰り返せば決して倒せない相手ではありません。最初は微々たるダメージしか与えられないですが、戦い方が分かれば幾らでもダメージを与えられるようになるので、そこまでの試行錯誤を大いに楽しむべき作品でした。