【人喰いの大鷲トリコ | PS4】評価・レビュー 思わず感情移入してしまう物語

総評
ゲームとしては目立った要素は乏しいものの、独特の雰囲気で描かれるストーリーや細かい作り込みに、思わず引き込まれてしまう魅力を持った作品です。
良かったところ
独特な雰囲気で描かれる世界
感情移入してしまうストーリー
5
A+
ジャンル アクションアドベンチャー
ハード PlayStation4
発売日 2016年12月6日
発売元 ソニー・コンピュータエンタテインメント
開発元 SIE JAPANスタジオ
gen DESIGN
公式サイト リンク
プレイ時間 ストーリークリアまで14時間

 少年と大鷲トリコの絆を描くアクションアドベンチャー人喰いの大鷲トリコ」のレビュー記事です。

 どことも知れぬ遺跡で目覚めた少年となって、大鷲トリコとともに冒険の旅に出る本作。ゲームとしては、簡単な謎解きやアクションの連続で、目立った要素は乏しいものの、独特の雰囲気で描かれるストーリーに、思わず引き込まれてしまう魅力を持った作品でした。

大鷲トリコと助け合いながら進んでいく探索ストーリー

 見知らぬ場所で目が覚めた少年。鎖でつながれ衰弱したトリコ。助けることによって生まれる絆。少年を捕まえようとする鎧の兵士。行く手を阻む障害やギミック。現れる新たな大鷲。1人と1匹は無事に遺跡から脱出することができるのか……と文章にしてしまうと数行の内容ですが、そこには様々なドラマが秘められています。時にはトリコに助けられ、また時には少年がトリコを助け、いつの間にか少年(プレイヤー)とトリコの間に絆が生まれている秀逸なストーリーです。

1人と1匹の行く手を阻む様々なギミックや鎧の兵士

 脱出を目指す遺跡には、様々なギミックが仕掛けられており、プレイヤーはトリコと協力してクリアしていくことになります。周囲を探索して抜け道を探したり、トリコに手伝ってもらったりと、ギミックの種類は多種多様です。難しい場所では、悩み続けていると語り部がヒントをくれるので、落ち着いて考えれば誰でも解ける謎解き要素となっています。

 ギミック以外に、遺跡に配置された鎧の兵士が襲いかかってくる場合があります。兵士が少年を連れ去ろうとするのに対して、トリコは敵意をむき出しにして飛びかかります。基本的にはトリコに任せるだけで撃退できるのですが、突き刺さった槍を抜いたり、トリコが嫌がる模様を掲げた兵士に体当たりしたりと、協力することで、より安全に切り抜けることが可能です。

良くも悪くも最初は思うように動いてくれないトリコ

 最初は少年の後を付いてくるだけのトリコですが、絆が深まると、少年から指示を出すことができるようになります。とはいえ、「ジャンプ」や「アクション」、「方向を指し示す」など漠然とした内容になっているため、慣れるまでは思うように動いてくれません。

 おかげで最初は少しストレスを感じる場面もあるのですが、プレイを続けるうちに円滑に指示が伝わるようになると、言葉を介さないコミュニケーションを図ることができます。また、怪我によって行動に制限のあるトリコが、回復するにつれて少しずつアクションを増やしていく展開も絶妙です。

少年(プレイヤー)の前に広がる様々な風景

 トリコとともに冒険をする遺跡は、基本的に全て同じ雰囲気で統一されているため、大きく代わり映えはない風景が続きます。しかし、広さの代わりに高低差があり、ストーリーの進行によって時間も変化するため、飽きさせない眺望を楽しませてくれました。足を止めて景色を眺めるだけでも一興です。

さいごに

 シンプルな作りになっているため、伝えたい点が抽象的になってしまったものの、全体の評価は高いです。淡々と遊んでいるはずなのに、いつの間にか少年に感情移入したり、ストーリーの展開に一喜一憂したりと、ゲームらしさは最低限であるにも関わらず、つい没入してしまうすばらしい作品でした。