ジャンル | 死者再殺ADV |
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ハード | Windows |
発売日 | 2016年1月29日 |
発売元 | ニトロプラス |
開発元 | ニトロプラス |
公式サイト | リンク |
プレイ時間 | ストーリークリアまで28時間 |
ニトロプラス15周年記念作品 死者再殺ADV「凍京NECRO<トウキョウ・ネクロ>」のレビュー記事です。
独創的な世界観xリアルタイムで臨場感あふれる3Dバトル、一切の妥協も許さない作り込みが圧巻だった本作。エロだけでなく、演出面でも18禁であることを最大限に利用したストーリーが用意されており、18禁アドベンチャーゲームとして「1つの完成形」と言える作品でした。
心躍るキーワードが満載の魅力的なストーリー
既に「ゾンビ物」は使い古されたネタですが、公式サイトを見てもわかるように、かなり細かいところまで設定が作り込まれているため、手あかの付いた印象は全くありません。それどころか「ネクロマンサー」や「生死者追跡者」と言ったロマンあふれるキーワードに心が躍るばかりでした。
選択肢によるマルチエンディングに加えて、独特のインターフェースを採用。それら全てに意味が存在しています。残念ながら、ストーリーが分岐するポイントは少ないものの、ゲームでしか体感することのできない仕込みも豊富に用意されていた点は、とても高評価です。
18禁ゲームでしか表現しきれない演出の数々
18禁ゲームといえば、アダルトゲームの代名詞です。もちろん「凍京NECRO」にも、Hなイベントが満載でした。しかし、それ以外の演出でも表現規制が緩いことを利用した物が多く、アダルトな部分を除いても、別ゲームになるほど差し替えなければ一般ゲームとして発売するのは難しいと感じます。
特に、残虐表現はプレイヤーが見ていて痛いほどで、コンフィグには「一部グロテスクなイベントスチルをソフトにする」という項目も存在しました。私はオフにしてプレイしたので、どれくらいソフトになるのかは不明ですが、レビュー記事を書く際に掲載画像を悩んでしまうほどすごかったです。
テキストと連動してリアルタイムに進行する3Dバトル
特筆する点の多い作品ですが、その中でも本作の戦闘シーンは、これまでのアドベンチャーゲームの常識を打ち崩すインパクトでした。視覚的な情報は全て映像で得られるため、テキストは会話や内面的な物だけに絞られるので、全てテキストで語られるADVに比べて格段に読み進めやすかったです。
初めての取り組みながら完成度も高く、オートプレイと組み合わせれば、テキスト補完付きのアニメーションを見ているようでした。あれほどの3Dバトルを堪能してしまうと、もう動きのない戦闘演出で満足はできないのではと、不安に思います。
全てにおいて妥協を感じさせない作品の仕上がり
前述したバトルシーン以外は、一般的なADV同様に「背景+立ち絵+イベントスチル」で展開されています。ほとんどの戦闘を3Dで済ませている分、普通なら2D要素が控えめになるところですが、そんな印象はかけらも抱かせません。それどころか、全て平均以上のクオリティだったと断言できるほどです。
細かいところまで描き込まれた背景。豊富な立ち絵とイベントスチル。バトルシーンに入ることなく蹴散らされていく、有象無象なリビングデッドの立ち絵すら、使い回しを意識させない種類の多さには、並々ならぬこだわりを感じさせられました。正に隙がない作り込みでした。
さいごに
10周年記念作品「装甲悪鬼村正」に続いて、今回も期待に応えてくれたニトロプラス。ゲーム要素の薄いアドベンチャーから離れがちだった私の気持ちを、再び鷲掴みにしてくれるような作品でした。