ジャンル | ミステリーアドベンチャー |
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ハード | Steam |
発売日 | 2017年9月7日 |
発売元 | CherryMochi |
開発元 | CherryMochi |
公式サイト | リンク |
プレイ時間 | 1周目クリアまで4時間 |
東京を舞台に繰り広げられるサイコホラーアドベンチャー「東京ダーク」のレビュー記事です。
Kickstarter発のプロジェクトである本作。SAN値などのパラメータ要素を導入した、ポイント&クリック形式のアドベンチャーと言う点に興味を惹かれ、私も支援をしました。最終的には多くのストレッチゴールを達成して、2017年9月7日にリリース。とても凝った出来栄えで、一般的なアドベンチャーゲームでは体験できない、一風変わった面白さが楽しめる作品でした。
目次で流し読み
猟奇的な雰囲気が漂う探索アドベンチャー
主人公である伊藤刑事は、行方不明になった相棒を探すため、1人で東京を探索します。新宿や秋葉原といった街で手掛かりを集め、都市の地下に伸びるトンネルを調査するうちに、垣間見える闇。何が真実で、何が虚構なのかもわからないままに、手探りで進み続けるサイコホラーアドベンチャーです。
舞台となっている東京も、実際の東京とは何か違う不思議な都市でした。言葉にするのは難しいですが、海外から見た東京。一昔前の東京。そして実際の東京を混ぜ合わせたような、似て非なる舞台です。登場するキャタクターたちも独特で、印象深いシーンや演出が豊富に用意されています。
主人公の行動に大きな影響を与える「S.P.I.N値」
主人公には「SANITY(正気度)」「PROFESSIONALISM(職業論理)」「INVESTIGATION(調査能力)」「NEUROSIS(ノイローゼ)」といった、4つのパラメータ「S.P.I.N値」が存在します。これらのパラメータは主人公の取った行動によって、頻繁に増減する仕様です。パラメータによってストーリーが分岐したり、選べる選択肢が絞られたりするため、ゲームを進める上で細心の注意を払う必要があります。
「S.P.I.N値」を安定させるためには、賢い選択肢を選ぶだけでなく、適切な判断能力が求められました。無駄に同じことを繰り返すと「NEUROSIS(ノイローゼ)」が変動。「SANITY(正気度)」を改善する薬を服用することによって、代償として「INVESTIGATION(調査能力)」が減少。制限時間が存在する選択肢で、時間内に選べなかった場合にも増減するなど、一挙一動に緊張感が生まれるシステムです。
選択や「S.P.I.N値」よって分岐する11のエンディング
本作には11種類のエンディングが用意されています。プレイヤーの選択や「S.P.I.N値」によってストーリーは分岐していき、いずれかの結末に辿り着く形式です。オートセーブとなっているため、選択後の後戻りはできません。1周目でどのエンディングに辿り着くかは、プレイヤーの人格次第です。
2周目からは最大6箇所のセーブ&ロードが可能になります。1周目で得た知識や経験を活かして、事件を解決に導いても良いですし、正気を疑う様な選択を繰り返すのもプレイヤーの自由です。2周目でしか辿り着けないエンディングも存在するため、1周回では終わらないゲーム構成となっていました。
ゲームとしての遊びやすさには複数の不満点
全体の雰囲気が私好みで好印象な作品ですが、細かいところまで見ていくと不満が残る部分も多かったです。ロープライスのインディータイトルなので、アニメーションやボイスのクオリティに関しては、さほど気にならなかったのですが、ゲームシステムに関しては、及第点未満でした。
難解なストーリーのアドベンチャーゲームなのに、バックログがないので読み返しが困難。周回前提なのに、一部しか対応していないスキップ機能。11種類のエンディングや膨大な分岐に対して、6箇所では全く足りないと感じたセーブ機能など、挙げ始めるときりがありません。プレイ中におかしな挙動を起こしたことも多く、ゲームとしての遊びやすさは、もう少し頑張ってほしかったところです。
さいごに
日本発のKickstarterプロジェクトがなかなか完成まで漕ぎ着けない中、約1年の延期はあったものの、無事にプレイできたことをうれしく思います。残念ながら、システム面では幾つかの不満を挙げましたが、ゲーム自体はとても魅力的に作り込まれていました。一風変わったアドベンチャーに興味が湧いた方には、是非プレイしていただきたい作品です。