ジャンル | 剣と魔法のファンタジーRPG |
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ハード | Nintendo 3DS |
発売日 | 2015年6月4日 |
発売元 | セガゲームス |
開発元 | イメージエポック |
公式サイト | リンク |
プレイ時間 | ストーリークリアまで50時間 |
剣と魔法のメロディアスSRPG 「ステラグロウ」のレビュー記事です。
調律による歌魔法。武器にオーヴをセットして強化。どこかで見たこと/聞いたことのある要素の多い本作ですが、戦闘システム自体はそれなりに作り込まれていました。しかし、視点固定のクォータービューに加えて、全体的に遅いゲームスピードなどストレス要因が多い。もう少し遊びやすさに配慮されていればと残念に感じます。
対して、ストーリーやキャラクターに関しては高評価でした。アッと驚くような展開はないものの、王道で楽しみやすい作風となっています。登場するほぼ全てのキャラクターに個別エンディングが用意されており、周回することでコンプリートを目指す構成なので、長く遊びたい人に合った作品です。
目次で流し読み
斬新な要素が見当たらないテンプレートSRPG
魔女を調律することで使えるようになる歌魔法。敵を倒して手に入れた結晶を武器にセットする強化システムと言った特徴は用意されているのですが、他の作品を連想してしまい、本作特有の要素が見当たりません。全体的に良くまとまっているものの、『”ステラグロウ”のここが面白い!』と挙げられる部分は少ないです。
レベル差による経験値補正も厳しく、平均的な育成しかできないため、とがった部分が見当たらない作りになっています。必然的にキャラクターの性能差が大きく出てしまい、参加固定キャラも多いので、気に入ったキャラクターを集中して育成するのも難しいです。遊び方に幅が少ないのでSRPG初心者なら遊びやすいですが、遊び慣れている人にとっては自由度の低さに窮屈を感じるかもしれません。
評価を大きく下げた低速なシミュレーションバトルパート
とにかく戦闘中の動作が遅いです。敵がその場で待機を選ぶだけでも1秒。行動する場合は2秒以上も思考することに加えて、行動しないキャラほど次のターンが早く回ってくる仕様により、敵の待機ターンばかり発生。敵のターンが続くと何もすることのない時間が続いてしまいます。
強力な全体効果となる歌魔法も、演出がスキップ不可となっている点がつらかったです。敵味方1体ずつにエフェクトを掛けていくため、1分弱ほど眺めることしかできません。見飽きた歌魔法は、発動させたら軽い休憩に充てていました。幾ら力の入った演出でも、常に見せられることを強制されるのは止めてほしかったです。通常戦闘演出をOFFにできたことは唯一の救いでした。
遊びにくさを強める視点固定のクォータービュー
クォータービューはSRPGの定番ですが、本作は視点を回転させることができません。高低差のあるマップも多く、構造が分かりにくくて無駄足を踏んでしまう場面が多々ありました。本作にはオプション設定すら存在しないため、全ての操作が固定になっている点にも不満を持ちます。
王道展開で楽しみやすい作風のファンタジーストーリー
分かりやすい伏線が用意されているため、アッと驚くような展開は少ないものの、魅力的なストーリーでした。冗長なバトルパートに邪魔をされながらも、二転三転する長い内容をプレイヤーに飽きさせなかったことは高評価です。5人の魔女を筆頭にキャラクターも立っており、20人以上の登場人物に、不要なキャラクターが1人もいなかった点もすばらしいと思いました。
プレイヤーが自由に行動できるアドベンチャーパート
3回1セットで好きな場所へ行ける自由時間。他のキャラクターと会って好感度を上げたり、アルバイトや探索を行って報酬を得たりと、好きな行動を取ることができます。好感度を上げたキャラクターはイベントを見られるだけでなく、スキルを覚えるため、強化育成を兼ねているのが楽しかったです。男女問わず仲良くなっていく主人公が完全にプレイボーイでした。
自由時間の回数は限られていることと、個別エンディングにも絡んでくるため、楽しみながらも考えさせられる要素になっています。私はヒロインとしてサクヤ。アルバイトでビアンカちゃんのところに通っていましたが、1周目では頑張っても数人しか好感度を最大にまで上げられないので、どのキャラと仲良くなるか悩ましかったです。
マルチエンディング+多数の個別エンディング
発売前のインタビューでも明かされていましたが、ノーマルエンドとトゥルーエンドのマルチエンディング構成。それに加えて、ほぼ全キャラクターの後日談が用意されています。スタッフロール後に分岐する形式なので、確認するためにはラスボスを繰り返し倒さなければなりません。しかし、スタッフロールがスキップできないと言う、最後まで効率的に遊ばせてくれない仕様でした。ある意味、ブレのない作品です。
1周目で全員の好感度を上げきるのは不可能となっており、コンプリートを目指す場合の本番は2周目以降。自由時間が増えて、どんどん好感度を上げていけます。残念ながら、引継ぎ要素はお金と経験値ブーストのみ。低速なバトルパートが足を引っ張るため、大きな時間短縮はできないのですが、それでも頑張りたいと思える魅力があります。
さいごに:俺たちの2周目はこれからだ!
コンプリートとまでは言わないものの、エンディングが気になるので2周目を開始しました。1周目に掛かった時間が34時間だったので、予想では半分くらいでクリアできると思います。本作のレビュー・評価に関しては書き上げたとおりですが、2周目以降の内容によってはクリア後の感想を書くかもしれません。周回プレイするほど楽しんでいるのに、褒めきれないバトルパートが本当に惜しい作品でした。