【星の欠片の物語、ひとかけら版 | PS4】評価・レビュー 未完結でもおすすめしたいVR謎解きアドベンチャー

総評
PS VRでのプレイに特化したゲームデザインが特徴的な謎解きアドベンチャー。最終的にストーリーは未完結ながらも、遊び終えると他の人にも勧めたくなる魅力を備えた作品です。
良かったところ
興味深いストーリー
かわいらしいヒロイン
VRに特化したゲームデザイン
5
A+
ジャンル VR専用コミュニケーション謎解きアドベンチャーゲーム
ハード PlayStation 4 (PS VR)
発売日 2018年1月26日
発売元 メディアスケープ
開発元 自転車創業
フォージビジョン
公式サイト リンク
プレイ時間 ストーリークリアまで6時間

 VRに特化した謎解きアドベンチャー星の欠片の物語、ひとかけら版」のレビュー記事です。

 他の世界を覗き見る事が出来る装置(PlayStation VR)を通して別世界の少女と出会い、謎解きに挑む本作。コントローラーを使わずに視線だけで少女に指示を伝える操作や、プレイヤーが定位置から動くことができない設定など、独特のゲームデザインになっています。

 謎解きはかなり難解で、開始数分で悩んでしまうレベルです。しかし、気付きによるブレイクスルーの達成感や、かわいいヒロインと興味深いストーリー用意されていることもあって、最後まで遊んだら他の人に勧めたくなってしまう作品でした。

PS VRだけを使って挑む謎解きアドベンチャー

 作中で「PlayStation VR」が『他の世界を覗き見る事が出来る装置』と呼ばれている通り、プレイヤーは視界を動かす以外の行動ができません。コントローラーには何も操作が割り当てられていないので、手放しても大丈夫です。ストーリーから操作性まで、VRで遊ぶことだけを考えて作られています。

 少女に指示を伝える手段は視線のみのため、焦れったい部分も多いですが、そこまで含めて1つのゲームデザインとして作り込まれている印象です。必然的に「第四の壁を破る」作品となっており、VRと別世界の様々な制限の共有が、現実らしさの演出を後押ししていました。

別世界でのパートナーはかわいいポンコツ少女

  • 星の欠片の物語、ひとかけら版 少女 プロローグ

 別世界で出会う少女は、力を合わせて謎解きに挑むパートナーです。3Dモデルがとてもよくできており、これだけでも興味を惹かれる人は多いでしょう。さらに、巨乳・長い耳・のじゃロリなど、オプションが豊富に盛り込まれています。服装の露出度も絶妙で、良い意味であざとい子です。

 少女は、星が欠片になった際に知識と記憶と知恵を失っているため、自発的な行動は何も行いません。考えることはプレイヤーに丸投げです。ゲームなので仕方ないとはいえ、プレイヤーが認識していない物は、少女にとって見えていても存在しない物扱いのため、とてもポンコツな印象を持ちました。

かなり難易度の高いVRを用いた謎解き要素

  • 星の欠片の物語、ひとかけら版 少女と青いブロック

 本作の謎解き要素は、序盤から高難易度です。場合によっては、開始数分で手詰まりになる可能性があります。ギミックの操作を考えるだけでなく、定位置から動ける範囲内で身を乗り出して死角を探してみるなど、VRの機能を最大限に活用しなければなりません。

 一部ギミックには、ヒントが用意されているものの、ヒント自体が謎かけのような文言になっています。直接的な救済措置はなく、プレイヤーが試行錯誤するしかありません。意外な場所にスイッチがあったり、意地悪なフラグ管理が用意されていたりするので、攻略には柔軟な思考が必要です。

【改善済】ゲームのテンポが遅い点はストレス要因

  • 星の欠片の物語、ひとかけら版 少女

 視線だけで指示を出す間接的な操作に加えて、少女の行動に無駄が多く、ゲームのテンポが遅いと感じました。対象の位置によっては、フォーカスロック・指示の確定がスムーズに行かないことも気になります。試行錯誤で同じことを何度も繰り返していると、不満も積み重なりました。

 少女のセリフのバリエーションが少ないことも、テンポの遅さを助長しています。1つの行動に対して、セリフのパターンが1つしかないどころか、複数の行動で同じセリフを使い回しているため、進展がない印象を強調していました。こういった点には、もうひと頑張りが欲しかったです。

 アップデートによってテンポの大幅な改善が行われました。少女の行動が最適化されたことに加えて、指示の確定が省略されたことで、かなりスムーズに遊ぶことができます。セリフも繰り返し同じことを言わなくなったので、謎解きで詰まっても印象が大違いです。

 レビュー執筆当初に掲載したストレス要因が全て取り除かれたため、独特のゲームデザインがより魅力的になりました。同時に、謎解きのバランスにも調整が加えられているので、発売当初にプレイして諦めてしまった人も、改めて挑戦する良い機会かもしれません。

未完結でもおすすめしたくなるプロローグ版

 今回の「ひとかけら版」はプロローグ版です。一区切りつくところまでは遊べるものの、完結には至りません。しかし、未完結ということを活かした結末が用意されており、うまくストーリーを収めていました。もし、プロローグ版に抵抗があって購入を迷っているなら、気にせず購入して大丈夫です。

さいごに

 本作の完全版が製作される可能性は「ひとかけら版」のプレイヤー数に掛かっているので、レビュー記事を読んで興味を惹かれた方は、是非とも別世界を覗き見てほしいです。最後までプレイをしたら、きっとあなたも誰かにおすすめしたくなるでしょう。