【ソウルハッカーズ2】評価・レビュー 悪魔を使役して、世界の滅び回避するため戦うRPG

総評
悪魔を使役して、世界の滅び回避するため戦うRPG。ストーリーは内容・ボリュームともに物足りなさを感じたものの、一新されたバトルシステムは好感触でした。全体的にテンポが悪く、不必要に伸びたプレイ時間が評価の足を引っ張った作品です。
良かったところ
一新されたバトルシステム
悪かったところ
物足りなさを感じたストーリー
全体的に目立ったテンポの悪さ
3
B
ジャンル RPG
ハード PlayStation 4
PlayStation 5
Steam
Xbox
発売日 2022年8月25日
発売元 アトラス
開発元 アトラス
公式サイト リンク
プレイ時間 ストーリークリアまで32時間

 アトラスがおくるRPG「ソウルハッカーズ2」のレビュー記事です。

 14年ぶりの「デビルサマナーシリーズ」新作となる本作。滅びを回避するために降り立った「エージェント」と、3人のデビルサマナーによる物語は、現在に繋がる過去を徐々に紐解いていく、独特の見せ方が特徴的でした。メインストーリーだけでは10数時間のボリュームですが、豊富な寄り道要素や周回プレイで倍以上に楽しめる構成です。

 従来の悪魔(仲魔)と一緒に戦う形式から、各キャラクターが悪魔を装備して戦う形式に一新されたバトルシステムは、過去作からプレイの感触が大きく変化。悪魔の管理が簡素になったことに加えて、難易度選択も用意されており、シリーズが初めてという人でも取っつきやすそうな印象でした。

 大きな不満点として、全体的にテンポの悪さが目立ちました。キャラクターが成長するにつれて演出を眺める時間が増える戦闘や、同じ場所を何度も移動させられるダンジョン探索など、不必要にプレイ時間が伸びてしまう部分が多かったです。

世界の滅びを回避するため奔走する物語

 「リンゴ」と「フィグ」、2人のエージェントが世界に降り立つところから始まるストーリーは、滅びの未来を回避するために奔走する物語です。進行は操作キャラクターの「リンゴ」を中心に展開しますが、メインキャラクターごとに個別のストーリーが用意されているため、全員が主役級の扱いでした。

 開始時点で、様々な出来事が発生した後となっており、ゲームを進めることで過去が紐解かれていく見せ方は独特です。序盤であっさり退場して、過去の映像でのみ繰り返し登場するキャラクターや、設定の後出しが目立ち、好みが分かれそうな部分だとも感じます。

 世界の命運を左右する内容ではあるものの、物語の規模感は小さく、基本的には「リンゴ」の主観視点でのみ進行します。キャラクターたちが所属している組織の動向や、社会の情勢については、申し訳程度の語りに留まり、物足りなさが拭えないストーリーでした。

 なお、シリーズ作品ではあるものの、過去作との繋がりはキーワードが登場する程度で、本作から初めてプレイしても問題はありません。

豊富な寄り道要素と周回プレイ

 1周目のクリアまで約32時間でしたが、半分くらいはリクエストの消化や、メインストーリーの進行に直接関係のないダンジョン「ソウル・マトリクス」に費やされました。寄り道要素が豊富に存在する反面、メインストーリーのボリュームが控えめです。

 もちろん、リクエストや「ソウル・マトリクス」を遊ぶことによっても、様々なイベントが楽しめるので、キャラクターやストーリーの深掘りには繋がります。ただし、大半がボイスなしのテキストだけで構成されているため、中途半端な作り込みの印象が強かったです。

 引継ぎ周回の機能が用意されており、2周目で体験できるイベントやリクエストが存在するため、全てを遊び尽くすなら周回プレイは必須です。ただし、基本的な項目は引き継げるものの、リクエストや「ソウル・マトリクス」の進行状況はリセットされるため、1周目を遊びすぎると2周目で二度手間が増える構成は残念でした。

悪魔を装備して戦う新形式のバトルシステム

 バトルシステムは、従来の悪魔(仲魔)と一緒に戦う形式から、各キャラクターが悪魔を装備して戦う形式に一新。忠誠度や性格といった要素もなくなり、悪魔の存在は装備品のような扱いになっているため、過去作からプレイの感触は大きく変化しました。異なる面白さが楽しめる反面、悪魔との共闘感がない点には注意が必要です。

 パーティーメンバーも最大4人と縮小しましたが、弱点・耐性といった「属性要素」や、戦闘中の悪魔変更を含む「コマンダースキル」などがあって、戦略性は十分です。特に、特定の条件を満たすことで悪魔がスタックされ、ターン終了時に一斉攻撃する「サバト」は、全体に問答無用で大ダメージを与えられるため、常に発動を意識する戦闘の中心要素でした。

 難易度は3段階が用意されており、「NORMAL」でも易しめの難度でした。メインストーリーだけを進めているとレベル不足に陥りますが、適度に寄り道しながら遊べば、余裕を持って勝てるさじ加減です。悪魔の管理が簡素になったことで、シリーズが初めての方でも取っつきやすくなった印象でした。逆に、物足りない方には「HARD」や無料DLCで「VERY HARD」が追加できます。

イベント・バトルともに目立ったテンポの悪さ

 プレイ中、テンポが悪いと感じてしまう箇所が目立ちました。イベントにおいては、会話のない間延びしたシーンが多いです。少しくらいなら演出の溜めとして良いのですが、多用されると退屈を感じます。遊び尽くすには周回前提の構成でありながら、ムービー以外はスキップ不可で早送りしか行えない仕様も今ひとつでした。

 演出の早送りや省略が存在しないため、戦闘も長引きがちです。キャラクターが成長するにつれてスキル演出も長くなるので、終盤は演出を眺める時間が戦闘の多くを占める形になります。通常攻撃を繰り返す「オートアタック」中のみ早送りが発生するものの、通常攻撃だけで戦える場面は限られており、敵のターン中のみ切り替えて時短する機能と化していました。

 ダンジョン探索も、常に一方向からしか開かないドアや、行き先が分からない一方通行のワープが多く、同じ場所を何度も移動させられます。ワープは通ったことがあるかどうかの判別がゲーム内に存在しないため、自身でメモを取る手間も発生しました。こういったギミックが複数回登場するため、同じ場所を繰り返し移動するだけの時間もプレイ時間に多く含まれています。

さいごに

 決して悪い作品ではないですが、期待していたほどの内容ではなく、評価としては今ひとつでした。定価が9,878円(税込)と高めの価格設定に加えて、大ボリュームではないにもかかわらず、悪魔や追加シナリオを有料DLCで販売している点も腑に落ちません。

 テンポの悪さなど、不満点の一部はアップデートの余地が存在するものの、素直におすすめはしづらい作品でした。