ジャンル | 美少女従魔RPG |
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ハード | PlayStation 4 PlayStation Vita Nintendo Switch |
発売日 | 2017年8月31日 |
発売元 | コーエーテクモゲームス(ガスト) |
開発元 | コーエーテクモゲームス(ガスト) |
公式サイト | リンク |
プレイ時間 | 1周目クリアまで16時間 |
ガストがおくる美少女従魔RPGシリーズ 第2弾「よるのないくに2 ~新月の花嫁~」のレビュー記事です。
美少女というコンセプトはそのままに、大きく様変わりした本作。リリィと呼ばれる8人のヒロインが登場することで、複雑に絡み合うストーリーは、前作以上に多彩なシチュエーションが用意されていました。アクションゲームとしても、リリィたちとの共闘や従魔の個性追加。アビリティポイント制を取り入れた育成システムの変化などもあって、世界観以外は別作品と言っても過言ではありません。
多くの変化・追加要素によって進化しているなら良かったのですが、各要素がうまく整合していないため、ゲームとしての面白さにつながっていないのは残念でした。1年近い延期を行い、長い開発期間を掛けて発売された割には、ガッカリな評価の作品です。
目次で流し読み
伏線や説明不足が目立つ薄っぺらいストーリー
ヒロインが8人と大幅に増えたのに対して、ボリュームが8倍というわけではないため、1人1人のストーリーはかなり希薄です。主人公とのイベントですら最低限となっており、ヒロイン同士の絡みは、ほとんどありません。説明不足と感じる箇所も多く、伏線と呼べるほどの情報もないままに、プレイヤーを置いてけぼりで話が進んでいく展開だった点も気になりました。
なお、前作のキャラクターが頻繁に登場することに加えて、リリィの1人は前作主人公のため、ストーリーをしっかりと楽しむには、前作からのプレイを推奨です。
ゲームの基本となるクエストと2つの制限時間
ストーリーは章仕立てになっており、各章のメインクエストを全てクリアすることで、次章へ進める形式です。ストーリーに関わるメインクエスト以外にも、ヒロインとの絆を深めるリリィクエストや、報酬が手に入るサブクエストが存在。ゲームは各種クエストを中心に進行していくことになります。
クエストを達成するための探索には、2つの制限時間が設けられています。1つは、1度の探索で活動できる制限時間。もう1つは各章に設定された探索可能日数です。制限時間はレベルアップなどで伸ばせるのに対して、日数制限は固定で、残数が尽きるとゲームオーバーになってしまう厳しい仕様です。
ゲームプレイに緊張感を持たせるための制限時間・日数ですが、私はこのルールが遊びの幅を狭めて、本作の面白さを大きく引き下げていたと感じました。
単純作業になりがちな親密度上げとエンディング分岐
パートナーとして一緒に探索できるヒロインたちは、親密度を上げることで、アビリティの習得や個別イベントを見ることが可能です。ヒロインとの親密度によって、エンディング分岐や後日談が発生するため、メインストーリーの進行と平行して絆を深めていくことになります。
親密度を上げるためのリリィクエストは、「○○しろ」「○○に行け」といったおつかい形式が中心です。クエストが発生するエリアはクリア済みの場所が多いため、メインクエストと同時に達成するのは難しくなっています。探索に日数制限が存在する都合上、まずはメインクエストを章クリア寸前まで進めてから、余った日数でリリィクエストを繰り返す、単調な作業プレイが目立ちました。
1周目で全員の親密度を上げきるのは難しく、注力したヒロインによってはエンディング分岐すら達成できない可能性が高いです。救済措置として周回プレイ時に親密度を引き継ぐことはできるものの、リリィクエストの進行状況はリセットされてしまいます。そのため、2周目以降も単調なクリア作業をやり直しになってしまうのが、とても煩わしく感じました。
選択肢は多いが自由はないリリィ・従魔の選択
探索時には1人のリリィと2体の従魔を連れていくことができます。同時に連れていける従魔の数は減りましたが、リリィは8人、従魔もDLCを除いて16体用意されているため、組合せは豊富です。各リリィ・従魔の個性も豊かで、連れていくメンバーによって戦い方は大きく変わりました。
しかし、リリィクエストを達成するために対応するヒロインを連れて行く必要があるため、リリィを自由に選択できる機会はほとんどありません。親密度を引き継いで余裕のある2周目以降ならともかく、1周目は制限時間やエンディング分岐に関係するヒロインの親密度上げに追われることになります。
従魔もリリィ同様に選択肢は乏しいです。探索する各エリアには、特定の従魔でなければ除去できない障害物が存在するため、基本的には障害物に対応できる従魔を連れ歩くことになります。探索日数や時間に制限があるので、優先的に解放しなければ効率が悪いからです。しっかりと成長させれば、戦闘要員としても申し分ないため、他の従魔を連れていく理由が存在しませんでした。
数ばかりで中身が伴っていない各種ゲームシステム
前述してきた以外にも、本作には様々なゲームシステムが盛り込まれています。しかし、各要素がうまく整合していないため、面白さには全くつながっていませんでした。驚くほど空気なシステムや、前作の方が良かったと思える部分も多かったです。いろいろと詰め込んでこねくり回した結果、まとまりが取れなくなっていた感触だったので、思い切って勇気ある軽量化をしてほしかったと感じます。
さいごに
ストーリーには不満があったものの、育成要素や従魔の組合せが楽しかった前作に対して、続編は期待外れとしか言いようがありません。一応、2周回して全ヒロインのエピソードをコンプリートするまで遊びましたが、プレイ時間が伸びるほどに粗が見えてしまい、評価が下がってしまう作品でした。