ジャンル | アクションRPG |
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ハード | PlayStation 4 PlayStation Vita Nintendo Switch |
発売日 | 2018年3月8日 |
発売元 | 日本一ソフトウェア |
開発元 | 日本一ソフトウェア |
公式サイト | リンク |
プレイ時間 | ストーリークリアまで22時間 |
4人の姫君を褒めて・叱って育てるアクションRPG「あなたの四騎姫教導譚」のレビュー記事です。
一風変わったコンセプトやキャラクターが目を引く本作。姫の育成要素を中心に、多彩なゲームシステムが用意されているのも特徴です。しかし、どれも洗練されているとは言い難いクオリティだったのは残念でした。ほとんどのシステムが中身のない形ばかりの物になっています。
ストーリー面においても、癖が強くて魅力的なキャラクター以外に評価できるところがありません。複数周回するストーリー構成に対して、全体の半分以上が共通シナリオのため、ボリュームの水増しがひどかったです。周回を繰り返すたびに評価が下がってしまいました。
どこを取っても一貫性に欠けるゲームデザインとなっており、本当に作りたかった物に対して、妥協して発売したのではないかと疑ってしまう作品でした。
目次で流し読み
癖が強くて魅力的な4人の姫君たち
教導騎士となった主人公が教育する姫君たちは、癖の強いキャラクターばかりです。肉を食べてばかりの明るい戦姫、だっこをせがむ小さな魔女姫、没落しても高潔な薔薇姫、大宗教の教祖で全てを愛する竜姫。軽く特徴を挙げてみるだけでも、個性と魅力が強く表れています。
プレイヤーが操作する主人公はカスタマイズ可能となっており、選んだ性別や性格によって会話が変化するのも大きな特徴です。主人公自身は会話に直接参加しないものの、様々なキャラクターが登場して、フルボイスで会話を交わすストーリーはとても華やかでした。
主張の激しいキャラクターの縦揺れ
会話中、立ち絵に動きを付けることは珍しくないですが、物語に集中できないほど揺れるのは強く印象に残りました。イキイキしているどころか、表情が読み取りにくいほどです。どういう意図で過剰に揺らしているのか不明ですが、無駄に好みが分かれそうな部分でした。
同じことの繰り返しが続くストーリー構成
ストーリーは、4人の姫を教導する前半と、1人の姫を選んで教導する後半に分かれています。選択した姫や信頼度の高さによってエンディングが変化する、マルチエンディング形式です。クリア後は、一部のパラメータを引き継いで周回することができます。
全ての姫君を攻略するには、最低でも4周回は必要ですが、2周目以降は共通ストーリーの前半が厄介でした。個別ルートの後半よりも前半の方が長く、後半も一部は共通のため、周回の大半が同じ内容の繰り返しです。3周目、4周目になってくると見飽きてしまいました。
全エンディング達成に22時間と、アクションとしては十分なボリュームに見えますが、実際には重複ばかりの水増しになっています。一部の分岐に前半での行動が関わってくるとはいえ、単調に繰り返すのではなく、もう少し工夫して気持ちよく遊ばせてほしかったです。
説明不足と操作性の悪さが目立つアクションパート
指揮官と兵を操作して戦うアクションパートには、数多くのシステムが詰め込まれています。全てを使いこなせれば、スピード感のある戦闘を楽しめるものの、チュートリアルの手抜きや説明不足が目立ちました。ゲーム内の説明だけでなく、公式サイトも熟読必須です。
システムが多い反面、ボタン配置の関係でスムーズな操作が難しかった点も気になりました。1つのボタンに複数の機能を割り当てているために誤操作が頻発したり、指揮官と兵を同時操作するには指が足りなかったりと、もどかしく感じます。ボタンの配置変更が欲しかったです。
PS4版でプレイする場合、他プラットフォームとの兼ね合いなのか、L2/R2ボタンに機能が割り振られていません。操作が複雑なのに、ボタンは余っている歯がゆい状況でした。操作しにくいという理由で使わなくなったシステムも多かったので、もったいなかったです。
姫以外に存在価値のない偏った育成要素
アクションパートでは、姫以外の指揮官で出撃することも可能です。しかし、育成要素が姫に集中しているため、活躍する機会がありません。姫が成長することによって他の指揮官が強化されるのに対して、姫の強化は姫自身が戦う必要があるからです。
複数の指揮官が必要になる場面もほとんどなく、基本的には姫1人で全てをクリアできてしまいます。姫以外の指揮官で戦うほど、味方全体の成長が遅れるばかりでした。
姫が指揮官の場合に限り、「ダイレクト教導」が使用できる点も大きいです。回数制限があるとはいえ、「能力上昇」「HP回復」「戦闘不能からの復活」など、圧倒的な効果を発揮します。育成面、性能面、どちらにおいても姫以外を出撃させるメリットが見当たりませんでした。
形ばかりの豊富なゲームシステム
前述した、姫以外の指揮官に存在価値がない点を筆頭に、本作には中身のないゲームシステムが多数存在します。褒めて、叱って、育成するゲームと謳いつつ、プレイヤーがどちらを選んでも、少しリアクションが変わるだけの「ダイレクト教導」が良い例です。
極端に取得困難な課題マテリア。移動や再出撃に待ち時間が発生する割に、面白くする工夫は見られないワールドマップ。最初から最後まで意識することなく、公式サイトでも触れられていない「部隊AP」など、必要だったのか疑問を抱いた項目を挙げていくときりがありません。
至る所から感じられる未完成のクオリティ
どこを取っても一貫性に欠けている部分が多く、本当に作りたかったのは、もっと壮大なゲームだったのではないかと疑ってしまいます。システムだけはいろいろと盛り込んでみたものの、うまく作り込むことができず、最低限の体裁を整えて発売した感触を否めませんでした。
さいごに
魅力的なキャラクターや、アクションパートに光るところがあっただけに、中途半端な作り込みが残念でした。意味のないシステムや冗長なストーリー展開を、コンパクトにまとめるだけでも評価は変わったと思います。その結果、ボリューム不足が目立ってくるかもしれないですが、無駄に時間を取られるよりは良かったです。
独特のコンセプトから期待をしていたこともあって、発売延期をした上で低い完成度だったことに失望を隠せない作品でした。