ジャンル | アクションRPG |
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ハード | PlayStation 4 Nintendo Switch Steam |
発売日 | 2020年4月24日 |
発売元 | スクウェア・エニックス |
開発元 | xeen スクウェア・エニックス |
公式サイト | リンク |
プレイ時間 | 1周目クリアまで16時間 |
1995年に発売された「聖剣伝説3」のリメイク「聖剣伝説3 TRIALS of MANA(トライアルズ オブ マナ)」のレビュー記事です。
6人のキャラクターから3人のパーティーメンバーを選ぶことで、物語が多彩に変化する「トライアングルストーリー」が特徴的な本作。グラフィックの大幅な進化に加えて、キャラクターボイスの追加が行われたことによって、より魅力的になったストーリーは見応え抜群です。クリア後の追加エピソードでは、各キャラクターの新たな側面も描かれており、ストーリーの補完につながっていました。周回プレイを手助けする新機能も用意されているため、コンプリートのハードルが下がったことも好感触です。
ストーリー関連がおすすめできる反面、アクションバトルや成長要素に物足りなさを感じたのは残念でした。特に、アクションバトルは単調なプレイで早々に飽きてしまい、作業的に戦闘を繰り返していた印象が強いです。追加エピソードに併せて実装された、「クラス4」や隠しダンジョンといったコンテンツも荒削りなクオリティとなっており、一部に不満が残る作品でした。
多彩な変化と周回プレイが楽しめるトライアングルストーリー
選んだキャラクターの組合せによって、物語が多彩に変化する「トライアルストーリー」は、本作における最大の特徴です。特に、主人公として誰を選ぶかで、仲間たちと出会うまでの展開が異なるだけでなく、終盤のダンジョンやラスボスまで変化します。仲間として選んだキャラクターによって、細部の会話も変化するため、何度遊んでも新しい会話を楽しめる構成です。各キャラクターには対となるキャラクターが存在しており、一緒に選択することで、物語同士がつながる会話も存在します。
ストーリー自体は、オリジナル版から大きな変化はないものの、グラフィックの進化によって表現が大幅に強化されていました。キャラクターにはボイスも追加されており、個々人の魅力が大きく引き上げられている印象です。ドットの2Dからリアルな3Dになったことで、少し突っ込みたくなるような場面も見受けられましたが、おおむね許容範囲のうちでした。イベントの会話中、ボイスの再生を待たずにボタンで先へ進めると、演出まで一緒にスキップされる場面が多いため、自分のペースで読み進めたい人は注意が必要です。
終盤の展開は、大きく分けて3パターンに分かれるため、全てを体験するには最低でも3周回が必要となる本作。1周目は十数時間のボリュームで長い道のりですが、2周目以降は新たに追加された「強くてニューゲーム」と「プロローグスキップ」が役立ちます。「強くてニューゲーム」を行えば、キャラクターのレベルを引き継げるため、最初の3人のうち1人を継続して選べばサクサクと進行。さらに、「プロローグスキップ」で該当キャラのプロローグをスキップできるため、周回プレイのハードルを大きく下げていたのは好感触でした。
荒削りな部分が多く見受けられた追加エピソード
新たに追加されたエピソードは、メインストーリーのクリア後に解放されるコンテンツです。時系列はクリア前に戻った状態で、各キャラクターのストーリー補完となる新イベントと、隠しボスが待ち受けているダンジョン攻略が中心となっています。各キャラクターの新イベントは、少しパラレルワールド感があったものの、それぞれの新たな側面が描かれた見どころのある内容です。
追加エピソードの大きな目玉として、クラスチェンジに「クラス4」が追加されているのですが、性能的にはステータス上昇が中心で、少し期待外れでした。戦闘中に使用できる特技(スキル・魔法)の追加はなく、たまに使用できる必殺技が解放されるくらいなので、見た目が大きく変わる以外にバトルへの影響は控えめです。また、メインストーリーでは「クラスチェンジ」が物語にほとんど絡まないのに対して、追加エピソードでは事あるごとに「クラス4」をアピールしてくる点に違和感を覚えました。
追加エピソード全体は、2時間程度のボリュームで、大半はダンジョン攻略が占めています。既存マップの流用・加工を組み合わせた、長大なダンジョンです。各キャラクターに関連したマップが登場した際、ちょっとした発言が用意されているものの、基本的には雑魚戦が続くだけの冗長な構造だったのはガッカリでした。最奥には、隠しボスや特殊なバトルに挑戦するミッションが用意されているとはいえ、「クラス4」と併せて、荒削りなコンテンツという感触です。
リメイクによって一新された成長要素
リメイク版では、レベルアップと「クラスチェンジ」を併せた成長要素も一新。レベルアップで入手したポイントを割り振ることで、ステータス上昇や特技・アビリティを獲得していく形式となっています。キャラクターごとに得意不得意は存在するものの、成長させる方向によってプレイスタイルに変化を与えることが可能です。獲得したアビリティの一部は、「リンクアビリティ」として他のパーティーメンバーに装備することもできるため、誰を仲間にしているかで組合せにも変化が発生します。
オリジナル版にも存在した「クラスチェンジ」は、ステータスの上昇や必殺技の解放に加えて、ポイントで獲得できる特技・アビリティが変化します。クラスごとに用意された成長幅の中から、ポイントの割り振りで成長の方向を確定させるイメージです。かなり終盤限定ですが、クラスをリセットするアイテムも追加されています。クラス4など、上位クラスを比較したい場合に役立つのですが、転職用アイテムを獲得できる場所が離れており、リセット後に再び上位クラスへ上げる手間が難点でした。せっかくリセット機能を追加するなら、もう少しスムーズに行える工夫が欲しかったです。
序盤のうちは成長の幅が狭く、使用できる特技も少ないため、それなりに考えて育成しなければ苦戦しがちのバランスです。しかし、中盤以降はポイントに余裕があり、強力な特技も覚えるため、攻撃力極振りといった極端な方針でも困りません。また、300種類以上のアビリティが存在するものの、一部の強力な物を除けば個別の効果は実感しづらく、カスタマイズはおざなりになりがちでした。ポイントの割り振りからアビリティの構成まで、真剣に悩んで構築したのは、追加エピソードのタイムアタックミッションくらいだったかもしれません。
単調で飽きるのが早いアクションバトル
他のコンテンツ同様、3Dで作り直されたことで大幅に変化したアクションバトルですが、残念ながら中盤あたりで飽きてしまいました。プレイヤーの操作が基本的に同じ動きの繰り返しになってしまうのが主な理由です。具体的には、敵スキルの予告範囲が見えたら回避、あとはひたすら攻撃を続けるだけになります。たまに、空を飛んだり、シールドを張られたりするとはいえ、どちらも対処にストレスが溜まる行動のため、好意的な変化とはいえません。
クラスチェンジによって特技が増えると、一時的に新鮮味がよみがえるものの、十数時間で3回しかない変化です。しかも、前述したように「クラス4」には特技の追加がないので、バトルへの影響は軽微でした。隠しダンジョンが雑魚戦ばかり続くという不満も、根本的な原因は通常のバトルに飽きていたからです。
幸いなことに、ボスエネミーにはユニークな攻撃が豊富に用意されているため、退屈には至りません。制限時間内に一定のダメージを与えて、強力なスキルの発動を阻止する、ボス専用のギミックも存在します。失敗すると一発で全滅する場合もあるので、緊張感は抜群です。巨大なボス戦では、カメラワークが若干気になったものの、手応えのあるバトルを堪能できました
バトルに飽きていた中、オートで戦う仲間のAIをカスタマイズできた点は好感触でした。攻撃対象にするエネミーの選択基準や、行動方針を細かく設定できるため、少しでも早く終わらせるための効率化を図れます。もちろん、自分で操作して行動させる方がより効率的ですが、バトルに対するモチベーションが下がっている状態では、ある程度まで自動化できるのは助かりました。
さいごに
本作は、各キャラクターのプロローグから最初のボス戦までを楽しめる体験版が配信されています。セーブデータは製品版に引き継げるため、購入を悩んでいる方は、先にプレイすることをおすすめです。私自身、体験版の段階では戦闘が面白いと感じていたものの、雑魚のギミックがシールドと飛行ばかりとは思っていなかったので、その点も気にしてプレイ・購入判断してみると良いかもしれません。