ジャンル | アクションRPG |
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ハード | PlayStation 4 PlayStation Vita Steam |
発売日 | 2018年2月15日 |
発売元 | スクウェア・エニックス |
開発元 | スクウェア・エニックス |
公式サイト | リンク |
プレイ時間 | ストーリークリアまで13時間 |
1993年に発売された聖剣伝説2のリメイク「聖剣伝説2 SECRET of MANA」のレビュー記事です。
フルボイス対応やトークイベントの追加など、ストーリーの演出が大きく強化された本作。同時に遊びやすさも向上しているなら最高だったのですが、ゲームとしての完成度は目に余る低さでした。配慮に欠けた作り込みに加えて不具合やエラーが多発するため、気持ちよく遊べません。SFC版も不具合が多いことで有名でしたが、悪いところまで継承しているリメイクです。
多発する不具合まで含めて「聖剣伝説2」だと楽しめるなら良いのですが、完成度の高いリメイクを期待していると痛い目に遭います。思い出を綺麗なままで残したい方や、リメイクを機に初めて遊んでみようという方には、あまりおすすめできない作品でした。
目次で流し読み
良くも悪くもSFC版を忠実にリメイク
基本的にはSFC版から大きな変化がなく、少し煩わしい操作感のアクションが忠実に再現されています。変更を加えすぎると別ゲームになってしまうため、良い悪いを語る部分ではないものの、SFC版を遊んだことがないユーザーからすると、面倒くさいゲームだと思われそうです。
事あるごとにキャラクターの座標を1箇所に集めるのもSFC版から変わらずですが、2Dのドット絵から3Dモデルに変更されたことで、絵面が少し気持ち悪い点は気になりました。リメイク作品にとって再現度は重要ですが、何でもかんでも当時のままというのは少し雑に感じます。
全てをリメイクしているのかと思いきや、大砲屋利用時の演出が完全にカットされていたのは、とても残念でした。大砲から発射されて空を飛ぶ光景はインパクトが強く、鮮明に覚えている演出だったので、どうしてなくしてしまったのか納得ができません。
配慮に欠けた遊びにくいゲームシステム
×ボタンで話しかけて○ボタンで決定する初期キー配置の時点で、配慮の欠片もありません。装備画面の初期カーソル位置がゴミ箱になっており、確認画面もないため、少し操作を誤ると防具を捨ててしまうUIは、プレイヤーに対する嫌がらせなのかと疑ってしまいました。
キャラクターの周りではなく、中央に表示されるようになったリングメニューも、誰のメニューを開いているのか分かりにくいです。よく見ると、カーソルが対応するキャラクターの色に変化しているのですが、特に説明がないので最初は気付きませんでした。
実際に使ってみるまで効果が分からないアイテム。性能を表示せずに販売されている防具など、行き過ぎた手探りの部分が多く、遊びにくさを強く感じるゲームシステムになっています。
頻繁に発生する「CE-34878-0」エラー
ストーリーをクリアするまでに、エラーによるゲーム終了が10回以上発生しました。大体1時間に1回のペースです。環境にも左右されるかもしれないですが、頻度が高すぎです。特定の操作で起こるのではなく、普通にプレイしているだけで発生するため、回避する方法はありません。
オートセーブ機能があるので、エラーによる巻き戻り被害が小さいのは救いでした。手動セーブできる箇所は少ないため、オートセーブがなければ致命的な不具合だったと感じます。とはいえ、発生するたびにモチベーションがそがれることには変わりなく、不満は大きかったです。
予想も付かない多種多様な不具合
攻撃時の当たり判定があやしい点を筆頭に、様々な不具合が発生しました。複数の攻撃・魔法が重なると、死んだはずのキャラクターが生きていたり、攻撃がなかったことにされたりと、展開が予想できません。倒した敵の判定だけが残って、仲間が攻撃を繰り返す場面もありました。
衝撃的だったのは、キャラクターが消失してしまう不具合です。発生すると謎の空間に入ってしまい、切り替えても操作できません。施設の利用やイベントになっても帰ってこないのですが、セーブデータをロードすることで正常な位置に戻ったので、事なきを得ました。
登場キャラクターは完全フルボイス
メインキャラクターだけでなく、街中にいるモブキャラクターまでフルボイスになっているのは、すばらしいと感じました。もちろん大砲屋や宿屋・よろず屋の受付もボイス付きです。話しかける相手も多いため、賑やかな印象を受けます。
欲を言えば、イベントで会話が用意されているキャラクターには口パクが欲しかったです。主人公などの一部キャラクターを除いて、ボイスが流れていても表情は全く変化しないため、着ぐるみがしゃべっているのか、腹話術を見ているような違和感を覚えました。
トークイベントが追加されたストーリー
宿屋に泊まると発生するトークイベントは、リメイクで最もうれしかった追加要素です。前述したフルボイスに加えて、表情豊かなキャラクター同士の掛け合いが楽しめます。ストーリーに対する補完・掘り下げとなっているため、聖剣伝説2のキャラクターが好きな人は必見です。
トークイベントは数十種類と豊富に用意されており、ストーリーの進行に合わせてどんどん追加されていきます。中には期間限定のイベントも存在するため、回復する必要がなくても宿屋に連泊してしまいました。たまに精霊が参加するなど、会話のバリエーションも豊富です。
さいごに
ストーリー面の演出強化は良かっただけに、ゲーム部分の低いクオリティが足を引っ張っていたのは、もったいないと感じます。SFC版のバグがひどかったから今回も許容するというのは難しく、リメイクに対する期待に応えてもらえなかった、残念な作品でした。