ジャンル | ブレインパンク・アクションRPG |
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ハード | PlayStation 4 PlayStation 5 Steam Xbox Series X|S |
発売日 | 2021年6月24日 |
発売元 | バンダイナムコ |
開発元 | バンダイナムコスタジオ |
公式サイト | リンク |
プレイ時間 | 1周目クリアまで19時間 |
バンダイナムコがおくるブレインパンク・アクションRPG「SCARLET NEXUS (スカーレットネクサス)」のレビュー記事です。
2人の主人公で異なる物語が楽しめる本作。片方だけをプレイしても大筋は完結するものの、両方を遊ぶことで、より深く楽しめる構成となっています。ただし、後半の内容は重複しているため、2周目が1周目よりも退屈に感じた点は残念でした。分かりづらい難解なストーリーや、緊張感に欠ける仲間とのエピソードなど、素直に楽しめない部分が目立つ作品です。
超脳力を駆使して戦うアクションパートは、様々な脳力・システムを組み合わせて戦う、スピーディーな戦闘が堪能できます。ストーリー・育成の進行で、戦い方の幅が広がっていくため、最後までプレイヤーを飽きさせません。特定の超脳力を使わなければ倒せない敵に、若干のストレスを感じたものの、アクションゲームとしては高評価でした。
目次で流し読み
2人の主人公によって描かれるダブルストーリー
2人の主人公によって、異なる切り口で描かれるストーリーは、相互に補完する関係となっています。片方だけをプレイしても物語は完結するものの、もう片方の物語も遊ぶことで、本作をより深く楽しめました。それぞれの事情から、もう1人の主人公と対立する場面もあって、主人公同士の熱い戦いも見所の1つです。
どちらの主人公からプレイするか、順番によって謎の解け方は変わりますが、基本的には好みで選んで問題ありません。片方だけのプレイでも完結する構成から、最終的に主人公たちは合流するため、どちらで遊んでも後半のストーリーは同じです。2周目の後半は同じようなイベントから差分を探す状況になってしまい、退屈に感じてしまった点は今ひとつでした。
カットシーンとムービーを組み合わせた、独特の演出も特徴的です。全てをムービーで構成するより豪華さに欠けるものの、カットシーンとムービーの静動が強調されていました。カットシーンでは、会話テキストをボタン送りできたことも地味に好感触です。
1周回のボリュームは約19時間と、アクションゲームとしては十分な長さであったものの、ストーリーを語り切るには不足していました。複数の勢力が、似て非なる思想を掲げて入り乱れる内容となっており、状況の把握が困難です。最終的に、はっきりしないままで終わる事象もあって、分かりやすい王道展開を求めている人にはおすすめできません。
20人以上の個性豊かな登場キャラクターたち
本作の登場キャラクターは、仲間として一緒に戦うメンバーだけでも、主人公たちを含めて10人。サブキャラクターまで含めると、20人以上と豊富です。怪異との戦いを続ける独特の世界観から、ユニークな性格・価値観を備えたキャラクターが多く、それぞれの秘めた超脳力も個性にうまく紐付いています。
性格や脳力だけを見ても個性的なキャラクターが多いですが、肉体の成長を抑制しているため、見た目と年齢が一致しない点も個性を強調していました。外見上は少年少女でも、怪伐軍歴は数十年というキャラクターも登場します。見た目が逆転している姉弟や、逆に大きく離れている兄弟など、一風変わった人間関係も目立ちました。
各キャラクターとのコミュニケーションは、ストーリー上の会話以外にも豊富に用意されています。特に、戦闘中に行われる通話「ブレイントーク」はパターンが多く、お気に入りのキャラクターを連れ回していると、それに沿った会話が発生する場面も見受けられました。
仲間との絆を深める様々なエピソード
主人公たちが休息を取るアジトでは、仲間たちとの絆エピソードを進めたり、プレゼントをあげたりできます。絆エピソードは、主人公ごとに9人の仲間それぞれ4~5種類用意されているのに加えて、チーム全体のエピソードも複数あって、かなりの読み応えです。ただし、ストーリーの後半同様、主人公同士のエピソードや、合流後のチームエピソードは使い回しだったのは少し残念でした。
内容だけなら楽しめた絆エピソードですが、敵対している状況でも発生する点には違和感を覚えました。先ほどまで戦っていた相手からメッセージで呼び出されて、おしゃべりに興じる光景は、不気味な人間関係です。ストーリー上では会えない状況の相手が、エピソードでは何の障害もなく登場する場面もあって、ストーリーの緊張感を大きく阻害していました。
仲間にプレゼントをあげることで、アジト内の装飾が増えていく要素は、ちょっとした育成コンテンツです。最初は殺風景なアジトですが、人や物が増えることで、どんどん賑やかになっていきます。装飾を増やすため、絆が最大まで上がった仲間にも、つい新しいプレゼントを渡してしまう面白さを秘めていました。
超脳力を駆使して戦うアクションパート
アクションパートでは、主人公の超脳力「念力」を中心に、仲間たちの超脳力を借りて戦うことになります。コマンドとしてのガードはなく、攻撃と回避を組み合わせた、スピード感のあるアクションです。仲間の超脳力も「発火」「超高速」「放電」「透明化」など多彩に用意されています。超脳力を借りる際には、カットインが挿入されて、共闘感を強く演出している点も好感触でした。
どちらの主人公も超脳力は「念力」ですが、物理攻撃が近距離の高威力・中距離の手数多めという違いから、立ち回りは大きく異なります。借りられる超脳力も、仲間によって変化するため、しっかりと差別化が行われていました。もちろん、物理攻撃で念力ゲージを貯めて、念力アクションで大ダメージを狙う流れは同じなので、1周目で磨いたプレイヤースキルは2周目でも役立ちます。
序盤は、仲間の超脳力を1つしか借りられないですが、ストーリーや育成を進めることで、同時に4種類の超脳力を発動することができます。「放電」と「複製」を組み合わせた多段攻撃や、一定時間の溜めが必要になる超脳力を、「超高速」や「透明化」と併用して安全に発動させるなど、戦い方の幅は広めです。
上記に挙げた以外にも、仲間に交代して攻撃を行う「アサルトビジョン」。一定時間、パワーアップする「脳駆動モード」。特殊な空間を発生させて念力攻撃を無制限に放てる「脳内空間」などシステムは豊富です。ただし、全てを駆使して戦う必要はなく、基本的には「念力」さえあればどうにかなる難易度・ゲームデザインとなっています。
一部の敵やギミックは、特定の超脳力を使用しなければ対応できない仕様は、好みの分かれそうな部分でした。うまく決まれば爽快感を得られるものの、対応する超脳力のゲージがなければ待ち時間が発生します。特に、序盤~中盤は、対応する超脳力が1つしかない場合も多く、ゲージの回復速度も遅いため、ストレスになりがちでした。
シンプルな育成要素と豊富なカスタマイズ
育成要素は、レベルアップ時に得られるポイントで伸ばす「ブレインマップ」と装備品だけのシンプルな内容となっています。「ブレインマップ」で解放しなければ、ダウン回避や2段ジャンプといった基本的なアクションも行えないため、序盤の割り振りはかなり悩ましいです。リセットはありませんが、ポイント自体は潤沢なので、中盤以降はかなり気軽に割り振れました
主人公の性能差はブレインマップにも用意されており、強力な溜め攻撃や空中での連続攻撃など、片方にしか存在しないアクションもあります。2周目以降はレベルや装備の引継ぎができるため、最初から高レベルでアクションパートをサクサク進めることも可能でした。
ステータスに影響しない、ビジュアルカスタマイズも豊富です。衣装とアクセサリー3種類を変更できて、ストーリーのカットシーンやムービーにもキチンと適応されます。かわいい系から奇抜な物までそろっており、1つ手に入れれば全員に使い回せるので、パーティーメンバーを自分好みにコーディネートできました。
さいごに
どちらから遊んでも2周目が退屈に感じてしまうストーリー構成に、もう一工夫あれば評価が変わっていた作品でした。実際、1週目クリア時点では、高評価を付けようかと考えていたので、本当に惜しいと感じます。
アクションパートは斬新で楽しめる内容なので、超脳力アクション目当ての購入ならおすすめできる作品です。各プラットフォームで体験版も配信されているので、気になる方は是非触って見てください。