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【天穂のサクナヒメ | PS4】評価・レビュー 噛めば噛むほど味が出る稲作アクションRPG

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総評
本格的な米づくりが体験できる、和風アクションRPG。リアリティを追求しつつも、ゲームとして面白いと感じさせる工夫が豊富に盛り込まれている作品です。アクションの完成度も高く、ネタゲーでは終わらない魅力を秘めていました。
良かったところ
噛めば噛むほど味が出るゲームデザイン
リアリティを追求した米づくりコンテンツ
米づくりとアクションを両立したゲームサイクル
カスタマイズ性が高く爽快なコンボアクション
ジャンル 和風アクションRPG
ハード PlayStation 4
Nintendo Switch
Steam
発売日 2020年11月12日
発売元 マーベラス
開発元 えーでるわいす
マーベラス
公式サイト リンク
プレイ時間 ストーリークリアまで21時間

 えーでるわいす&マーベラスがおくる和風アクションRPG「天穂のサクナヒメ」のレビュー記事です。

 本格的な米づくりと、爽快なコンボアクションが融合した本作。想像以上にリアリティを追求した米づくりコンテンツは、序盤こそ面倒な作業の連続に戸惑うものの、噛めば噛むほど味が出る魅力を秘めています。経験を積むことによって感覚を鍛えて、サクナヒメだけでなく、プレイヤーも成長できる秀逸なゲームデザインです。稲作初心者から始めて、一人前になるまでを体験できました。

 米づくりのユニーク性に隠れがちですが、スタイリッシュな戦闘が楽しめるアクションパートも高評価です。多彩なアクションに加えて、装備・武技によるカスタマイズ性も高く、自分好みのプレイスタイルを構築できる仕組みが用意されています。米づくりによってサクナヒメを強化して、探索によって米づくりを拡張していくゲームサイクルもうまく作り込まれており、唯一無二にして完成度の高い作品でした。

噛めば噛むほど味が出る秀逸なゲームデザイン

 都から追い出されたサクナヒメが、人間たちとともに「ヒノエ島」に渡り、米づくりをしながら探索を進める本作。ジャンルは「和風アクションRPG」ですが、「稲作シミュレーション」と表記しても過言ではないくらい、リアルな米づくりが特徴です。しかし、リアルな分だけ地味な作業も多く、ストレートに言うと面倒なゲームでした。特に、序盤はなじみのない単語が大量に並ぶ中、言われるがままに作業している気分に陥ります。ふてくされるサクナヒメとリンクするように、『何でゲームで作業しているんだ』と、購入したことを少し後悔するくらいでした。

 感触が変わるのは、米づくりを始めて数年が経過したころです。経験を積むことでサクナヒメは農技を覚え始め、プレイヤー自身も作業に慣れるため、いつの間にか各種工程が驚くほどスムーズに進行します。気付いた瞬間、長いチュートリアルから抜け出して、半人前に成長した気分でした。素材を集めて農具を製作すると、工程自体も簡略化できるので、どんどん米づくりが楽しくなってきます。10年が過ぎるころには、ゲームサイクルとして当たり前のように米を作っており、一人前の気分を味わえました。

 最終的にはかなり効率化されるとはいえ、最初から楽な米づくりだった場合、コンセプトだけがユニークな作品に行き着いていたと思います。苦労を味わいながら、サクナヒメだけでなくプレイヤー自身も成長することによって、ユニークなコンセプトが面白さに昇華されていました。リアリティを重視しつつも、決してエンターテインメント性が低いわけではなく、噛めば噛むほど面白くなる秀逸なゲームデザインです。

リアリティを追求した米づくりコンテンツ

 田植えや稲刈りといった8工程の作業に加えて、育成期には肥料や水の管理、病気・害虫対策など、本作の米づくりは本格的です。実際にプレイしてみると、想像の何倍もリアルに作り込まれており、疑似的に米づくりを体験できるクオリティでした。余りにも工程が多く、内容も細かいため、画像と文章だけでは伝えるのが難しいくらいです。公式ではないですが、電撃オンラインがアップロードしている「稲作シーン解説動画」が分かりやすいので、併せて参考にしてください。

 アナログな部分が多い点も、米づくりの奥深さを味わえる部分です。水温や水量といった、明確な指標のある物はデジタル表示されますが、サクナヒメの反応やプレイヤーのさじ加減で調整しなければならない工程も少なくはありません。リザルト画面で詳細を教えてくれる工程もあるので、それらを参考に感覚を鍛える感じです。サクナヒメ自身も、作業を繰り返すうちに農技を覚えるので、ゲーム内外の両方から米づくりに対してスキルアップを体感できました。

 農具を製作して工程を簡略化する以外に、作業自体を他の人に任せることも可能です。ただし、豊穣神であるサクナヒメが行うのに比べて品質が落ちてしまうため、手間が掛からない分だけデメリットもあります。種籾が多いほど各種工程の作業も増えるので、質より量を意識した年は他の人に任せてしまうといった、使い分けが重要でした。難しいと感じた場合は、稲作の難易度調整も用意されているので、米づくりに慣れていない人でも安心です。

 イベント中を除いて、ゲーム内の時間はリアルタイムで経過します。1日が1か月扱いなので、スピート感はかなり早いです。もちろん、アクションパートで戦っている間も時間は進むため、常に田んぼを意識したプレイが求められました。デリケートな時期や、質を求めて本気で取り組む年は、探索に出かけず、田んぼに張り付くことも少なくはありません。

米を作ってサクナヒメを強化する成長要素

 本作に経験値の概念はなく、サクナヒメは米づくりを行うことで成長していきます。1年に1回、新米完成でレベルアップが発生するイメージです。成長する6つのステータスは、お米の品質と連動しており、高品質のお米を作るほど多く増加します。優先して伸ばしたいステータスがあれば、米づくりの方向性で調整もできる、かなりユニークな育成システムです。レベルアップの周期が長いため、毎年の米づくりにも力が入りました。

 ステータスの成長は、更新ではなく上乗せ形式なので、米づくりを行えば確実にサクナヒメは強くなります。しかしながら、米づくりだけを繰り返しても、効率は頭打ちです。アクションパートで手に入る肥料や、ストーリー進行によって解放される農具・農法で、より良い米づくりが行えます。米づくりの合間に、田んぼを放置しない範囲で、アクションパートもしっかり進めるのが攻略のカギでした。

 直接的な成長要素ではないものの、食事による一時的なバフ効果も存在します。序盤は、質素な食事になりがちですが、食生活の改善に従って、バフ効果も軽視できなくなります。特に、お米は重要なステータスや効果が付与されるため、毎日お米が食べられるようになるだけで、安定した探索が行えました。正に、米は力です。

爽快な戦闘が楽しめるアクションパート

 ヒノエ島を探索するアクションパートでは、武器となる農具と、伸縮自在の羽衣を使った、爽快な戦闘が楽しめます。弱・強の通常攻撃に加えて、羽衣による掴み移動や、技を消費して発動する武技など、アクションは多彩です。浮かせた敵に追撃を決めたり、吹き飛ばして衝突ダメージを発生させたりと、かなりスタイリッシュなコンボアクションに仕上がっていました。

 サクナヒメ自身の強さは米づくりに依存していますが、装備周りのカスタマイズも豊富でした。5種類の装備品には、真価と呼ばれる特殊な能力が備わっており、空き枠は自由に真価の付け替えも可能です。武技も、農具と羽衣で各4種類を設定できるため、自分好みのプレイスタイルを構築できます。さらに、武技は使用すると熟練度がたまって強化されるため、戦えば戦うほどに磨きが掛かる仕組みでした。

 できることが多いので難しそうにも見えますが、アクション自体の難易度は、決して高くありません。しっかりと米づくりをしていれば、適当にプレイしていても、それなりに気持ちよく戦えます。死んでも直前のチェックポイントからリトライできる易しい作りです。アクションにも難易度設定が用意されており、「低」にすると目に見えて被ダメージが減るので、米づくりに興味があるけどアクションは苦手という人でも問題なく楽しめます。

 逆に、米づくりだけでなくアクションにも歯応えが欲しいという人に向けては、ひたすらに敵を倒しながら進むエンドコンテンツ「天返宮」が用意されています。強い装備が手に入る代わりに、敵の強さも圧倒的なため、しっかりとした育成と操作が求められるコンテンツです。えーでるわいすが過去にリリースした「花咲か妖精」のオマージュ「花咲かサクナ」も収録されており、アクションゲームとしてしっかり遊びたい人でも満足できる作り込みでした。

王道的ストーリーとスローライフの魅力

 ストーリーは、序盤こそ不快に感じる言動や、登場キャラクター同士がギスギスすることも多いが、基本は王道的な展開で楽しみやすく作られています。古い言い回しに加えて、言葉がたどたどしいキャラクターもいるので、読む手が止まることも多いですが、味のある会話が堪能できました。また、メインストーリー以外にも、キャラクターを掘り下げる様々なサブイベントが用意されているので見逃せません。

 拠点となる我が家は、決して広くはないものの、意外と探索しがいのある場所となっています。最初はサクナヒメと人間だけで生活していますが、少しずつ動物などが増えて賑やかになるのを見ているのも楽しいです。ちなみに、全ての犬と猫は、なでたり抱っこしたりすることができます。季節や時間帯によって環境音も変化するので、米づくりや探索の合間に見て回るだけでも、良い息抜きになりました。

さいごに

 同人ゲームとして制作されていた作品が、企業を絡めた開発に変わったことで、少し不安を感じていたものの、良い方向に作用してクオリティアップにつながったと感じました。正直、もっとネタゲーだと思っていたのですが、米づくり・アクションのどちらもしっかりと作り込まれており、意外な満足度の高さです。米づくりというユニークなコンセプトながら、幅広くおすすめしやすいと感じる作品でした。