
ジャンル | RPG |
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ハード | PlayStation 4 Nintendo Switch Steam |
発売日 | 2021年4月15日 |
発売元 | スクウェア・エニックス |
開発元 | スクウェア・エニックス バレット |
公式サイト | リンク |
スクウェア・エニックスがおくるRPG「サガ フロンティア リマスター(SaGa Frontier Remastered)」のレビュー記事です。
24年越しのリマスターとなる本作。グラフィックが美しくなっただけでなく、新規ストーリーや様々な追加機能が用意されており、リマスター版の枠に収まらない進化を遂げていました。特に、IFストーリーを体験できる「ヒューズ編」は必見です。オリジナル版で語られなかった真相や事情を知ることができたり、手応え抜群の最強ラストボスに挑めたりと、「サガフロ」をより深く楽しめるようになっていました。
追加機能によって遊びやすくなり、オリジナル版の経験者だけでなく、初プレイの方にもおすすめしやすいです。特に、難易度をプレイヤー自身が調整しやすいため、攻略のハードルが大きく下がった印象でした。複数の主人公によるマルチストーリーや、奥深いバトルシステムなど、評価の高いポイントが多く、興味を持っている方には是非遊んでほしい作品です。
目次で流し読み
複数の主人公によるマルチストーリー
本作のストーリーは、複数の主人公によるマルチストーリーで構成されています。それぞれが固有の事情・背景を抱えており、主人公ごとに、大きく異なる展開が楽しめる内容です。一人一人のボリュームは控えめながらも、全ての主人公を併せると、相当のボリュームになります。途中の行動によって、エンディングが変化する場合もあって、何度もプレイを楽しめる作風です。
自由度の高いフリーシナリオも大きな特徴です。特定の場面を除いて、主人公たちは好きな行動を取ることができます。メインのシナリオを真っすぐに進めても良いですし、気ままに探索を続けるのもプレイヤーの自由です。様々な場所で、イベント発生や、仲間になるキャラクターが登場します。フリーシナリオを通して、他主人公のストーリーが垣間見えるのも魅力の1つです。
リマスター版では、新たに「シナリオチャート」機能が追加。物語のあらすじと、次のイベント発生条件が確認できるようになりました。シナリオを進めたいときに、何をすれば良いのか指標になります。じっくりプレイするスタイルの方でも、『メインシナリオから離れすぎて、何をするのか分からなくなった』といった状況を回避できて安心です。
IFストーリーを体験できるヒューズ編
リマスター版では、8人目の主人公として、「ヒューズ編」が追加されました。他の主人公をクリアすることによって解放される形式で、『本来のシナリオにヒューズが介入していたらどうなるか』という、IFストーリーを体験できます。熱い男、ヒューズの存在によって、多種多様に変化する展開は必見です。エピソードによっては、本来のシナリオで語られなかった真相や事情を新たに知ることもできました。
7人分のシナリオが用意されているヒューズ編ですが、オリジナル版に比べてボリュームが2倍になっているわけではありません。ベースはクリア済みのシナリオということもあって、重要な部分以外は大幅に省略されており、驚くほどにサクサクと進みます。基本的にダンジョン攻略は全てスキップで、イベントが始まったら会話とボス戦だけを堪能できる形式です。
ヒューズ編でもフリーシナリオが用意されており、イベントや仲間集めを、ヒューズ視点で楽しめます。主人公として選ぶ以外では使えなかったキャラクターや、新規キャラクターも仲間にできるため、ドリームチームの結成が可能です。新規BGM・アイキャッチも追加されており、ヒューズ編を遊ぶだけに購入しても十分に満足できる内容でした。
全てを引き継いで周回できる「NEW GAME+」
7人の主人公とヒューズ編を併せれば、最低でも14周する本作において、各種ステータスやアイテムを引き継げる「NEW GAME+」は、とても相性の良い機能です。仲間にしたキャラクター以外、全てを引き継げるため、序盤から快適に遊ぶことができます。特に、シナリオがイベントとボス戦だけで構成されているヒューズ編は、引き継ぎを多用する前提で作られていました。
オリジナル版のプレイ経験がある場合、クリアする順番や育成するキャラクターを考えるのも、新たな面白さでした。強力な装備が手に入る主人公を早めにクリアして次周回以降に役立てたり、どの主人公でも仲間にしやすいキャラクターを重点的に育成したりといった感じです。1本しか手に入らない装備でも、引き継ぎで複数本獲得できるため、通常プレイでは到達できない強さまで育成も可能でした。
難解だが奥深い育成・バトルシステム
戦闘中の「閃き」や「連携」、種族による成長方法の違い、戦闘回数に応じて変化するモンスターの強さなど、一言では説明できないバトル・育成システムがそろっている本作。手探りでプレイするハードルは若干高いものの、周回で繰り返しプレイすることによって、理解すればするほど面白くなる魅力を秘めていました。
引き継ぎ機能が用意されているリマスター版では、2周目以降の難易度が低くなります。戦闘回数によって増加する「敵ランク」をリセットすれば、味方だけが強い状況を作り出せるので、シナリオを軽快に堪能したい方でも遊びやすいです。逆に、初めてのプレイでゲーム理解を深めたい場合、最初の数周回は引き継ぎ項目を控えめにした方が楽しめるかもしれません。
ヒューズ編では、他主人公のボスを多く倒すことで、ラストボスが強化されるシステムが存在します。全てのボスを倒した最強状態の強さは圧倒的で、意気揚々と挑んだら一瞬で返り討ちにされました。引き継ぎを繰り返して、成長したキャラクターとそろった装備で、しっかり対策を練っても苦戦するレベルです。
遊びやすさをアシストする様々な追加機能
前述した「シナリオチャート」「NEW GAME+」以外にも、リマスター版では様々な追加機能が実装されています。特に目を引くのは、「退却コマンド」です。オリジナル版では、戦闘が発生すると勝利か敗北しかなかったのに対して、リマスター版では逃げられるようになりました。しかも、確実に成功して、敵のシンボルまで消えます。引き継ぎで低ランクの敵を無視したい場面も多く、かなり活躍しました。
最大で3倍速まで加速できる、「倍速機能」の存在も大きいです。周回を繰り返す中、何度も同じイベントをプレイすることになっても、テンポ良く進められます。マップ(イベント)・バトルで異なる倍率を設定できる上、いつでもワンボタンで速度を変えられるため快適です。さすがに3倍速では敵シンボルを避けられないですが、「退却コマンド」と組み合わせれば、問題はありません。
地味に、フィールド上で移動できる場所に、マークが付いた点もうれしかったです。入れると気づきにくい場所や、入れそうで入れない場所も多いので、視覚的に迷ってしまうことが減りました。つながっていないフィールドのマークが見えて、惑わされてしまう場面もありましたが、それらを加味しても遊びやすくなっています。
本来想定されていたバランスを追加機能で調整した結果、複数のパーティーを使い分ける「チームメイキング」など、活用する機会が失われた機能も存在します。とはいえ、「NEW GAME+」同様に、追加要素もプレイヤーの意思で有無を選ぶことが可能です。オリジナル版と同じ体験を楽しみたい方は、「追加要素なし」で遊んでみるのも一興かと思います。
さいごに
リマスター版にしては、4,800円と強気の価格設定と感じていましたが、実際にプレイしてみると追加要素が多く、オリジナル版をプレイ済みでも価格分を十分に楽しめました。グラフィックの進化以外は当時のままで楽しみたい方や、遊び尽くして難易度が物足りないといった方のニーズにも応えており、よく考えられたリマスター作品です。