【ロボティクスノーツ DaSH | PS4/Switch】評価・レビュー シュタインズゲートとクロスオーバーした壮大な後日談

総評
ダルを2人目の主人公として前面に出した、科学アドベンチャークロスオーバータイトル。シリアスな展開には盛り上がりが欠けていたため、続編らしさは薄かったものの、ファンディスクのような後日談としては十分に楽しめる作品でした。
良かったところ
幅広い演出を彩る3Dモデル
豊富で華やかなイベントCG
後日談に相当する個別ルート
悪かったところ
盛り上がりに欠ける終盤ルート
混乱を招く頻繁な視点変更
3
B
ジャンル 拡張科学アドベンチャー
ハード PlayStation 4
Nintendo Switch
発売日 2019年1月31日
発売元 5pb.
開発元 5pb.
公式サイト リンク
プレイ時間 1周目クリアまで7時間
全ルートクリアまで21時間

 拡張科学アドベンチャー 第2弾「ROBOTICS;NOTES DaSH(ロボティクスノーツ ダッシュ)」のレビュー記事です。

 「ロボティクスノーツ」の続編にして、「シュタインズゲート」とのクロスオーバー作品である本作。ダルがメインキャラクターとして登場するだけではなく、ダル視点で語られる場面も多く、もう1人の主人公といっても過言ではありません。その分、前作と「シュタインズゲート」、2作分の予備知識は必須でした。

 3Dモデルとイベントスチルによって、華やかなドラマが楽しめるストーリーは、全体的にコメディ路線の内容です。シリアスなルートも用意されていますが、終盤に限られています。驚くような展開も少ないことから、盛り上がりに欠ける印象を持ちました。続編というよりも、少し蛇足感のある後日談のような作品です。

シュタインズゲートとのクロスオーバー作品

 ダルがメインキャラクターとして登場することから、「シュタインズゲート」とのつながりが深いことは予想していましたが、想像していた以上のコラボレーションでした。ストーリーの多くはダル視点で語られるため、「ロボティクスノーツ」の世界にダルが登場というより、ダルのスピンオフタイトルに近い状態です。

 シュタインズゲートの設定や人物がストーリーに関わってくる場面も多く、ファンサービスの域を超えているため、しっかりと楽しむなら予備知識は必須です。もちろん、続編なので前作をプレイしておく必要もあります。シュタインズゲートつながりで初めて遊ばれる方は、前作が同梱されたセット版の購入がおすすめです。

ドラマを華やかに彩る3Dモデル/イラスト

 前作同様、キャラクターの立ち絵は全て3Dモデルで制作されています。表情や動きが多彩な上、場面によっては異なる角度からキャラクターが映されるなど、華やかで幅広い演出が楽しめました。イベントに連動して、異なる衣装が数多く用意されていた点も高評価です。

 3Dモデルの使い勝手が良いからといって、演出を全て頼り切ってしまうのではなく、要所ではイベントスチルが豊富に用意されています。背景やモブといった普段なら目に付きにくい箇所も、イベントや状況に合わせて細かい変化が確認できるなど、細部までこだわりが感じられました。

コメディ路線の序中盤とシリアスな終盤ルート

 ストーリーは大きく分けて共通・個別・終盤ルートの3つに分かれています。このうち共通・個別は、一部を除いてコメディ路線の内容が中心です。「想像が現実に影響を及ぼす装置」の存在によって、常識の枠を外れた展開が続きます。平行世界のような個別ルートですが、互いに大きな矛盾を起こさない構成も絶妙でした。

 終盤ルートに入ると、一転してシリアス寄りのストーリーが始まります。世界の危機やロボット同士の戦いなど、話のスケールは大きくなるものの、在り来たりな展開で盛り上がりに欠けていた点は残念でした。評価を比べるならば個別ルートの方が楽しめたこともあって、少し蛇足感のある後日談という印象が拭えません。

プレイヤーの混乱を生み出す頻繁な視点変更

 海翔だけでなく、ダル視点で語られる場面も多いため、本作は視点が頻繁に切り替わる構成となっています。しかし、切り替わりの明示や、現在の視点が誰の物か一目で分かるUIは存在しません。そのおかげで、シーンが移った直後は誰の視点か分からず、遊びにくさを感じることが多かったです。

 海翔・ダル以外の視点に切り替わる場合は、基本的に専用演出が挿入されるものの、シーンによってはサラッと第三者に切り替わるため油断はできません。誰の視点で物語を見ているかという情報は、アドベンチャーゲームにとって重要なので、しっかりとプレイヤーに伝わる工夫が欲しかったです。

ゲーム要素控えめの読ませるアドベンチャー

 複雑なフラグ管理で、『フラグめんどくさすぎ』となっていた前作に対して、今作はとてもシンプルな分岐システムが用意されています。シンプルすぎて、1周目はどこで分岐したのか分からないほどでした。2周目以降はルールを把握してエンディング回収が容易になる反面、ゲーム要素はかなり控えめです。

 ポケコンの機能も限られており、ゲームをクリアするだけならば、手動で起動する必要すらありません。「ツイぽ」で繰り広げられる寸劇や「居ル夫。」によるAR機能は楽しめるものの、オマケ程度となっており、遊ばせるアドベンチャーから読ませるアドベンチャーに大きく方向転換していました。

さいごに

 科学アドベンチャーシリーズは全てプレイしているため、今回のクロスオーバーを存分に堪能できたものの、「ROBOTICS;NOTES」としては前作の方が高評価でした。後日談として楽しむ分には個別ルートがおすすめできるため、ファンディスクの気分でプレイするくらいがちょうど良い作品です。