ジャンル | シミュレーションRPG |
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ハード | PlayStation 4 PlayStation 5 |
発売日 | 2022年3月24日 |
発売元 | KADOKAWA GAMES |
開発元 | KADOKAWA GAMES |
公式サイト | リンク |
KADOKAWA GAMESがおくるシミュレーションRPG「Relayer(リレイヤー)」のレビュー記事です。
完全新作のロボットシミュレーションRPGとなる本作。SFと神話をミックスした世界観や、スタイリッシュなメカバトルが特徴のタイトルですが、ゲームとしての完成度は今ひとつでした。ストーリー・バトルともに荒削りで、褒められる部分が見当たりません。
特に、バトル関連の作り込みは目に余りました。総ステージ数は80個以上とボリュームは十分ながらも、似たり寄ったりのステージばかりで、プレイ体験は単調です。障害物の迂回すらできないゲームAIや、バランス調整を放棄したレベルデザインなどもあり、随所でクオリティの低さが目に付く作品でした。
SFと神話が融合した異色のストーリー
人類と地球外生命体「リレイヤー」の戦いを描いたストーリーは、SFとギリシア神話が融合した、一風変わった物語です。主人公たちを中心に、過酷な事件から陽気なトークイベントまで、様々な展開が繰り広げられます。残念ながら立ち絵のパターンやイベントスチルが少なく、状況が分かりづらい場面も多いため、プレイヤーの想像力が要求されがちでした。
人類や「リレイヤー」の中には複数の勢力が存在しており、登場人物が約40人と豊富な点は魅力の1つです。しかしながら、キャラクターの掘り下げは不十分で、人数を持て余している印象でした。拍子抜けするほどあっさり死亡したり、途中からほとんど出番のないキャラクターがいたりと、中途半端な扱いも目立ちます。
メインストーリーで残された謎を、本編の結末とは異なるIFストーリーの後日談で補完する構成は、好みが分かれそうな部分です。本編クリアの余韻を台無しにする上、何故かボイスが収録されておらず、後付けのような不自然さを感じました。
バリエーションの乏しさが目に付いた登場機体
完全新作のロボットシミュレーションゲームではあるものの、ロボットの個性は控えめです。主人公たちの搭乗する「ステラギア」は、特殊な機体を除いてデザインが4種類しかなく、カラーリングで差別化を図っています。パラメータやアビリティはパイロットに依存しているため、ほぼ全員が量産機で戦っている印象でした。
敵として登場する機体も種類が少なく、ストーリーが進行しても代わり映えしない戦闘が続きます。大型のボス機体も存在しますが、細部パーツの変化と色違いで使い回しており、ロボットゲームとしては盛り上がりに欠けるバリエーションの乏しさでした。
似たり寄ったりのステージが続くバトル
バトルは敵味方混在のターン制シミュレーションで、AGIパラメータの高いユニットから順番に行動する形式です。敵からの狙われやすさを数値化した「ヘイト」や、同じ射程のユニット同士で発生する「反撃」を意識しながら戦い、ステージをクリアしていきます。
難易度選択は3段階となっており、敵の攻撃力が高く、真っ向勝負ではイージーで推奨レベルを満たしていても少し難しいです。難易度にかかわらず、こちらが近づかなければ敵は行動しないため、釣り出して各個撃破が基本になります。敵を端から削っていく形になるので、戦闘は長引きがちでした。
戦場となるマップは平面で、地形効果やマップギミックは存在しません。障害物も控えめで敵の種類は少ないため、ステージ数は多いですが、ほとんど同じような戦闘の繰り返しです。メリハリを感じられるのは、大型のボス機体が登場するステージくらいでした。
敵味方ともにお粗末なゲームAI
本作には、自動で戦闘を行う「オートモード」が用意されているものの、操作するAIの性能はかなり低質です。バフや回復を優先しがちで、味方同士で団子のように固まり、なかなか戦いません。敵も近づかなければ動かないため、戦闘が長期化してしまい、あまり実用的ではない機能でした。
敵味方ともに障害物の処理が未熟で、壁のようになっているマップでは、迂回できずに引っかかり続ける状況も発生します。味方側は手動操作で解決するのに対して、敵は対応できないため、一方的に攻撃することも可能です。シンプルなステージばかりですが、複雑な構造では、敵AIがまともに戦えなかったのではないかと感じました。
低質なゲームAIは、ストーリー体験にも影響を与えます。ステージによっては三つ巴の状況が発生するのに対して、AIに第三勢力の概念はありません。結果、主人公たち以外は陣営にかかわらず同勢力として扱われて、ストーリー無視の共闘状態が発生します。あまりにも粗雑な作りで、テンションの下がる仕様でした。
バランス調整を放棄しているレベルデザイン
最大レベルが300と高く設定されている本作ですが、レベルデザインはかなり手抜きです。経験値が100溜まればレベルが1つ上がる仕様で、ステージの推奨レベルを超えてもマイナス補正はないため、序盤から際限なくレベルが上がります。ゲームをクリアするだけなら、戦術の工夫よりもレベル差で力押しする方が手っ取り早いです。
補助スキルで獲得できる経験値が多く、敵を倒すよりも味方同士でバフ・回復を掛け合う方が効率的な点も、いい加減なバランスでした。スキルに必要なSPはターンごとに回復するので、敵の索敵範囲外でスキルを使い続ければ、簡単にレベルが上がります。前述した、オートプレイで障害物に引っかかるマップを利用すると、放置で経験値を稼ぐことも可能です。
似たり寄ったりのステージを延々とプレイするため、力押しで進められたのは助かる部分でしたが、適度な手応えを楽しみ続けるのは困難なバランスでした。
さいごに
随所に粗が目立つクオリティで、『年度末に間に合わせるよう中途半端な完成度で発売したのでは?』と疑ってしまう作品でした。発売から1週間と経たずに2度のパッチ配信や、更なる修正の予告を行っているため、発売後にクオリティアップを図る方針のようです。
少なくとも現時点ではおすすめできない作品なので、本作の購入を迷っている方は、アップデートが落ち着いてからの検討を推奨します。