【THE QUIET MAN(ザ クワイエット マン) | PS4】評価・レビュー 無音で描かれるシネマティックアクション

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総評
コンセプトだけは面白かったものの、低予算でコンテンツを欲張りすぎてしまい、どこにスポットを当てても中途半端な完成度の作品です。
悪かったところ
全てにおいて中途半端な完成度
最後まで説明の付かない超常的な物語
ジャンル シネマティックアクション
ハード PlayStation 4
発売日 2018年11月01日
発売元 スクウェア・エニックス
開発元 スクウェア・エニックス
Human Head Studios
公式サイト リンク
プレイ時間 1周目クリアまで3時間

 音や言葉を廃したシネマティックアクション「THE QUIET MAN(ザ クワイエット マン)」のレビュー記事です。

 無音のストーリー体験という、挑戦的なコンセプトで制作されている本作。謎ばかりが残る1周目と、真相解明編となる2周目の構成は面白い仕組みだと感じたものの、作品の完成度は今ひとつでした。アクションもオマケ程度の内容となっており、あまりおすすめできる作品ではありません。

音や言葉の存在しない1周目

 耳が聞こえない主人公の世界を体験というコンセプトから、1周目は一部シーンを除いて無音・字幕なしで進行していきます。プレイヤーは、人物の仕草や雰囲気だけで状況を把握するしかありません。限られた情報を元に、想像を膨らませて、いろいろと考察することもコンテンツの1つです。

 しかし、プレイヤーが不自由を強いられているのに対して、主人公は[口が見えていれば、何が話されているかは大体わかる]という設定になっており、本当に耳が聞こえないのか疑問視する場面が目立ちます。おかげで、主人公に対して全く感情移入ができませんでした。

 無音というコンセプトを面白さとして活かせている部分も少なく、発想自体は斬新と感じられるものの、見せ方に工夫が足りません。演出として音や言葉が存在しないというよりは、単純に音声と字幕をオフにして遊んでいるだけの感触が強い作品に仕上がっていました。

謎ばかりが残るストーリー

 音や言葉の存在しない1周目は、序盤から謎が謎を呼ぶ展開が続き、最終的には謎しか残らない内容となっています。プレイヤーの考察に委ねられているとのことですが、かなり突飛な行動や非現実的な現象が起こるため、どうとでも解釈できてしまう場面ばかりでした。

 突然のフラッシュバックやサイケデリックな演出も多く、途中から妄想や幻覚剤の使用すら疑ってしまいます。考えれば考えるほど可能性ばかり広がっていくので、考察好きにはたまらない反面、軽い気持ちでプレイするとストーリーに付いていけない可能性も高いです。

没入感を損なうCGクオリティ

 実写のストーリーパートとCGのアクションパート、2つの映像を使い分けていることも本作の特徴です。実際には、完全に切り分けられているわけではなく、ストーリーパートにもCGが多用されています。実写映像も少なくはないですが、割合としては控えめです。

 実写に比べてCGのクオリティが低いため、切り替わるたびに違和感を拭えなかったことも残念でした。人物によっては別人かと思うほど似ていないので、没入感を大きく阻害する要因になっています。実写ストーリーを謳うなら、ストーリーパートは実写映像だけで構成してほしかったです。

シンプルで単調なアクションパート

 想像以上に単調なアクションパートは、本当に必要だったのかと疑う内容でした。ほぼ同じ操作を繰り返すだけの雑魚戦が大半を占めています。アクション以外にプレイヤーが介入できる場所はないため、ゲームという体裁を整えるためだけに用意されたパートという印象です。

 単調で退屈というだけでなく、不自然なモーションや進行不能の不具合といった、作り込み不足も目立ちます。体裁を整えるためのアクションパートとはいえ、スムーズに楽しめるレベルにも達していないので、作品全体の評価を落とす結果につながっていました。

音と言葉で真相が明かされる2周目

 ネタバレになるので詳細は語れませんが、おおむね想像の範囲内で、1周目の評価を覆すほどの内容ではなかったです。音声の追加だけかと思いきや、新たなシーンも追加されているため、作品のコンセプトもブレていました。情報制限で考察させる作風なら、音声以外は全て同じ体験にするべきだと思います。

 幾つかの謎や超常現象は、2周目をクリアしても解明されないまま終わるため、スッキリとした結末を求める方にはおすすめできません。考察遊びは1周目で十分すぎるほど堪能したので、2周目は答え合わせを楽しんで、気持ちよくエンディングを迎えたかったです。

さいごに

 これまでにない斬新なゲーム体験を生み出そうとする挑戦は、思わず期待してしまう試みでした。しかし、映画1本分の価格で「無音の演出」「実写とCGの融合」「アクション」など、やりたいことを全て満たそうとした結果、どこにスポットを当てても中途半端な完成度になった印象が強いです。

 下手に綺麗事を並べて全体をよく見せようとするよりも、他の全てを捨ててでも「無音のストーリー体験」というコンセプトに特化した方がプレイヤーの心に残ったのではないかと感じる作品でした。