この記事では、Steam等で販売されている英語のゲームを、翻訳しながら遊べる支援ツール「PCOT」の紹介と使い方を解説しています。ゲーム画面から文字を読み取り日本語に翻訳するため、英語・ウィンドウ表示であれば、基本的にはどんなゲームでも日本語に翻訳が可能です。
機械翻訳のため精度は甘いとはいえ、ゲーム理解の手助けとしては十分なので、日本語化されていないゲームをいち早く遊びたい方におすすめのツールになります。
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「PCOT」とは

「PCOT」は、ぬるっぽさんが開発・公開されている翻訳支援ツールです。ゲーム画面からOCR(光学文字認識)で文字を読み取り、機械翻訳による結果を自動的に表示してくれます。ゲームの翻訳を想定して開発されているため、ゲームを遊びながら翻訳するのに都合の良い機能がそろっているのも魅力です。
「PCOT」の利用の必須次項と適しているゲーム
必須事項
- 「ウィンドウ表示」ができる
- 翻訳する言語は「英語」
「PCOT」は、フルスクリーンのゲームで使用できないため、ウィンドウ表示が必須です。加えて、翻訳できるのは「英語」だけになります。どちらもそこまで厳しい条件ではないので、基本的には、ほとんどのタイトルが対応していると考えて大丈夫です。
適しているゲーム
- アクション性が低い
- テキスト表示位置が規則的
アドベンチャーゲーム等の、テキストウィンドウが固定でプレイヤーが進行を制御できるゲームに最適です。逆に、アクション性の高いゲームや、テキスト表示位置が不規則なゲームでの利用には適していません。
「PCOT」の導入と基本的な使い方
- STEP.1公式サイトからツールをダウンロードして解凍する
- STEP.2翻訳したいゲームを起動する
フルスクリーン表示では「PCOT」を使用できないため、ウィンドウ表示に変更してください。
- STEP.3「PCOT.exe」を起動する
Windows10以外のOSを使っている場合は、「PCOT_OTHER_WIN10.exe」を「PCOT.exe」にリネームして起動してください。詳しくは、PCOTフォルダ内「【必読】りどみ.txt」に記載されています。
- STEP.4リストから「翻訳したいゲーム」を選択
先に「PCOT」を起動していた場合、左下の「リスト更新」を押すことで最新の情報になります。
- STEP.5右下の「選択」を選択
この段階で翻訳の準備が完了となります
- STEP.6「フリー選択」を選択
- STEP.7「翻訳したい範囲」を選択
- STEP.8読み取った文字と翻訳結果が表示されます
「フリー選択」は、ショートカットからも起動可能です。デフォルトでは「Ctrl+Shift+F」となっています。特定の位置に表示されるテキストをワンステップで翻訳したい場合は、次項の「タイトル設定でワンステップ翻訳」を確認してください。
タイトル設定でワンステップ翻訳
事前に翻訳する範囲を設定しておけば、以降は「翻訳」ボタン、または「ショートカット」だけで翻訳を繰り返すことが可能です。
タイトル設定の手順
- STEP.1「タイトル設定」を選択
- STEP.2「ラベル」を入力
特に理由がなければ、ゲームタイトルにしておくと分かりやすいです。
- STEP.3「新規作成」を選択
- STEP.4「翻訳したい範囲」を選択
- STEP.5翻訳が行われて設定が登録されれば完了
設定後は、「フリー選択」ボタン上のリストからタイトルを選んで「翻訳」ボタン、またはショートカットを押せば、登録した範囲を翻訳できます。デフォルトのショートカットは、「Ctrl+Shift+0」です。
異なる範囲の翻訳をショートカットで使い分ける
翻訳したいテキストが2か所以上の位置に表示される場合、「タイトル設定」と「固定翻訳ショートカット」を組み合わせることで対応できます。
固定翻訳ショートカットを利用する手順
- STEP.1「タイトル設定」を選択
- STEP.2「ラベル」を入力
以降に登録するタイトルと区別するため、「ゲームタイトル1」や翻訳したい位置を示す名前にしておくと分かりやすいです。
- STEP.3「新規作成」を選択
- STEP.4「翻訳したい範囲」を選択
- STEP.5「タイトル設定」を選択
ここから2か所目の範囲登録になります。
- STEP.6「ラベル」を入力
- STEP.7「新規作成」を選択
- STEP.8「翻訳したい範囲」を選択
以降、翻訳したい範囲の数だけ「タイトル設定」を繰り返します。
- STEP.8翻訳したい範囲に対応したショートカットを押す
固定翻訳1~9は、設定したタイトルの並び順に対応しています。他にタイトル設定がなかった場合、上記手順で作成した「ゲームタイトル1」が固定翻訳1、「ゲームタイトル2」が固定翻訳2です。翻訳したい箇所に対応したタイトル設定を呼び出すことで、複数箇所をショートカットで翻訳できます。
マウスオーバーで表示される文字を翻訳する
マウスを重ねたときだけ表示される文章を翻訳したい場合、システム設定から動作設定を変更する必要があります。
マウスオーバーで表示される文字を翻訳する方法
- STEP.1「設定」⇒「システム設定」を選択
- STEP.2「範囲選択時に対象プロセスのスレッドを停止」にチェック
- STEP.3「確定」を選択
上記の設定を行うことで、マウスを重ねた状態からショートカットで起動すれば、文字が表示されたままで範囲を指定できるようになります。
翻訳エンジンに「DeepL翻訳」を利用する
「DeepL翻訳」のアプリをインストールすると、「PCOT」と連携して翻訳することができます。標準の「Google翻訳」より精度が高いので、より分かりやすく翻訳したい場合におすすめです。
「PCOT」と「DeepL」を連携する方法
- STEP.1「DeepL」のアプリをダウンロード
- STEP.2「DeepL」のアプリトをインストール
アカウントがなくても「ログインしない」で利用可能です。
- STEP.3「DeepLと連携」にチェックを入れる
- STEP.4翻訳範囲を選択すると自動的に「DeepLクライアント」が起動して翻訳されます
翻訳のステップが増えるため、Google翻訳に比べて少し時間が掛かるものの、精度はかなり上がります。「Google翻訳」は推測しながらでなければ意味を読み取れないのに対して、「Deepl翻訳」はそのままでも違和感が少ないです。
翻訳参考
原文
I know I‘m new here, but I‘m really looking forward to working with everyone. It seems like everyone works so hard, if we all just do our best, I think we‘re going to do great!
Google翻訳
私はここで新しいことを知っていますが、みんなと一緒に働くことを本当に楽しみにしています。みんなが一生懸命働いているようです。みんなが最善を尽くせば、私たちは素晴らしいことをするだろうと思います!
Deepl翻訳
新人だけど、みんなと一緒に仕事ができるのがすごく楽しみです。みんな頑張っているようなので、みんなで頑張れば、きっとうまくいくと思います!
OCRエンジンに「Windows10OCR」を利用する
標準の「Tesseract」でうまく読み取れない場合、OCRエンジンを「Windows10OCR」に変更することでうまくいく可能性があります。
※Windows10OCRを使用できるのは、Windows10OSのみになります。
「Windows10OCR」を利用する方法
- 「WIN + R」キーを押し、「ファイル名を指定して実行」のダイアログから以下のコマンドを実行します。
コマンド:ms-settings:regionlanguage?activationSource=SMC-IA-4027670 - 設定画面が開いたら「優先する言語」項目の優先する言語を追加する(+)を選択。
- 英語(米国)を選択して「次へ」ボタンを押します。
- オプション項目を選択(言語パックのインストールは必須)して「インストール」ボタンを押します。
上記の手順を行うことで、「タイトル設定」時にOCRエンジンを「Tesseract OCR」「Windows10 OCR」から選べるようになります。
「Windows10OCR」の方が高性能というわけではなく、得手不得手の違いです。「Windows10OCR」でうまく読み取れず、「Tesseract」では読み取れるタイトルもあるので、両方を入れて使い分けるのが一番良いです。
さいごに
機械翻訳とはいえ、内容を大まかに理解するなら十分といえるツールです。この記事で解説した以外にも、様々な機能が用意されています。軽く触ってみて、もっと使いこなしたいと感じたら、ソフトに同梱されている説明書を熟読してみると良いでしょう。
今すぐ必要ではなくても、いつか英語のゲームを遊びたいときが来るかもしれないので、名前と存在だけでも覚えておくと役に立つかもしれません。