ジャンル | TPS |
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ハード | PlayStation 4 PlayStation 5 Xbox One Xbox Series X|S Windows Steam |
発売日 | 2021年4月1日 |
発売元 | スクウェア・エニックス |
開発元 | People Can Fly |
公式サイト | リンク |
スクウェア・エニックスがおくるTPS「アウトライダーズ(OUTRIDERS)」のレビュー記事です。
未開の惑星を舞台に、銃器と超能力を駆使して敵対勢力との戦いを繰り広げる本作。回避しながら撃ち合ったり、スキルで圧倒したりと、攻撃的に立ち回る戦闘が楽しめます。大きく異なる4つのクラスに、クラスツリーやクラフトといった複数のカスタマイズが用意されており、試行錯誤しながら遊びやすい点も好感触です。
TPS部分が手堅く作られているのに対して、マルチプレイ周りや安定性のクオリティが低いのは残念でした。全編でマルチプレイが可能なCo-opシューターという謳い文句でありながら、機能不足やエラーでまともには遊べません。サーバーとの接続も不安定で、ソロでもプレイできない時があるなど、環境面で大きく評価を落としている作品でした。
目次で流し読み
銃器+超能力で戦う三人称視点のCo-opシューター
本作は、メイン2種&サブ1種の銃器に加えて、「変異者」の超能力を駆使して戦うTPSです。最大3人のマルチプレイが可能で、ストーリーやエンドコンテンツにて、敵対勢力や異形のモンスターと戦います。人型エネミーとモンスターの比率は6:4くらいで、モンスターのインパクトが強いですが、人型との戦闘が多いです。ボスとして、敵対する「変異者」や巨大なモンスターも登場します。
障害物に隠れて戦う「カバーアクション」が存在するものの、重宝するのは序盤~中盤に限られています。キャラクターが成長すると使用機会は減り、回避しながら撃ち合ったり、スキルで圧倒したりする、攻め寄りのシューターです。特に、エンドコンテンツ「遠征」は、全てのステージがタイムアタック形式なので、障害物に隠れている暇はありません。
難易度は15段階の「ワールドティア」が用意されており、自分に合った難しさで楽しめます。ティアが高くなるほど良い装備が手に入る代わりに、エネミーも相応に強くなるので、ボスや難所で詰まったら適度に調整する感じでした。プレイ可能な最高ティアに自動設定される機能も用意されており、手応えと報酬を求める人は、常に最高難易度で楽しむことも可能です。
4つのクラスと試行錯誤しやすいカスタマイズ
キャラクターのカスタマイズは、4つのクラスと各8種類のスキル、スキルやステータスを強化するクラスツリー、様々なモジュールが備わった装備で構成されています。クラスは、それぞれ特性やスキルが大きく異なり、クラスが変われば別ゲームを遊んでいるような感じです。同じクラスでも、8種類のスキルから3種類を選んでセットする形式のため、戦い方の幅は広く用意されています。
クラスは変更できないため、異なるクラスを遊ぶには、複数のキャラクターを作成する必要があります。ただし、クラスツリーは自由にポイントをリセットして振り直しできるので、クラス内での試行錯誤は可能です。装備に付いているモジュールも、クラフトで他の装備に付け替えられる機能が用意されており、ビルド構築のハードルが低めに設定されているのは好感触でした。
フレンド以外とは手軽に楽しめないマルチプレイ
プロローグを除いた全編でマルチプレイが可能な本作ですが、安定して楽しむにはフレンドの存在が必須でした。フレンド以外と遊ぶ方法は、ランダムマッチングしか用意されていないため、行き当たりばったりのマルチプレイになります。ホスト側もオープンかクローズを選ぶだけです。実際に参加するまで相手の情報は全て不明で、入ってみたら放置しているだけという場合も少なくはありません。
一応、ストーリーは同じ進行度の人とマッチングされます。しかし、2キャラ目以降をストーリースキップしながら進める人と、ストーリーを読みながら進めたい1周目の人もマッチングするので、足並みはそろえにくいです。コミュニケーションもシンプルなエモートのみで、立ち位置や行動で相手に意図を伝えるしかなく、お互いに空気を読み合うスキルが必要でした。
幸運にも上手くかみ合う相手とマッチングすれば、複数クラス・ビルドの共闘によって発生するシナジーで、ソロプレイとは比較にならないほど面白いです。ストーリーで同じ方と4時間くらい同行した時や、エンドコンテンツの最難関に3人で挑めた時が、本作で最も楽しい時間でした。1人でも遊べる内容になっていますが、マルチ周りがもっと整備されていれば、評価が大きく上がっただろうと感じます。
頻発する「エラー落ち」と不安定なサーバー接続
TPSとしての評価は悪くないものの、安定性という面では最低評価です。「エラー落ち」「フリーズ」が発生する頻度が高く、何度も時間を無駄にさせられました。PS5のエラー履歴を見ると、アウトライダーズで埋め尽くされています。特に、マルチプレイ時に高確率でエラーが発生。ゲームが落ちるたび、スキップできない起動時ムービーや注意事項を50秒くらい見せられるのも地味にストレスでした。
サーバーとの接続も不安定で、ログイン画面で「サインイン完了!」と表示されてから、数分間待たされる場合があります。「サインイン完了!」まで進めたら、あとはホーム画面が表示されるまで放置の時間です。ゲームを起動し直して再度ログインすれば、サクッと入れる時もあるのですが、そのたびに起動時のムービーを眺めることになるので、エラー落ちの時と併せて見飽きてしまいました。
「インターネット接続エラー」でタイトルに戻された後、遊べなくなることも多いです。ソロプレイでもインターネット接続が必須のタイトルなので、回避しようがありません。発売直後で人が多すぎるのか、単純にサーバーが弱すぎるのかは不明ですが、遊びたい時に遊べないというのはモチベーションを大きく削られてしまいました。
未開の惑星を探索するストーリーと怪しい日本語
荒廃した地球から脱出した人類が、未開の惑星「エノク」にたどり着いたところから始まるストーリーは、過酷な展開の連続です。電磁嵐が吹き荒れ、未知の生物が闊歩する世界で、主人公たちは謎の信号を追って探索を続けます。限られた資源を人間同士が奪い合う状況もあって、モンスターだけでなく、同じ人類と敵対する展開も多いです。
メインストーリーの説明は最低限で、細かい補足は全てジャーナルで閲覧する形式です。豊富に用意されているサブクエストをクリアしたり、落ちている記録を集めたりしなければ、世界観の全貌は把握できません。その分、無意味な寄り道はほとんどないため、シューターメインでストーリーの深掘りに興味のない人でも遊びやすくなっています。
日本語字幕が用意されているものの、残念ながらストーリーテキスト・UIともに怪しい日本語が満載でした。翻訳自体が表示されない場面もあって、満足なローカライズとは言い難いです。ストーリープレイ中のローディングTIPSで、今後の展開が先に表示されるネタバレも目に付き、テキスト周りの評価は今ひとつでした。
さいごに
色々と不満を抱きつつも、ストーリークリア後も毎日のように長時間プレイしており、ゲームとしての魅力は充分に秘めていました。ひとまず、安定性だけでも改善されればおすすめしやすいので、今後のアップデートに期待したい作品です。