ジャンル | アイドルRPG |
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ハード | PlayStation4 |
発売日 | 2014年10月2日 |
発売元 | コンパイルハート |
開発元 | コンパイルハート |
公式サイト | リンク |
全体的に不親切な”おつかいゲーム”「オメガクインテット」のレビュー記事です。
ガラパゴスRPG 第2弾”アイドルRPG”として打ち出してきた異色作ですが、ベースとなるRPG部分はいまひとつ。コンセプトとして光る部分はあるものの、システム的に遊びにくいところが目立っており、評価の足を引っ張っていた印象が強いです。
情報や要素が出そろう終盤~1周目クリア後辺りから、仕様にも慣れて面白さがジワジワ伸びてくる晩成型。細かくチュートリアルが用意されている割には、不透明や手探りの部分が多すぎました。いろいろと試行錯誤や根気よく探索できる人なら構わないですが、気軽にゲームを楽しみたい方にはおすすめしにくい作品です。
目次で流し読み
メインクエストだけでは進行不能に陥る不親切なゲーム設計
ゲーム進行は「○○を倒してこい・取ってこい」を繰り返す”おつかい”形式。この手のジャンルはプレイヤーに”おつかい”と感じさせない工夫が面白さにつながるのですが、本作は中身のない内容ばかりで努力を放棄しています。それでいて、サブクエストがオマケ要素ではなくクリア必須という一貫性のない作りです。
ゲーム内の目標として「クエストをクリアしよう」と表示されていても、提示されているメインクエストをクリアするための必要スキルを取得できるのはサブクエスト。ヒロインたちの支持率が足りない場合、そのサブクエストが表示されずに表面上は手詰まりです。支持率不足に気付かない限りは、進行不能の状態になります。
こう言った仕様の場合、詰まってもサブをクリアしていけば進めるようになるのが適切なゲーム設計です。しかし、本作ではクエストに期限が存在するため、古い物はクリア不可能。更にサブクエストを全てクリアして進めても、結局は支持率が足りないという酷いバランスでした。不具合やバグと疑われても仕方がありません。
低速な移動速度と広大すぎるフィールドサイズ
マップが全部で9個と少ない代わり、異常に広いフィールドが存在します。マッピング範囲は狭く、未到達地点の情報は全て非表示。スキル制限で進めないポイントも多数点在。不明確なクエスト情報を頼りに、フィールドサイズに見合わない移動速度で迷うことも多く、クエストのおつかい感を強めています。
一通りマップを踏破して、移動速度の増加やフィールドスキルがそろった時点でストレスは大幅に軽減されます。序~中盤が窮屈だった反動も大きいとはいえ、普通に探索を楽しめるようになったのはうれしかったです。広大なフィールドといえば魅力的ですが、何事も適切なバランスが重要だと強く実感しました。
1周目の高難易度ではリセット必須? 成り行きまかせのスキルツリー
中心からスタートして自由に取得していける、選択肢の多い育成要素。何を意図しているのか分かりませんが、各マス目の内容が隣接するマス目を取得するまでシークレットです。特に決まった法則性もないので、勘で取り進めていくしかありません。初プレイから情報なしでは計画的な育成をするのは不可能でした。
全キャラに全武器のスキルマスが用意されているため、大半のマスは不要枠。特定スキルを取得するための前提スキルの位置も非表示です。パッシブやステータス増加などの有用スキルを取れるかどうかは運次第でした。ポイントも有限のため、1周目はリセットしながら取り進めなければ、詰まってしまいそうで怖かったです。
他にも詳細を書き切れないほどの不満が存在
- 全体的にゲーム内の文字が小さい
- アイコンで1つずつ表示されない全7種類の状態異常と12種類のバフ・デバフ
- 敵が多いとウィンドウが被って範囲攻撃の判定が確認できない
- 端に配置された大型モンスターは、画面の外にはみ出るのがデフォルト
- 敵味方が同タイミングで高Wait技を使うと行動順予測が全て空白になる
- フィールドのエリアが不明確で、クエスト情報も「奥の方」や「辺り」と不明確
- シンボルエンカウント形式なのにクエストの討伐対象情報が名前のみ
- 資源の使い道が生産素材・進行アイテム・クエスト納品と多すぎる
- 上位下位が存在して種類が多いのに気軽に売れないので管理が困難
- ゲーム内の要素解放と引継ぎ要素の解放が共通したコイン利用
普段は優先度を付けて省略するのですが、書き連ねたい衝動に勝てませんでした。とにかく「見えない」「分からない」と感じた不満点が異常に多いです。慣れてしまえば気にならない部分も有りますが、そこまで到達する頃にはゲームクリアも間でしたす。システム面に関しては、1周目とクリア後の評価に大きな開きが存在します。
ストーリーはお気楽ながらも世界観は人類滅亡の危機
アイドルRPGといったジャンルや、かわいらしいビジュアルが先行。脳天気な会話で和ませてくれる内容ですが、本質は「人類に残された最後の街」を守る物語。終盤のイベントではつらい・酷い展開も用意されているので、かわいらしさだけを求めてプレイした場合、許容できない人もいるかもしれません。
一部のイベントや会話で内容が矛盾しているところも有りましたが、作風的に気にとどめるほどの大きなマイナス点ではなかったです。アイドルという設定上、日常系のイベントは全て事務所内で発生する偏った構成だったものの、イベントスチルも多く用意されていたので楽しみやすいストーリーでした。
独立コンテンツとしてクオリティが高いと感じたアイドル要素
RPG部分と絡んでいるのは衣装のみ。多彩なアクセサリや髪型はステータスに影響しない独立要素です。要素を解放するほど引継ぎに制限が掛かることも有って、完全に趣味の領域。当たり前ですがコーディネイトしてもイベント時のイラストは変わらないので、イメージの統一性を気にするなら触りにくい部分でした。
オリジナルPVを作成できる「PVSシステム」も本編とは無関係ですが、コーディネイトと併せてハマれば面白い。PV作成に関する細かい設定はもちろん。クロマキー合成用にグリーンバック背景での撮影にも対応しているなど、隙がないです。これだけでも長時間遊べるだけの完成度を持っています。
余談ですが、ヒロインたちが放送の中で戦っていることからプレイヤーのカメラ=撮影カメラ設定。スカートの中を取ろうとしたら、ガードして冷たい言葉を返される点は評価が高いです。クエストで迷ったり、広いフィールドを移動中、気分転換にのぞき込んで怒られることは、荒んだ心の清涼剤として機能していました。
ローディング・メニュー操作だけなら満点レベルの快適プレイ環境
データセーブ・ロードなどを除いて「ローディング」というほどの待ち時間が存在しない点はすごいと感じました。何か裏技でも使っているのかと疑うくらいです。戦闘は超速スキップ、イベントも手軽に飛ばせるため、2周目以降の時間短縮に助かりました。これでロード周りも酷かったら、いったい何時間掛かったのか想像も付きません……
さいごに
グラフィックやストーリーは高評価。システム面では低評価と、評価が大きく割れた本作。総評としては「B」と付けたものの、マイナス点の多くは不親切なゲーム設計です。その辺りをうまく調整して、手探りで遊ぶにしても楽しさを見いだせる構成なら評価は大きく変わっていただろうと感じる作品でした。