ジャンル | ダーク戦国アクションRPG |
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ハード | PlayStation 4 |
発売日 | 2020年3月12日 |
発売元 | コーエーテクモゲームス |
開発元 | コーエーテクモゲームス |
公式サイト | リンク |
プレイ時間 | ストーリークリアまで50時間 |
コーエーテクモゲームスがおくるダーク戦国アクションRPG 第2弾「仁王2」のレビュー記事です。
高い難易度と完成度の相乗効果で、文句なしの面白さを備えていた本作。数え切れないほどのゲームオーバーを繰り返しながらも、挑戦することを辞められない魅力を秘めていました。寝食を忘れてプレイしてしまい、気付けば休憩なしで数時間が過ぎ去っていたことも少なくはありません。50時間を超える大ボリュームでも、一切の飽きはありませんでした。
圧倒的な難しさに対して、プレイヤースキルだけを求めるのではなく、豊富な成長要素やカスタマイズが用意されている点も好感触です。育成方針次第で、プレイスタイルも百人百様に分かれます。難易度選択はないですが、オンラインに接続すれば協力プレイができるため、ライト・ミドルゲーマーでも手を出しやすいと感じました。
独自のアレンジが加えられた、豊臣秀吉の立身出世を描いたストーリーも必見です。もう1人の秀吉として、プレイヤーが違和感なく史実に登場しており、思わずうなるクオリティに仕上がっています。ボリュームの大半はアクションが占めており、ストーリーは要所要所で差しこまれる程度でありながら、見事にゲームを彩っていました。シリーズ第2弾ですが、歴史的には前作よりも過去から始まる物語なので、本作からプレイしても遊びやすい内容となっています。
目次で流し読み
高い難易度と完成度を兼ねそろえたアクション
「戦国死にゲー」と呼称されることから、高い難易度が特徴としてあげられる作品ですが、アクションゲームとしての完成度も高く、幅広い戦略性やカスタマイズ要素によって、ちょうど良いバランスに仕上がっています。何度死んでも気持ちよくリトライできるゲームデザインから、気がつけば数時間ノンストップでプレイしてしまうような、強い魅力が秘められていました。
メインストーリーだけでなく、サブミッションの寄り道コンテンツも豊富です。クリアすることで自身の強化にもつながるため、ついつい全てのクリアを目指してしまいます。もちろん、息つく間もない戦闘だけでなく、ステージには探索要素や特徴的なギミックも用意されており、退屈させない工夫が随所に見られました。
アクションゲームは、長すぎると飽きてしまいがちです。しかし、隅々まで遊びながら進めるとストーリークリアまでに50時間以上というボリュームでありながら、最後までモチベーションが高く保たれていたことも大きなアピールポイントです。
心地よい緊張感の中でクリアを目指す死闘の数々
ストーリーをクリアした時点で、落命した回数は軽く100回を超えていたため、容易にクリアできるゲームとは口が裂けてもいえません。理不尽というわけではないものの、初戦は勝ち筋の見えない敵が数多く登場します。心地よい緊張感の中、何度も挑戦して戦い方を学び、少しずつクリアに近づいていくことも醍醐味の1つでした。
登場する敵の種類も豊富です。同じ相手でも、ステージが異なると戦い方を変えなければならない場合もあって、常に慎重な状況判断と立ち回りが求められました。時には、複数の敵を相手取る場面も存在しており、一瞬の油断すら許されない死闘が繰り広げられます。
難易度選択はないものの、オンラインに接続すれば協力プレイも行えます。どうしてもクリアできない場合は、他のプレイヤーと一緒に挑戦できるので、ライト・ミドルゲーマーでも安心です。特に、他プレイヤーをNPCとして呼び出せる「すけびと」は、手軽に利用できるため、私自身も幾度となくお世話になりました。AIの性能が低く、頼れる存在とまではいえませんが、手数が増えるだけで戦略の幅が大きく広がります。
百人百様の豊富なカスタマイズと成長要素
プレイヤースキルだけを求めるのではなく、豊富な成長要素やカスタマイズが用意されている点も高評価です。9種類の近接武器選択やバラメーターの配分によって戦い方が変化するため、育成の方針次第でゲーム体験は大きく異なります。陰陽術や忍術といった搦め手も多数用意されており、プレイスタイルは百人百様です。
私自身は、ヒット&アウェイを多用する、槍&手斧装備の紙装甲ビルドでプレイしました。攻撃の機会が多い反面、少しのミスでも即死するスリルがたまりません。強敵を相手にした場合は、動きを覚えることで完封しやすいものの、最後の一撃まで死の危険が伴っていて、手に汗握る戦いを堪能できました。
育成に関しては、選択肢が多すぎて迷いどころでもあります。しかし、パラメータやスキルのリセットが容易に行えるため、いろいろと試行錯誤できるのも好印象でした。よほど極端な育成を行わない限り、クリアできないキャラクターに仕上がることもないので、好きなように育てていけるのも面白さの1つです。
起死回生や最後のひと押しとなる妖怪関連システム
新たに追加された、妖怪の力を用いたゲームシステムは、特筆してても推したい要素です。攻撃や回避などの行動で消費する「気力」とは異なり、「妖力」「アムリタゲージ」を使用して発動するため、戦略性の幅を広げるのに一役買っています。特に、気力が尽きた際の危機回避や、あとひと押しが足りない場面で真価を発揮しました。
「アムリタゲージ」がたまったときだけ使用できる「妖怪化」は一時的な大幅強化です。派手なアクションが目を見張りますが、変身中は絶対に落命しない安心感も絶大でした。妖怪化の種類も、守護霊によって3パターン用意されており、自身のプレイスタイルと相談しながら選ぶことになります。一度使ってしまうとゲージをため直す必要があるため、多用はできないものの、ここぞという場面の切り札です。
「妖力」を消費して発動する「特技」は、妖怪化の種類に連動した固有アクションです。危機回避だけでなく、敵の大技にカウンターで当てるとひるませることもできます。敵の技を模倣する「妖怪技」も妖力を消費するため、気力管理と併せて妖力の配分に気を配るのも攻略のポイントです。
妖怪の力が強化される空間「常闇」の存在によって、妖怪関連システムは、単純なゲームシステム追加以上の面白さを見せます。常闇内では「気力」の回復が大きく阻害される反面、「妖怪化」や「妖力」を用いたアクションが強化されるため、立ち回り次第で逆境をチャンスに変えられるすばらしいゲームデザインでした。
独自のアレンジが加えられた2人の秀吉を描いたストーリー
主人公「秀の字」と藤吉郎、2人で「秀吉」という歴史を描いたストーリーは、思わずうなる独自のアレンジが加えられていました。アバター形式の主人公を、違和感なく史実に絡ませているどころか、本当にあったかもしれないと錯覚してしまうほどのクオリティです。数十年にわたる物語の中で、主人公の半妖という立ち位置もうまく活かせていました。もう1人の主人公、竹中直人さんが演じる「藤吉郎」も、はまり役というにふさわしい存在感を放っており印象に強く残ります。
高評価でありながら、ストーリーの演出は、必要最低限にまとめられていたことも好ましい構成でした。ムービーやイベントが要所要所で差しこまれる程度となっており、ただ眺めているだけの時間は、ボリューム全体の1割もありません。細かい情勢などは、アクション中のちょっとした会話などで補完されています。ストーリーもゲームを楽しむ上で重要ですが、アクションのテンポを乱さない配慮がなされていました。
なお、シリーズ第2弾ですが、歴史的には前作よりも過去から始まる物語となっており、本作からプレイしても問題なく楽しめる内容です。数十年にもわたる長いストーリーから、終盤では前作との大きな絡みを見せるものの、ゲーム内に補完する資料も用意されています。本作からプレイして、興味が湧いたら前作をプレイするという流れでも、問題はありません。
さいごに
2週目のプレイも含めると、既に60時間以上はプレイしているにもかかわらず、まだまだ遊び足りない感触です。今後は有料DLCによるアップデートも予定されています。ふだんはレビュー記事を書き終えたらゲームを売却してしまう私ですが、長期的にプレイするタイトルとして残しそうなくらい気に入った作品でした。
【仁王 | PS4】評価・レビュー 圧倒的な難易度と面白さを備えたアクションRPG