ジャンル | アクションRPG |
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ハード | PlayStation 4 Xbox One Steam |
発売日 | 2021年4月22日 |
発売元 | スクウェア・エニックス |
開発元 | トイロジック |
公式サイト | リンク |
スクウェア・エニックスがおくるアクションRPG「ニーア レプリカント(NieR Replicant) ver.1.22474487139…」のレビュー記事です。
2010年に発売されたオリジナル版の、バージョンアップ作品となる本作。進化したグラフィックやゲームシステム、フルボイス化によって、ダークかつ癖の強い世界観をより深く楽しめました。追加ストーリーも用意されており、リメイクとまでは行かないものの、リマスター以上の変更が加えられている作品です。
良くも悪くもオリジナル版から体験は変わらないため、移動やイベント進行に作業感を覚える点には注意が必要です。初プレイなら、細かい不満なんて気にならないくらいストーリーに引き込まれますが、2度目のプレイだとストレスに感じる場面もありました。とはいえ、様々な追加要素が用意されており、オリジナル版を経験していても、最後まで全て遊べば満足度は高いです。
兄と妹の物語を描いたダークストーリー
世界に蔓延する奇病「黒文病」に侵された妹を救うため、「封印されし言葉」を探す主人公の物語は、キャラクターにもプレイヤーにも容赦ない、とても癖の強いダークストーリーです。プロローグから謎ばかりの展開には、グイグイと引き込まれる魅力が秘められており、続きが気になって仕方がありません。メインストーリー、サブクエストともに、予想も付かない結末・真実が待ち受けています。
バージョンアップ作品である本作では、グラフィックの進化やフルボイス化で、オリジナル版以上に高いクオリティで物語が堪能できました。さらに、設定資料集「GRIMOIRE NieR」に掲載されていたショートストーリー「人魚姫」が、映像・ボイス付きでゲーム内に追加。メインストーリーに組み込まれる形で展開され、オリジナル版をプレイ済の人でも、新しい体験が楽しめます。
ストーリー的に関係のある「ドラッグ オン ドラグーン」をプレイしていれば、端々からつながりを感じられるものの、予備知識として必須ではありません。作中で物語を理解するための情報はしっかり用意されているため、いきなり本作から遊んで大丈夫です。
繰り返すことで見え方が変わるゲーム構成
詳細はネタバレのため語れないですが、本作はクリアするたびにストーリーに変化が現れる仕様となっています。最初の周回で見えていた事象は物語の一面でしかなく、繰り返すことで世界の見え方が変わる秀逸な仕掛けです。1周目よりも2周目、2周目よりも3周目と情報量が増えていき、遊ぶたびにプレイヤーは「ニーア レプリカント」というゲームの核心へと近づきました。
初めてプレイする方にとって唯一無二の体験となる反面、オリジナル版をプレイ済の場合、どうしても魅力が薄れる点には注意が必要です。初体験なら、『どこにどんな変化があるのだろうか』と期待が先行するのに対して、結末を知っていると周回の繰り返しに作業感を覚えます。特に、同じ場所を何度も往復するイベントが多く、ファストトラベル的な機能も限られているため、移動の手間がストレスでした。
しかしながら、前述した「人魚姫」以外にも追加要素が用意されており、オリジナル版を経験していても、最後まで全て遊べば満足度は高かったです。良くも悪くもリマスター以上リメイク未満のため、2度目のプレイをバージョンアップ版で考えている方は、既知の物語を再び楽しめるか意識して検討してみるのが良いと思います。
武器と魔法で戦うスタイリッシュアクション
ストーリーの評価が高い本作ですが、アクション要素もしっかり楽しめる完成度です。3種類の武器と、多彩な魔法を織り交ぜて戦う、ハイスピードなバトルが体験できます。戦いながら武器種を変更できる「クイック武器切替」も用意されており、使いこなせばスタイリッシュに立ち回れました。魔法は事前にセットする形式ですが、ショートカットが防御・回避と重複しており、防御を外して魔法を3種類セットする攻撃的な編成も可能です。
アクションは苦手だけど、ストーリーに興味があるといった方のために、「オートバトル」機能も用意されていました。全ての機能をONにすれば、近づくだけで勝手に敵を倒してくれます。見ているだけでもかっこいいアクションの連続で、意外と戦い方の参考にもなりました。ある程度は自分で戦いたい場合、「オートガード/回避」だけONにしてプレイすると、最小限の被ダメージで気持ちよくアクションを楽しめておすすめです。
2週目・3週目をサクサクと進めたい方や、ストーリーに集中したい人にも「オートバトル」は有用でした。本作は戦闘中にも重要な会話が多いため、聴き逃しを避ける目的で利用するのも1つの選択です。いつでもワンボタンで「オートバトル」のON/OFFを切り替えられる点も好感触でした。
30種類を超える武器とカスタマイズ要素
武器は大きく分けて「片手剣」「両手剣」「槍」の3種類に分類されており、総本数は30本以上です。それぞれ性能だけでなく、リーチやモーション速度が異なっており、武器の組み合わせだけでも戦い方は大きく変化しました。さらに、敵を倒すことで手に入る「ワード」を武器や魔法にセットすると、様々なカスタマイズが行えます。アクションの基本要素と併せて、プレイヤーの選べる戦い方は豊富に用意されていました。
オリジナル版では、設定資料集にしか掲載されていなかったウェポンストーリーがゲーム内に実装された点も大きな変化です。武器の強化を行うことで、様々な物語が読めるようになります。中には、ストーリーに関係していたり、補完を兼ねていたりする物も存在しており、全てを読みたくなる魅力を秘めていました。
さいごに
2度目のプレイでも充分に楽しめたものの、特徴的なストーリーや仕掛けばかりが記憶に残っており、知らない間に思い出が美化されていたと気付いてしまうバージョンアップ版でした。不満点なんて忘れてしまうほど初体験の印象は強烈だったので、まだ遊んだことのない人には、この機会に触ってみて欲しいと強くおすすめしたい作品です。