ジャンル | 腕試し・ダンジョンRPG |
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ハード | Nintendo Switch |
発売日 | 2021年7月15日 |
発売元 | エクスペリエンス |
開発元 | エクスペリエンス |
公式サイト | リンク |
プレイ時間 | ストーリークリアまで21時間 |
エクスペリエンスがおくる腕試し・ダンジョンRPG「モンスターを倒して強い剣や鎧を手にしなさい。死んでも諦めずに強くなりなさい。勇者隊が魔王を倒すその日を信じています。(略称:モン勇)」のレビュー記事です。
かわいい見た目に反して、プレイヤーに厳しい制限を求めてくる本作。「評価システム」で高評価を得るため、バトルでは魔王を低レベル・低ターン数で討伐しなければなりません。パーティーメイクが可能とはいえ、戦い方が絞られているため、自由度は低いです。新しい魔王と出会うたびに、対策を練って攻略パーティーを組み上げる遊びになります。評価を無視すれば気軽にプレイできるものの、同時に面白さが半減してしまう、かなりクセの強いゲームデザインです。
「評価システム」依存のバトルシステムに対して、ダンジョン攻略はギミック・謎解きが中心です。いつでもセーブ可能で、全滅してもデメリットがないため、緊張感の薄い探索になりがちなのは残念でした。DRPGですが、条件を満たすまでマッピングが制限される点も、好みが分かれそうな部分だと感じます。
バトル・ダンジョンともに、縛りプレイを強制される感触で、自らの意思で試行錯誤や悪戦苦闘を楽しみたい人におすすめの作品です。
ギミックと謎解きが溢れるダンジョン攻略
登場キャラクターが少なく、ストーリーはあってないような物なので、基本的にはずっとダンジョン攻略に挑戦するゲームプレイになります。全ての戦闘がシンボルエンカウント形式で、全滅しても街に戻されるだけのため、緊張感は薄いです。ダンジョン内でも自由にセーブ可能なだけでなく、オートセーブ機能まで用意されているので、安全で快適な冒険でした。
ダンジョンには、様々なギミックや謎解きが存在しており、解き明かしながら進みます。用意されているギミックはダンジョンごとに大きく異なり、ヒントを参考に隠し通路を探したり、強敵のシンボルエンカウントに追い回されたりと様々です。謎解きは文字を入力する形式で、集めた情報から正確な回答を求められる本格仕様でした。戦闘よりもギミック・謎解き重視のダンジョン攻略です。
難易度によって、マッピングに制限が発生する点は独特です。最も簡単な「タイプA」なら最初からマップを閲覧できますが、「タイプB」「タイプC」では「地図の虫」を入手したフロアでしかマップ機能が使えません。個人的にギミック・謎解きで腹一杯だったので、マッピングまで制限されるのは過剰な感触でした。地図のために難易度を下げると、レベル上限まで緩和されてしまうため変更しづらく、個別に難易度を設定できるとうれしかったです。
低レベル低ターン数で討伐を目指す魔王戦
魔王を倒した際の「平均レベル」「ターン数」によって「評価」が変動するシステムは、本作の戦闘において最も重要な要素です。魔王戦の難易度担保はこのシステムに頼っており、自分で自分を縛ることによって、接戦が楽しめる形になります。低レベルクリアの縛りプレイや、ギリギリの戦いが好きな人向けのゲームデザインでした。逆に、しっかり育てて堅実に遊ぶプレイスタイルの人には不向きの仕様です。
登場する魔王は、いずれも尖った戦い方・特徴を備えています。無限に手下を召喚したり、物理攻撃が無効だったりする魔王もいました。高評価を目指すには、魔王に対応したパーティー編成・戦略を用意しなければなりません。一発クリアを図るのではなく、敗北前提でパターンを学び、対策を練る試行錯誤です。そのため、脱出アイテムが魔王戦でも使える他、全滅してもデメリットはなく、HPとMPが増加するサポートまで存在しました。
評価基準は事前に確認可能で、参考にしながらレベルやターン数を調整します。最高評価が満点必須ではないため、少しレベルを妥協する代わりに、ターン数は短く済ませるといった工夫の余地がありました。レベルの評価はパーティーの平均なので、メイン火力を高レベルにして、他のキャラクターを低レベルで調整する構成も可能です。難易度を下げると、レベル上限が緩和されるため、極端な構成を作りやすくなります。
高評価を諦めて、最大レベルで堅実な戦い方を選べば、簡単にクリアが可能です。ただし、高評価を目指す前提でなければ、面白さが半減してしまいます。つらくなったら妥協してしまう人や、攻略サイトを頼ってしまう人にはおすすめできません。魔王というよりも「評価システム」を相手に、試行錯誤と悪戦苦闘を繰り返すのが本作の醍醐味です。
魔王と出会うたびに再構築するパーティーメイク
パーティーは、8種類の職業から6人を選んで結成します。職業の構成は自由ですが、隊列は前列3人・後列3人の固定です。同じ職業でも、特色を強化した「秩序」と、幅広いスキルを覚える「混沌」の2種類が存在します。キャラクター作成時やレベルアップ時に得られるポイントを割り振って、自由にステータスを伸ばせる育成形式もあって、パーティーメイクの選択肢は豊富に用意されていました。
パーティーメイクの選択肢が豊富とはいえ、自由度は決して高くありません。魔王ごとに求められる戦い方が絞られているため、自分好みのパーティーを組んでも、高評価獲得は難しい場合があります。新しい魔王と出会うたびに対策を練って、攻略パーティーを再構築する流れが基本です。低ターン数での討伐が求められるため、ギリギリ死なない程度の耐久力・防御策を維持して、残りは攻撃力に割り振る構成にもなりがちでした。
頻繁にパーティー構成を調整する必要がある中、転職や、ステータス・スキルポイントの振り直しが無制限に行える点は好感触でした。極端な性能の魔王が立ち塞がると、パーティーメンバーの半数以上を転職させる場合もあります。転職やポイントリセット、レベルの配分を熟考して、パズルのように組み直すパーティーメイクです。
管理が煩雑で時間を取られる武具強化
キャラクター同様、武具にも成長要素が用意されており、使い込むことで強化値が上昇していきます。キャラクターのレベルとは異なり、武器の強化値は「評価システム」に影響しないため、高評価を目指す上で重要な要素です。同じ武具でも性能にバラツキがあるので、より高い性能・ランクの物をそろえて鍛えるのが、高評価攻略のコツでした。
低レベルクリアが基本になるため、レベリングは最低限で済むものの、代わりに武具を強化するための戦闘回数が多いです。特に、転職した際には、職業ごとの装備制限があるので、武具を1から育てる形になります。魔王戦前は、レベルを止めつつ武具強化目的での単調な戦闘を繰り返す時間が積み重なりました。中盤以降は、明らかに育てきれない強化上限が設定されているため、強化値を移し替える機能などがあればうれしかったです。
武具の強化が重要であるにもかかわらず、管理面で遊びにくさを感じたのは残念でした。フィルタ機能は武器・防具のみ、ソート機能は1パターンだけで、お気に入り・ロック機能もありません。転職で武具を付け替えたりしていると、要不要の把握が煩雑になりがちです。敵のドロップアイテムが異常に幅広く設定されており、ラストダンジョンで初期武具が落ちることもある雑多さも、管理の煩わしさを助長していました。
さいごに
表面上はオーソドックスなDRPGながら、「評価システム」による擬似的な縛りプレイや、ギミック・謎解き中心のダンジョンを楽しめるかどうかで、評価が大きく変わりそうな作品でした。かなり人を選ぶ作風なので、不安があれば購入を避けた方が良いものの、刺さる人にはとことん刺さるゲームです。