ジャンル | 心身視姦ADV |
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ハード | Windows |
発売日 | 2018年7月27日 |
発売元 | ニトロプラス |
開発元 | ニトロプラス |
公式サイト | リンク |
ニトロプラスがおくる心身視姦ADV「みにくいモジカの子」のレビュー記事です
一癖も二癖もある陰鬱な復讐劇という作品性から、普通の人には決しておすすめできない本作。トラウマになりそうな展開に加えて、18禁アドベンチャーとしても上級者向けのため、ターゲット層はとてつもなく狭いです。しかし、刺さる人にはこの上なく突き刺さる内容でした。
他人の心が読める「モジカ」の能力と、一人称視点を徹底した演出の組合せも秀逸で、プレイを通して主人公とリンクするような体験も楽しめます。特殊なコンセプトに対して、細部まで並々ならぬこだわりを感じさせる、過去に例を見ない異常な作品です。
陰鬱な上級者向け18禁アドベンチャー
いじめられていた主人公が人の心を読む能力「モジカ」を駆使して復讐を開始する。あらすじだけを見れば、在り来たりな復讐劇ですが、決してスカッとするような物語ではありません。ルート分岐によっては、プレイ前よりも気持ちが沈んでしまう後味の悪さも存在しました。
常に重苦しい雰囲気が漂っており、ハッピーエンドが全く見えず、プレイ中は苦しい気持ちでいっぱいです。18禁シーンの割合も高いのですが、かなり上級者向けの展開が中心でした。ストーリーを進めるうちに、何を求めてプレイしているのか自分でも分からなくなってきます。
明らかに狭いターゲット層を狙ったコンセプトに対して、全力で挑戦している姿勢はすばらしいとしか言いようがありません。決して万人向けではないものの、公式サイトやPVで興味を持ってしまった方には、確実に突き刺さるであろう作品に仕上がっていました。
主人公の体験とリンクする異常な作り込み
基本的に一人称視点で進行することに加えて、主人公は「モジカ」を避けて常に顔を伏せているため、ストーリーの大半は足元視点で進行します。視界の狭さから演出は控えめなのかと思いきや、そんなことは全くありません。むしろ豊富な足元のバリエーションに謎のこだわりを感じます。
さらに、モジカ時の情報量は、一般的なアドベンチャーとは比較にならないほどの情報過多です。会話や情景描写だけでなく、相手の思考が視界を埋め尽くすため、全力で読まなければ理解が追いつきません。この演出は、まるで主人公とプレイヤーの体験がリンクしているかのようでした。
一人称視点を徹底するため、ゲーム内にマウスカーソルを一切表示させないなど、細部まで作り込みは一貫しています。少し操作性が悪くなっていたものの、演出の延長だと考えれば、大きな不満にはつながりません。むしろ、中途半端な妥協がなかったからこそ、作品の完成度は高まっていました。
トラウマ的な意味で心に残る作品
公式サイトなどのプロモーションから、危険な雰囲気があふれるほど伝わってきたので、十分に覚悟してのプレイでした。しかし、想像を上回る展開ばかりで、心が折れそうになった場面も1度や2度ではありません。モジカを使うため、顔を上げるかどうかの選択だけでも嫌な汗が流れます。
トラウマとして心に残るシーンも、分かりやすいエログロからサラリと後味の悪い展開まで、腰が引けるほど充実していました。1つの大きなトラウマを刻むのではなく、ちょっとしたキッカケで様々なシーンがフラッシュバックしてしまう、とても性格の悪い作品です。
さいごに
他にも取り上げたい部分はたくさんあるのですが、これ以上に踏み込む場合は18禁シーンに触れる必要があるため、ギリギリ健全な範囲で締めておきます。他のプレイしたユーザーと語り合いたい反面、語りすぎると性癖などがいろいろとバレそうで悩ましいところです。
序盤が少しだけ楽しめる体験版が用意されており、公式サイトと併せて、コンセプトや演出に心が躍ってしまう上級者におすすめしたい作品でした。