ジャンル | ガールズアドベンチャー |
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ハード | PlayStation 4 Nintendo Switch |
発売日 | 2019年6月27日 |
発売元 | 日本一ソフトウェア |
開発元 | 日本一ソフトウェア アクワイア |
公式サイト | リンク |
プレイ時間 | ストーリークリアまで10時間 |
日本一ソフトウェアとアクワイアがおくるガールズアドベンチャー「じんるいのみなさまへ」のレビュー記事です。
荒廃した秋葉原を舞台に、少女たちがサバイバルをおくる本作。違和感と謎ばかりで続きの気になるストーリーに惹かれて購入したものの、探索要素がストレスばかりで苦痛を感じました。ボリュームの大半は、ただ移動するだけの時間で占められており、常に虚無感や睡魔と戦うことになります。
気になっていたストーリーも、期待を超えるような評価ではありません。支離滅裂な展開が目に付いたり、有料DLCの片鱗を未購入でも見せられたりと、荒い作りが目立ちます。褒められる部分を見つけるのが難しく、この完成度と価格で販売に踏み切って良かったのか、不安すら感じる作品でした。
秋葉原を舞台にしたサバイバルストーリー
荒廃した秋葉原で、少女たちが目覚めたところから始まるストーリーは、様々な違和感と謎に包まれています。あきらかに不自然な状況でありながら、普段通りに振る舞う少女たちの姿には、若干の恐ろしさを感じました。プロローグだけを見れば、かなり引きのある内容です。
サバイバル自体はゆるい設定となっており、都合の良い展開が続くのはご愛敬。足りない知識は情報系同人誌で仕入れるなど、秋葉原らしい設定も用意されています。良くも悪くも鬱展開やどんでん返しはなく、ところどころで支離滅裂な箇所はあったものの、最初から最後までゆるふわなガールズアドベンチャーが続きました。
ストレスしか見つからない探索要素
ゲームの進行は、秋葉原の街を探索することで進む仕様となっています。基本的には、提示された目標の達成を繰り返す、いわゆる「おつかい形式」です。序盤から終盤まで、ずっとおつかいが続くだけでも嫌気が差すことに加えて、不満点が満載の作りになっており、ストレスばかりが溜まります。
不満の筆頭として挙げられるのは、簡素で役に立たない地図です。目的地の場所どころか、自分の現在地すら分かりません。提示される目標も曖昧な内容が多く、どこに行けば良いのか分からなくて、隅から隅まで探索する状況に何度も陥りました。イベントと通常の探索スポットが同じアイコンになっていたり、そもそもアイコンがなかったりして、更に混乱を招きます。
苦痛ばかりの探索要素ですが、終盤に入ると急に頻度が激減したことも、気になるポイントでした。サクサクとストーリーが進んでうれしかったものの、あまりの落差から、開発が力尽きてしまった感が否めません。最初からオマケ程度の要素として作られた方が、開発もプレイヤーも幸せだった可能性が高いです。
形骸化している各種ゲームシステム
メインストーリーの目標以外にも、探索中に行えることは豊富です。建物を調べて素材を獲得したり、釣りや罠の設置で食料を確保したりといった、自由な探索が行えます。交差点の真ん中で釣りができるなど、ここでもゆるい設定が目立つものの、サバイバルらしさの演出に一役買っていました。
しかし、プレイを続けるうちに、各種ゲームシステムが形骸化していることに気付きます。ストーリー進行に必要な素材のほとんどは目標として提示されるため、活用するべきタイミングがありません。途中から自由探索を放置してプレイしていましたが、クリア時点でイベントスチルは100%でした。
ボリュームの大半を占める移動時間
ストーリークリアに掛かった時間のうち、半分くらいは探索中の移動時間が占めていました。秋葉原駅を中心としたマップの広さに対して、移動速度はダッシュをしても遅く、端から端まで移動するだけで数分は掛かります。何度も往復させられるにも関わらず、ファストトラベルなどの便利な機能は存在しません。
ただでさえ遅いダッシュ移動ですが、移動中はダッシュボタンを押し続けなければいけない点も不満でした。移動が左スティックに対して、ダッシュはRボタンが割り当てられているため、常に両手が塞がってしまいます。どれだけ退屈な探索でも、片手間にプレイはできません。おかげで何度も睡魔に襲われて寝落ちしそうになりました。
未解決の謎を残す有料DLCの存在
発売時点で追加キャラクター&ストーリーの有料DLCが配信されている本作。存在自体に疑問を抱いてしまうDLCですが、購入の有無に関わらず、追加キャラクターの存在をチラつかせてくるのは予想外でした。もちろん、購入しなければ登場することはなく、関連する謎や矛盾も未解決のままです。
DLC無しだと5人の少女が登場する中、徐々にカップリングが成立していくことも問題です。6人目を登場させなければ1人余ってしまい、かわいそうな絵面になります。ここまで有料DLCを売り込んでくるなら、価格を500円上げて、最初から登場させた方が良かったのではと感じました。
さいごに
ストーリーだけなら悪くはなかったので、下手にサバイバル要素をゲームシステムとして作らず、テキストベースのアドベンチャーゲームに仕上げてくれた方が楽しめそうな感触でした。正直なところ、レビューを書くモチベーションがなければ、開始1時間と経たずに辞めていたと思います。
キャラクターデザインのかわいさや、ガールズアドベンチャー要素に惹かれて興味を持った方は、キチンとゲーム部分を確認してから購入することを推奨したい作品です。