ハード | Windows |
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発売日 | 2015年7月5日 |
発売元 | 米子ガイナックス |
開発元 | 米子ガイナックス |
公式サイト | リンク |
米子ガイナックスから発売された、なごみ系育成シミュレーションゲーム「ラーメンの女神」のレビュー記事です。
5月20日の発売予定から片手では足りないほどの延期を繰り返した本作。最終的には「取りあえず販売して、あとからバージョンアップでクオリティを上げる」という形に踏み切った問題作です。何が正常で、何が不具合・未実装なのかすら判断できない完成度に加えて、致命的に楽しくないゲームシステムなど、突っ込んだら負けなのではと不安になってしまう作品でした。
なお、当レビューはラーメンの女神 Ver1.00に関しての評価となっており、その後に追加されたいかなるバージョンアップについて関係はございません。御注意ください。
目次で流し読み
のびた上に具無しで発売された問題作(あとのせ予定)
当初の発売予定日からクオリティアップのために10日間の延期を決定。それから1か月半の間に、小刻みに7度の延期が行われました。中には当日に数時間の延期を告知するパターンも存在して、どう考えてもパッケージタイトルを開発しているとは思えない状況が続きます。まるでネットゲームのメンテナンス延期のようです。
何とか7月5日から販売が開始されたものの、取りあえず配信して”発売した”と言う体裁を保ちつつ『バージョンアップを予定』と明言する強引なスタンス。しかも、これまでの延期で何の作業をしていたのか全く想像できない完成度となっており、のびた上に具無しのラーメンが出てきたとしか言い表しようがありません。
クリアに1時間も掛かってしまう単調なクリックゲーム
掲載している動画のように、客の注文を聞いて15回ほどクリックするとラーメンが出来上がります。これを100回繰り返せばゲームクリアです。クリックのうち点数に関係するのは5回のみで、あとは無心でクリックを続けるだけのシンプルなシステム。途中で何度か短いイベントが挿入される以外、延々と同じことを繰り返すことになります。1時間で終わってしまうことを嘆くより、単純作業を1時間も続けなければいけない方がつらいゲームです。
分母が100点なのに100点以上のラーメンが作れる。客のアニメーションが頻繁にバグる。塩、醤油、味噌の選択範囲が異常に狭い。クリックゲーなのにクリックに反応がない。ゲーム内容ページの画面に比べて足りない部分の方が多いなど、めちゃくちゃ過ぎて、何が正常で何が不具合・未実装なのかすら判別が付きませんでした。
中断することは許されない強制労働ラーメン屋
4分割した画面の1つに表示されているセーブ・ロードの文字。この機能はクイックセーブです。ゲームを終了するとデータが消えてしまうトラップボタンでした。そのため、約1時間のゲームを一気にプレイする必要があります。面白ければ苦になりませんが、完全に単純作業なのでモチベーションを保つのは困難でした。睡眠導入効果としては光るモノがあったので、『ラーメンを一杯、ラーメンを二杯』と、就寝前のプレイにおすすめです。
最終結果によって変化しない全1種類のエンディング
お客にラーメンを出すたびに得点が増えていき、それに伴いラーメンの女神が成長。姿が変わってもゲーム画面には反映されないという不具合の中、お客が100人に到達するとゲームクリアとなります。壮大なエンディングとなっており、たとえどんな最終結果を出しても内容に変化はありません。頑張っておいしいラーメンを出しても”骨折り損のくたびれもうけ”が現実です。エンディング分岐すらバージョンアップをお待ちください。
たった5人の名前しか書かれていない高速スタッフロール
1画面に収まってしまう上にスクロールが速く、流れ終わるまでに10秒と掛かりません。何度も延期してこのクオリティも納得の少人数でした。クリア後はゲームが自動的に終了してしまい、何の感慨も抱かせない徹底ぶりです。そもそも本作にはタイトルやメニューが用意されていないため、戻るべき画面が存在しません。
これをVer1.00と表記していることに大人の事情を感じる
公式サイトの情報と照らし合わせたら、高く見積もっても「Ver0.5」が精一杯かと思います。書くしかなかったとはいえ、こうもハッキリ「Ver1.00」と明記してしまうと、ゲーム内容ページとの情報差違が多過ぎて、詐欺の類に該当するのではないかと心配なほどです。「画像は開発中のものです。製品版とは異なる場合があります。」と書けば許されるのかもしれない。
「バージョンアップでこういう機能を追加していきます」と告知してくれれば、今後に期待が持てます。しかし、現状はどのような形式でアップデートしていくのかすら不透明です。これでは、買った人は『バージョンアップに期待』と呪文のように繰り返すしかないでしょう。私もそのうちの1人です。
さいごに:突っ込みを入れたら負けだったのかもしれません
明らかにネタゲーで、2,000円のダウンロード専売商品のため期待はしていませんでしたが、想像以上にひどいクオリティでした。地雷臭が漂っているのを承知で購入したら、その地雷すら不発弾だったという印象です。私は最初からレビュー記事を書くつもりでプレイしていましたが、折り返しを過ぎた辺りで『これを真面目に記事にして良いのだろうか』と疑問を抱いてしまったほどでした。
実際に感じたことを正直に書いていくスタイルなので、今回も崩しはしませんでしたが、愚痴になってしまわないよう意識はしています。購入からレビュー記事を書いたことまで、全てにおいて謎の敗北感が湧き上がってくる不思議な作品でした。延期劇まで含めて壮大なネタゲーだったと考えれば、もしかすると評価するべきところは多いかもしれません。