ジャンル | 謎解きxパニックxアクティブ3DダンジョンRPG |
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ハード | PlayStation 4 |
発売日 | 2018年7月12日 |
発売元 | コンパイルハート |
開発元 | コンパイルハート ゼロディブ |
公式サイト | リンク |
プレイ時間 |
メアリスケルター2クリアまで33時間 ストーリー完結に前作リメイク版のプレイ必須 |
謎解き×パニック×アクティブ3DダンジョンRPG 第2弾「神獄塔メアリスケルター2」のレビュー記事です。
続編でありながら、作品の位置付け自体が謎に包まれている本作。前作をプレイした人にとって、似て非なる違和感満載のストーリーは、真相が気になる魅力を秘めています。サブイベントも豊富に用意されており、キャラクターの掘り下げがしっかり行われていた点も好印象です。
しかし、リメイク版「メアリスケルター」もプレイしなければ、ストーリーが完結しない点には好感が持てませんでした。前作をプレイ済みの場合、既知のストーリーを長時間プレイする必要があります。強制的に遊ばせられている感触もあって、評価を落とす結果に繋がりました。
ゲームシステムには様々な新システムが用意されているものの、洗練されたクオリティとは言い難く、前作の方が良かったと感じた部分さえあります。不具合や不安定な挙動も目立ち、続編として改善を重ねても低い完成度に、落胆を隠せない作品でした。
目次で流し読み
似て非なる違和感満載の続編ストーリー
新たな主人公の登場に加えて、前作では本編開始前に死んでいた人魚姫が生存しているストーリーは、謎に満ち溢れた世界です。既存キャラクターも立ち位置や性格が多様に変化しており、似ているようで大きく異なる違和感だらけの脱獄劇に再挑戦することになります。
前作同様、前日譚「獄中童話幻日譚」が公式サイトに掲載されており、プレイ前に読んでおくことを推奨です。作品の位置付け自体が本作最大の謎となっているため詳細を語ることはできませんが、前作まで巻き込んだ壮大なストーリーは、とても魅力的に映りました。
本編だけでなく、サブイベントが豊富に用意されていた点も好印象です。もちろん全てのイベントがフルボイスで、キャラクターの掘り下げに貢献していました。欲を言えば、イベントスチルの枚数が物足りなかったのですが、作品を引き立てる役割としては十分だったと感じます。
ストーリー完結にはリメイク版のプレイが必須
本作には、リメイク版「メアリスケルター」も収録されており、クリア後に解放される仕組みとなっています。無料DLCでリメイク版から遊ぶことも可能ですが、「メアリスケルター2」の完結に関わるイベントが追加されているので、ストーリーを理解するためには本作・リメイク版の順番が適切でした。
厄介なことに、前作をプレイ済みでもリメイク版の再プレイは必須です。一応、プレイ済みの方に向けて終盤までスキップする選択肢が用意されています。しかし、レベルや装備が最低限の状態から始まるため、レベル上げなどを含めて追加イベントまでに10時間近く掛かりました。
両作品の関連性や繋ぎに関しては上手いと感じたものの、リメイク版を強制的に再プレイさせられた点には好感が持てませんでした。既知のストーリーを長時間遊んでいる間に「メアリスケルター2」の熱も冷めてしまったので、もっとスムーズに追加イベントを楽しませてほしかったです。
高難易度で手間の掛かるゲームバランス
先手必勝でスキルを撃てばよかった戦闘は、バランス調整によって高難易度に変化しました。ただし、全体攻撃スキルの減少など味方の弱体化が目立つ調整となっており、遊んでいて楽しい難しさではありません。操作の手間も煩雑で、爽快感があった分だけ前作の方が気持ちよかったです。
リメイク版も大幅に難易度が向上しており、特に敵の攻撃力がとても高いです。雑魚敵が相手でも、先手必勝で倒しきれなければ一転して全滅の危機に陥ります。ボス戦に至っては、全体攻撃の連打で力押しばかりしてくるため、回復スキルを連発しながら殴り合うだけの戦闘が目立ちました。
雑多で洗練されていない新システム
既存のゲームシステムに加えて、育成要素の幅を広げる「ユ血液」や、トレハン要素を強化した「ブラッドファーム」など、様々な新システムが追加されました。いずれも前作で物足りなかった要素を補う内容となっており、上手く機能していれば面白さは倍増していたかと思います。
しかし、どのシステムも中途半端な作り込みで、決して洗練されているとはいえません。「ユ血液」は最初から最後まで活躍する場面がなく形骸化。「ブラッドファーム」はアイテム管理を含めて操作が煩わしい上、強化限界が低すぎる「武器強化」システムを完全に殺していました。
戦闘面においても、高速で戦闘が進むオートバトルが用意されています。しかし、通常攻撃の繰り返しか、前ターンのリピートしか選べない役立たずです。たとえ相手が格下でも、味方の「ブラッドスケルター化」によって事故死する場合があるため、危なくて使えません。
新作・リメイク版の改善点と新たな不満
前作の主な不満点が改善されていた点は素直にうれしかったです。35個しかなかったアイテム所持枠は、9,999個まで増加して実質無制限。ジェイルルーレットはオプションで自動化。何を行うにしても足りなかった血晶素材も入手経路が増えて、最低限まともに遊べるゲームでした。
特にすばらしいと感じたのは、マップサイズの調整です。とにかく広くて複雑にすれば良いだろうという構成だったダンジョンは、ゴチャゴチャした印象を残しつつも常識的なサイズでした。リメイク版は5分の1くらいまで縮小されているため、別ゲームかと思えるほどの変貌を遂げています。
もちろん、全ての不満が解消されているわけではなく、歯がゆい部分も多く残っていました。なぜか1つずつしか受けられなくなった「依頼」は、改善どころか改悪です。淡泊気味だったことを解消するために遊びにくくしてしまっては、正に本末転倒でした。
散見する不具合とストレスのたまる挙動
発売前に『デバッグ作業を前作の2倍以上設けました』と謳っていたにも関わらず、発売時点で数多くの不具合が残っていました。強制終了や、ゲームバランスに大きく関わる不具合も存在しており、有言実行どころか前作よりも悪化しているのではないかと不信感が募ります。
不具合とまでは言わないものの、ゲーム内で何らかのアクションを起こすたびに、動作が一瞬遅れるような不安定な挙動も目立ちました。プレイを続けるうちに慣れてはくるものの、クリアするまで付き合い続けることになるため、地味にストレスがたまってしまう挙動です。
発売から1週間の時点で「パッチ 1.03」が配信されており、修正対応は早いものの、まだまだ潜んでいる不具合は多いです。前作は、発売から数か月掛けて不具合修正とバランス調整を重ねていたため、安定して楽しみたいのならパッチが落ち着いた後のプレイを推奨します。
さいごに
前作は磨けば光りそうな部分が多かったので、改善が加えられた本作に期待していたものの、想像を下回るクオリティにはガッカリです。挙げた以外にも不満点は多く、リメイク版の強制再プレイが始まったところで辞めたくなりましたが、ストーリーの結末を見届けるためにクリアまでプレイを続けました。
無理にいろいろと詰め込むよりも、クオリティを上げることに注力して、ストーリーの魅力を活かせていれば評価が変わったかもしれない作品でした。