ジャンル | ハイテンポシューティング |
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ハード | Steam |
発売日 | 2021年8月27日 |
発売元 | hinyari9 |
開発元 | hinyari9 |
公式サイト | リンク |
プレイ時間 | 1プレイ50分前後 |
hinyari9氏制作のハイテンポシューティング「溶鉄のマルフーシャ」のレビュー記事です。
門を守る衛兵となって、過酷な防衛戦を務める本作。迫り来る機械兵、自己負担で拡充する戦力、税金を搾り取られる給与、露骨なプロパガンダ。「溶鉄のマルフーシャ」は、絵に描いたようなディストピア世界で、かわいらしい女の子たちを操作して戦う、タワーディフェンス風のシューティングです。もちろん、戦闘ばかりではなく、女の子たちのイベントも複数用意されています。
1プレイは50分前後と手軽なボリュームですが、戦績や仲間によって10種類の結末に分岐するマルチエンディング形式を採用。オンラインランキングに対応した「チャレンジモード」も用意されており、軽快なテンポで繰り返し楽しめるゲームデザインでした。女の子たちが可哀想な扱いを受ける作風は、好みが分かれそうな部分ですが、逆に興味を引かれる人にはおすすめの作品です。
ディストピア世界で門を防衛する100日間
パン屋で働いていた主人公「マルフーシャ」が、徴兵されるシーンから始まるストーリーは、迫り来る機械兵を相手にした防衛戦の物語です。暗澹としたディストピア世界で、国境の門を守る衛兵となって、100日間の戦いを生き延びなければなりません。敵兵だけでなく、何かに付けて税金を搾り取ろうとする、自国の厳しい政策もプレイヤーとマルフーシャを苦しめます。
ストーリーモードは1プレイ50分前後と手軽なボリュームで、マルチエンディング形式を採用しており、衛兵生活の結末は様々に分岐します。戦績や仲間として雇用したキャラクターが分岐条件となっており、種類は全10パターンと豊富です。大抵は世界観に相応しい悲惨な結末に至るため、救いのない物語が好きな方向けの作風でした。
登場する女の子は、非戦闘員を含めて全部で9人。いずれもかわいらしいドットで描かれており、雇用して仲間になった場合には、同室の住人として一緒に生活します。部屋での会話や一定周期で発生するイベントは、キャラクターごとに異なる物が用意されているため、女の子たちの様々なコミュニケーションに癒やされる場面もありました。
自己負担で戦力を整えて戦う衛兵のお仕事
門を守るお仕事の基本は、銃器による応戦です。キーボードでの移動と、マウスによる射撃を組み合わせて、迫り来る機械兵を迎撃します。弾薬は無制限ですが、マガジンとリロードの概念が存在するので、弾幕を絶やさないよう立ち回らなければなりません。使用できる銃器は10種類、雇用できる仲間は7人から1人、他にも設置式ガジェットや特殊兵器なども登場します。
パラメータの強化や、兵力の拡充はカード選択方式となっており、1日防衛するごとにランダムで出現する3枚から選んで1枚を獲得できます。ただし、それぞれに費用が設定されており、軍務でありながら自己負担というブラックな職場です。仲間の雇用は初期費用だけですが、銃器には耐久力が設定されているため、壊れる前に買い換える継続的な出費が発生しました。
カードを獲得するための資金は給与から捻出します。給与は1日ごとに支払われる日払い形式です。政策によって、様々な税金控除が発生するため、手取りは半分も残りません。さらに、門のダメージが大きいと修繕費の天引きが発生する場合もあります。幸いなことに、給与がマイナスでも借金にはなりませんが、ゲームに慣れるまでは無償奉仕の日も目立ちました。
門が破壊されるまで働き続けるチャレンジモード
「ストーリーモード」以外に、エンドレスに門を守る「チャレンジモード」が用意されています。チャレンジモードでは、マルフーシャ以外のキャラクターを操作することも可能です。それぞれに得意武器やパラメータ差などの特徴が備わっています。防衛成功日数を競うオンラインランキングにも対応しており、非常にやり応えのあるコンテンツです。
女の子の組み合わせによって発生する、チャレンジモード限定の相性イベントも見所の1つでした。セリフはないものの、挙動から様々な想像が膨らみます。他にも、飲食からシャワーシーンまで、全キャラクターの差分がキチンと仕込まれていた点も好感触です。ハイスコアを目指す検証も兼ねて、いろいろな操作キャラ・カップリングでプレイする面白さがありました。
門を守るだけのシンプルな内容もあって、『再挑戦すればもっと記録が伸びそう』と感じることも多く、何度も遊びたくなる魅力を秘めています。ちょっとした空き時間があれば、ついつい挑戦してしまいました。このレビュー記事を書いている途中でも、何度か筆を置いて遊んでしまい、公開が遅くなった要因です。気付けば、ストーリーモードのエンディングコンプリートと併せて、30時間ほど遊んでいました。
やりこみ始めると目立つ運要素の強さ
強化要素の大半をランダムのカード選択が占めているため、運要素が強い点は気になってしまう部分です。武器の耐久値が低いほど、武器カードが出やすい仕様は存在するものの、出現カードの方向性をプレイヤーが操作する手段はありません。カードが70種類以上と豊富なので、目当てのカードが1度も出ないままクリアやゲームオーバーになるパターンも多いです。
特に、チャレンジモードをやりこみ始めると、運要素の強さが際立ちました。序盤に強力な仲間を雇用できなければリセット。100日を超えてくると、高火力銃器が定期的に出現することを祈り続けます。敵の数が多く、火力不足をテクニックでカバーするのは不可能です。手持ち銃器の耐久力が尽きる前に、次の高火力銃器を入手できるかどうかが、ハイスコア到達の最重要ポイントでした。
やりこむほどに感じる運要素ですが、通常プレイにおいては、必要以上に気にする必要はありません。過酷な境遇とはいえ、ストーリーモードには給与支給&カード獲得付きリトライ機能も用意されており、誰でもクリアできるように作られています。エンディングのコンプリートや、チャレンジモードのハイスコアを目指し始めると目立つものの、そこに至っている時点でゲームにのめり込んでおり、運要素も含めて本作の面白さだと感じました。
さいごに
独特の作風や内容から、万人受けするゲームではないものの、雰囲気に惹かれたなら買って間違いはありません。販売価格も790円と手頃で、値段以上に楽しめる作品でした。