【Life Is Strange(ライフ イズ ストレンジ) | PS4】評価・レビュー 時間を巻き戻せても人生は優しくならない

総評
時間を巻き戻す能力を使って物語を選択するアドベンチャー。続きの気になる展開や悩ましい選択肢だらけで、秀逸なストーリーとなっています。時間を巻き戻せることで人生が簡単になるのかと言えば、そんなことはなく、やり直せることで逆に『人生は難しい』と感じてしまう作品です。
良かったところ
複雑で先の読めないストーリー
何度でもやり直せるが悩ましい選択
悪かったところ
近すぎるカメラワーク
5
A+
ジャンル アドベンチャー
ハード PlayStation 4
Steam
発売日 2016年3月3日
発売元 スクウェア・エニックス
開発元 DONTNOD Entertainment
公式サイト リンク
プレイ時間 ストーリークリアまで10時間

 『人生は選択肢だらけ、でももし選び直すことができたら―』、時間を巻き戻す能力を使って物語を選択するアドベンチャーLife Is Strange(ライフ イズ ストレンジ)」のレビュー記事です。

 ゲームシステムに多少の不満はあったとはいえ、続きの気になる展開や悩ましい選択肢など、ストーリーは秀逸だった本作。プレイ前は、巻き戻しを活用して正解を見つけ出すゲームだと思っていたのですが、やり直せることで逆に『人生は難しい』と感じてしまう作品でした。

小さなきっかけからどんどん広がっていくストーリー

 超能力や超常現象といった派手な設定が存在するものの、ストーリー自体は現実味のある内容です。ちょっと内気な主人公や、複雑な人間関係によって、余りゲームらしい物語とは言えません。どちらかと言えば、選択肢や後述する巻き戻し能力で介入できる、テレビドラマを見ている気分になります。

 プレイ中、主人公は悩ましい選択を何度も突きつけられることになり、ちょっとした行動が後々大きな結果につながることも多いです。誰かを疑い始めてしまうと、誰も信じられなくなってしまいます。先の読めない展開で、引き込まれるような魅力を持った5つのエピソードで構成された物語です。

好きなタイミングで時間を巻き戻せる主人公の能力

 選択肢の有無にかかわらず、主人公は自由に時間を巻き戻すことが可能です。選択肢をやり直したいときや、行動をなかったことにする。危険を回避するなど、活用方法は多岐にわたります。ただし、その場では良いと思った選択がどのような結末をもたらすことになるのかは誰にも分かりません。

 本作は5つのエピソードに分かれているものの、ストーリーは連続しており、主人公の選択はエピソードをまたいで影響を与えました。バタフライ効果のように、序盤のちょっとした行動が終盤で大きな問題に発展します。たとえやり直せても、人生はイージーモードではありません。

 ストーリーが進むにつれて、巻き戻しにマンネリを感じますが、飽きる前に新しい展開が用意されているので、緊張感はうまく維持されます。エピソードをクリアすると全体・フレンドの選択肢が表示されて、自分が多数派・少数派のどちらかチェックできる機能が用意されている点も面白いと思いました。

近すぎるカメラワークは今ひとつ

Life Is Strange(ライフ イズ ストレンジ) カメラワーク

 視界を合わせた物にメニューが表示されるUIと、近すぎる三人称視点の組合せには、終始不満を感じました。場所によっては主人公の体でメニューが隠れてしまうことが頻繁に発生します。アイテムを探さなければならない場面で苦戦することも多く、カメラワークの調整ができればより好印象でした。

寄り道や周回などやり込み要素も豊富に用意

Life Is Strange(ライフ イズ ストレンジ) チャプターセレクト

 ストーリーをクリアするだけなら1エピソード2時間前後。合計時間は10時間程度です。しかし、サブイベントや小ネタを全て回収するなら、追加で数時間は遊べるボリュームが用意されています。写真家になりたい主人公と関連付けて、撮影ポイントを探すと言ったやり込み要素も存在しました。

 クリア後も、1周目とは違う選択を選んで変化した世界を周回プレイや、気になっていた選択肢をやり直すことができます。中には3択以上に分岐している選択肢もあるため、ストーリー全体の組合せは数えきれません。実績などは付いていませんが、遊び尽くそうと思ったら何時間でも楽しめます。

さいごに

 海外では5エピソードを順番に配信していたため、エピソードごとにスタッフロールと簡単な予告が挿入されています。作品としては好みだったので、一気に遊んでしまっても良かったのですが、私にしては珍しく1エピソードごとに間を置いて楽しみました。開いた時間に続きが気になってしまい、より一層ストーリーを堪能できたように感じます。

 1度きりの人生と考えて悩みながら選択するか、周回して何度も遊ぶか、楽しみ方はプレイヤー次第の作品でした。