【LEFT ALIVE | PS4】評価・レビュー ゲームに慣れるのが先か、心が折れるのが先かのサバイバルアクション

総評
容赦のない難易度で「極限状態でのサバイバル」を演出しているアクション。わざと中途半端な作り込みにしているシステムなど、面白さの分かりにくいゲームデザインとなっており、好みに合う合わないが大きく分かれそうな作品でした。
良かったところ
選択が運命を変えるストーリー
重量感のあるヴァンツァー戦
悪かったところ
中途半端なサバイバルアクション
ゲームにとって都合の良いリアリティ
狭すぎるターゲット層
3
B
ジャンル サバイバルアクション
ハード PlayStation 4
Steam
発売日 2019年2月28日
発売元 スクウェア・エニックス
開発元 スクウェア・エニックス
公式サイト リンク
プレイ時間 ストーリークリアまで14時間

 スクウェア・エニックスがおくるサバイバルアクション「LEFT ALIVE(レフト アライヴ)」のレビュー記事です。

 「極限状態でのサバイバル」と「選択」がコンセプトの本作。序盤から容赦のない難易度となっており、心が折れそうになってしまうサバイバルです。シューターでもステルスでもない、中途半端な位置付けのアクションということもあって、とてもプレイヤーを選ぶ作品でした。

 フロントミッションの世界観で紡がれるストーリーですが、シリーズ作品とのつながりは控えめです。特に予備知識がなくても楽しむことができます。選択肢によって分岐するマルチエンディングは、登場人物たちの生死にすら影響を与えるため、他の結末を見るために周回プレイしたくなる魅力を秘めていました。

序盤から容赦のない圧倒的な難易度

 序盤からプレイヤーを殺しにくる高難易度となっており、ゲーム開始直後に即死する人も多いだろう圧倒的な難しさが用意されています。こちらの貧弱な戦闘力に対して、強化外骨格装備を纏った多数の兵士や、生身相手でも容赦なく攻撃してくる戦車・ヴァンツァーに囲まれており、常に絶体絶命の状況が続きました。

 難易度選択は存在するものの、最も簡単な「LIGHT」でも「死にゲー」に変わりはありません。救済措置といえるシステムもなく、ゲームに慣れるのが先か、心が折れるのが先かのサバイバルでした。シビアなゲームバランスで、プレイヤーを選ぶタイトルであるという点には、注意が必要です。

 私自身、クリアするまでに何度ゲームオーバーになったかは数えきれません。セーブポイントの数も少なく、死んで大きく巻き戻されてしまう場面も多かったです。余りにも厳しく、購入したことを少し後悔したほどでした。

中途半端でストレスの溜まるサバイバル

 シューターのように敵を倒せるわけではなく、ステルスといえるほど隠れる技能も高くない、わざと中途半端なアクションに作り込まれていることも特徴的です。限られた資源やクラフトを駆使して、臨機応変に立ち回るしかありません。「クリアする方法に正解はない」試行錯誤のサバイバルです。

 行動の幅が広いのは良いのですが、どの手段を選んでも洗練されていないアクションになってしまうのは、ストレスの溜まる要因でした。「極限状態でのサバイバル」を演出するために、システム面でスマートな選択肢が潰されており、「どの方法を選んでも不正解」という感触が拭えません。

 敵に発見・包囲された状況からスタートする初見殺しや、全ての敵を倒す必要がある強制イベントも複数存在します。一見すると自由度の高いゲームですが、意外と遊びを押し付けられる場面も多く、コンセプトに対するこだわりまで中途半端だと感じる面もありました。

極限状態でも必死にならない主人公たち

 「極限状態のサバイバル」をしているはずなのに、主人公たちが生き残ることに必死にならないのは、違和感を覚えるポイントでした。具体的には、地面に伏せたり匍匐前進したりといった、泥臭いアクションが存在しません。車の下や障害物の上など、活かせそうな場所がたくさんあっても、馬鹿正直に通路を歩いて進みます。

 一部の武器を除いて、倒した敵の装備を鹵獲することもできません。限られた資源を駆使して生き残る必要があっても、敵の所持品は資源の対象外でした。そこら辺に落ちている鈍器を探すよりも先に、目の前に落ちた銃器や着ている強化外骨格装備を拾いたかったです。

 セキュリティの再現かと思いきや、駐機している敵のヴァンツァーは何の支障もなく奪えてしまい、都合の良いリアリティでした。そもそも敵だらけの場所に取り残されているのに、軍服や制服を着たままで行動する主人公の低い意識が、サバイバルの難易度を上げているのではないかと疑うほどです。

重量感のあるヴァンツァーアクション

 フロントミッションの世界観で紡がれるストーリーということで、本作には様々なヴァンツァーが登場します。敵として立ち塞がるだけでなく、駐機しているヴァンツァーに乗り込んで戦うことも可能です。脆弱な生身でのサバイバルに対して、一気に状況が好転する圧倒的な戦力を行使することができます。

 重量感のある挙動で、ヴァンツァーの動きが想像以上に鈍重だったことも印象的でした。ローラーダッシュを使用した場合のみ、軽快な直線移動が行えるものの、歩行は緩慢な足取りです。最初は攻撃どころか移動すら一苦労でしたが、操作に慣れると戦闘が楽しくなってきます。

 ヴァンツァーに乗ることで状況が好転するとはいえ、ボーナスゲームではありません。敵のヴァンツァーが複数登場することに加えて、こちらの性能が特別高いというわけでもないので、油断すると簡単に大破してしまいます。敵ヴァンツァーの装備を鹵獲や、場合によっては放棄・乗換えを駆使して戦う必要がありました。

選択が運命を変えるストーリー

 エピソード単位で進行するストーリーは、所属の異なる3人の主人公の視点から、突然勃発した戦争の真相に迫る内容です。頻繁に発生する決断によって運命が変化する、マルチエンディング形式となっています。登場人物の生死や結末に影響を与える場合もあるので、緊張感のある選択を何度も強いられることになりました。

 街中に取り残された生存者に関わる、サブクエストも豊富です。こちらでも選択が発生して、生存者とのコミュニケーションを図ることになります。シェルターまで誘導して助けるかどうかもプレイヤー次第となっており、プレイスタイルによって様々なパターンのストーリーを楽しむことが可能です。

 フロントミッションの世界観で紡がれるストーリーですが、基本的に予備知識は不要で楽しめる内容となっています。ヴァンツァーや馴染みのあるキーワードが少し登場する程度です。どちらかといえば、ゲームデザインが大きく異なることもあって、本当に世界観を流用する必要があったのか、疑問を感じるほどでした。

さいごに

 正直なところ、生身のサバイバル部分は私の好みに合いませんでした。最初の数時間でモチベーションが大きく落ちてしまい、何とか自分を誤魔化しながら最後までクリアした感じです。他のストーリー分岐が気になって、2周目も少し遊んだものの、途中で断念してしまいました。

 逆に、ヴァンツァーによる戦闘は絶妙な難易度と面白さだったので、生身とヴァンツァーの割合が逆だったら評価が変わっていたかもしれない作品でした。