【ラストレムナント リマスタード | PS4】評価・レビュー 奥深いシステムで挑む超高難易度RPG

総評
難解なゲームシステムに対して、やり込むだけの歯応えある高難易度が備わったRPG。1周回しても理解しきれない奥深さは好みの分かれる部分でもありますが、ピッタリはまれば何周回でも楽しめる魅力を秘めた作品です。
良かったところ
オリジナリティあふれるバトルシステム
難解だが理解すると面白い育成要素
歯応え抜群の難易度と超高難易度モード
名曲ぞろいのバトルBGM
蛙の亜人「クシティ」がかわいい
悪かったところ
ハードルの高すぎるゲームデザイン
5
A
ジャンル RPG
ハード PlayStation 4
発売日 2018年12月6日
発売元 スクウェア・エニックス
開発元 スクウェア・エニックス
公式サイト リンク

 難解かつ高難易度のRPG「THE LAST REMNANT Remastered(ラスト レムナント リマスタード)」のレビュー記事です。

 Xbox360版の発売から10年越しのリマスターとなる本作。斬新すぎる様々なゲームシステムに加えて、ハードスペックを超えるグラフィックで、発売当時は評価の定まらない作品でしたが、個人的にはかなりお気に入りの作品です。後日発売された、完成度の高いPC版を含めて、何周回したかは数えきれません。

 PC版の発売以降も、クラウド配信やSteam版の発売と長く愛され続けてきましたが、満を持してのリマスター版発売にうれしい限りです。ゲーム内容自体はPC版と同様と言うことで、プレイする前から高評価レビューを書くつもりだったため、今回の記事はかなり紹介寄りの物になっています。

 部隊単位で指示を出して戦う大規模戦略バトル。1周プレイしたくらいでは理解しきれない複雑な育成要素。序盤のボスすら倒すのに苦労する高難易度バランスなど、決して万人受けする作風ではないですが、他にはない魅力が詰め込まれているので、記事を読んで興味を持ったら購入をおすすめした作品です。

部隊単位で戦う戦略的バトル

 本作の戦闘は、複数の「ユニット」で構成された部隊「ユニオン」同士の戦いです。序盤は少数・少人数のユニオンがぶつかり合う戦闘が中心ですが、進行に合わせてユニオン数が増えていき、最終的には大軍同士がぶつかり合うような戦闘に発展します。位置取りなども重要で、シミュレーションゲームの毛色も備えています。

 ユニオンに対するコマンドは、細かい指定ではなく、大まかな指示しか行えないのも大きな特徴です。指示の内容に従って半自動でユニットが行動する戦闘は、ランダム性が強くなっています。どのコマンドを選べば戦局がどのように動くか、一手一手を考えながら選択する緊張感も醍醐味の1つです。

 戦局によって変化する士気(モラル)の増減によってBGMが変化する演出も、戦闘を盛り上げます。モラル自体が戦闘に多大な影響を及ぼす要素でもあるため、チャンスやピンチの状況とあいまって、名曲BGMが強く印象に残りました。

何周回でも遊べる育成要素

 多数のユニットを育てる必要がある育成要素は、バトル以上に難解なゲームシステムとなっています。1周目をクリアする頃に、やっと基本的な仕組みが理解できるといっても、過言ではありません。その分、遊べば遊ぶほどに魅力が増していくため、育成要素だけで何周回も遊べる面白さを秘めています。

 難解なシステムの例を挙げると、主人公を除いたユニットは、全員が自分で装備を強化していきます。必要な素材は、ドロップ品からの確保や自身の所持金で購入する仕様です。場合によっては素材の入手を打診してきたり、装備品その物を要求したりと、ゲームらしからぬ人間味を備えています。

 レベルの概念が存在しないことも特徴的です。戦闘の内容によって、ステータスの増加やアーツの習得が発生する仕組みになっています。一見、ランダム性の強いシステムにも見えるのですが、大半は内部数値によって管理されているため、ゲーム理解に合わせて味方が強くなる仕様です。周回するごとに、より高みを目指せます。

歯応え抜群の超高難易度

 難解なシステムに負けず劣らず、ゲームとしての難易度も高いです。特に、システムを理解しないままストーリーばかり進めてしまうと、負け試合かと勘違いするくらい簡単に負ける場合も少なくありません。適切な育成を行って、しっかり思考して、プレイヤー自身も成長しなければクリアは難しいです。

 さらに、周回プレイでは高難易度モード「乱殺マニアクス」が用意されており、至高の難しさとなっています。引継ぎを行った上で全ての知識を総動員しても、容易には勝てません。味方のHPが4桁までしかないのに、5桁ダメージを叩き出してくる敵が当たり前のように登場して、手が付けられない強さです。

 もちろん、ゲームの難しさに比例して達成感も格別です。完全なコマンド指定ができないため、ギリギリまで勝敗の分からない戦闘が続くことも多く、勝利の瞬間に声を出して喜んでしまう激戦も少なくはありません。PS4版では、まだ「乱殺マニアクス」に挑戦できていませんが、時間が取れ次第もう一度クリアを目指す予定です。

キャラクターの魅力が高いストーリー

 様々な力を秘めた遺物「レムナント」が存在する世界を舞台にしたストーリーは、固有のキーワードが多く、良くも悪くも難解です。少し強引な展開や、移動とイベントを繰り返すだけの期間も存在するため、ストーリーを目当てにプレイする類の作品ではありません。バトルと探索の合間に物語を進めるゲームです。

 ただし、キャラクターを個別に見ると評価は高いです。ユニークキャラには個別のサブストーリーが用意されており、なかなか興味深い物がそろっています。ストーリー上でも、印象に強く残るキャラクターが多いため、全体のストーリーは風化しても、存在を忘れられないキャラクターが多いです。

 余談ですが、本作には人間と猫・魚・蛙の亜人、4つの種族が登場します。大きく見た目の異なる種族が混在しているにも関わらず、違和感なく親和している世界観も好評価です。特に、蛙の亜人であるクシティは、普段の立ち振る舞いから戦う姿まで愛嬌抜群なので、心を鷲掴みにされてしまう人も少なくはありません。特筆している時点で、私もその1人です。

さいごに

 なんだか難しそうでゲーム好き以外はお断りという感じですが、実際は本作の難解さを半分も触れられていない記事です。とはいえ、ベースが10年前の作品だけあって攻略情報が充実しているため、ライトゲーマーでもクリアはできます。難しさもあって、攻略を読みながら遊んでちょうど良いくらいです。

 リマスター化されたグラフィックについては触れていませんが、10年前の時点でかなり高クオリティだったので、大きな感慨はなかったというのが正直な感想です。むしろ、360版はいろいろと不満の塊だった本作が、PC版で大幅に改善され、満を持してPlayStation4で発売されたことに喜びを感じました。

 遊んだことのない方はもちろん。360版で今ひとつの評価を持っていた方も、興味が湧いたら是非プレイして欲しい作品です。