【ラピス・リ・アビス | PS4/Switch】評価・レビュー オタカラを求めてダンジョンに挑むド派手なアクションRPG

総評
ド派手で壮快なアクションが楽しめるハックアンドスラッシュRPG。ひたすらダンジョンに潜るだけのシンプルな構成に対して、手ごたえのない難易度が気になったものの、高難易度のクリア後要素で面白さの本領を発揮する作品です。
良かったところ
スピーディーで壮快なアクション
クリア後の異常な高難易度ダンジョン
悪かったところ
低難易度のストーリーダンジョン
不親切でバランスの悪い拠点システム
使い回しで困惑するステージ構造
3
B
ジャンル アクションRPG
ハード PlayStation 4
Nintendo Switch
発売日 2018年11月29日
発売元 日本一ソフトウェア
開発元 日本一ソフトウェア
公式サイト リンク
プレイ時間 ストーリークリアまで14時間

 オタカラを求めてダンジョンに挑むアクションRPG「ラピス・リ・アビス」のレビュー記事です。

 アタマを重ねた独特のパーティー編成と、ド派手なアクションが目を引く本作。ハックアンドスラッシュ要素を中心とした拠点システムも豊富にそろっており、アクションと育成を繰り返しながら、どんどんパーティーを強化していくゲームサイクルが大きな魅力です。

 あらすじ程度のストーリーに加えて、寄り道要素もないので、プレイヤーはひたすらダンジョンに挑み続けることになります。シンプルな構成から玄人向けのゲームかと思いきや、アクションの難易度は一部を除いてかなり低いため、今ひとつコンセプトがハッキリしない作品でした。

あらすじ程度のミニマムストーリー

 寂れた町にプレイヤーの冒険団が到着したところから始まるストーリーは、必要最低限の情報しか用意されていません。階層が進むごとに、ちょっとした会話が発生する程度です。内容自体もシンプルなので、手抜きというよりも、オマケ程度だと割り切って作られている印象でした。

 ミッションやサブクエストなどの寄り道要素は1つもないので、プレイヤーはひたすらダンジョンに挑み続けることになります。かわいらしい見た目とは裏腹に、ゲーム内容はかなりシンプルな構成のため、パッケージや公式サイトの雰囲気だけに惹かれて遊ぶと、肩透かしを食らう恐れがあります。

ド派手で壮快なアクション

 大量の敵に対して、エフェクト満載のスキルを連発するド派手なアクションは、本作の大きな特徴です。特に、「フィーバーモード」が発生すると、画面中にジェムがあふれ出して、何が起こっているのかプレイヤーにも分かりません。慣れるまでは戸惑いますが、モード中は無敵なので、とにかく暴れて戦えます。

 8種類の職業を4人まで重ねて編成するパーティーシステムも独特です。職業ごとに異なるスキルを複数持っているため、場面に合わせて使い分けることができます。スキルを使用するためのゲージ回復も早いので、通常攻撃とスキルを交互に使用するスピーディーなプレイは壮快です。

 アクションとしての難易度は、かなり低めに設定されています。順番通りにダンジョンを攻略していても、常に格下の敵と戦っている感触です。サクサクと倒せることも壮快感を高めていますが、ボス戦で先に雑魚敵を倒そうとしたら、雑魚と一緒にボスも死ぬという拍子抜けの展開が何度もありました。

不親切でバランスの悪い拠点システム

 壮快なアクションを楽しんだあとは、大量の戦利品でパーティーの強化を楽しみたいところですが、出来の悪い拠点システムが足を引っ張ります。豊富なアイテムを管理するための機能が不足していたり、UIが使いにくかったりと、ストレス要因が目立ちました。

 ストーリーの進行に合わせて施設が増えていくものの、どの施設も利用にお金が要求されるため、常に資金難で遊んでいたことも印象的です。序~中盤は、機能をアンロックするだけで精一杯な状況が続くため、各種施設をフル活用できるようになるのは終盤になります。

 コスト制を採用しているパーティー装備もバランスが悪いです。装備コストや枠数に対して上限が低いため、レアリティの高い装備を手に入れても気軽に入れ替えられません。結果的に、低レアリティの装備を強化して使い続けることになるので、せっかくのハクスラ要素が窮屈に感じました。

過剰な使い回しと困惑するステージ構造

 ステージの種類が少なく、大半はスタート位置とゴール位置を変更しただけの使い回しだったことは残念でした。新しい階層に進んでも、過去階層のステージが混ざっているタイプの使い回しも存在するため、プレイヤーは見覚えのあるステージに何度も挑戦することになります。

 上下左右に広がってワープポイントまで存在する、複雑なステージ構造も厄介です。マップ表示機能が存在しないため、迷って時間切れになることがありました。使い回しに挑戦し続けることで全体像を把握しても、同じステージでゴールの位置だけ違うパターンもあるので、逆に困惑することも多かったです。

高難易度を求める人に向けたクリア後要素

 終始イージーモードだった本編とは大きく異なり、クリア後要素には別次元の難しさが用意されています。具体的には、ストーリー終盤に登場した敵のレベルが200台だったのに対して、クリア後に登場する敵のレベルは2500以上です。突然のレベル10倍に、我が目を疑いました。

 プレイヤー側の強化も拡張されるものの、装備コストの制限もあって、敵のインフレには追いつけません。これまでは触れたら瞬殺だった敵が、今度は触れたら即死になります。クリアするためには、厳選したパーティー構成に加えて、ミスの許されないプレイが要求されました。

 まるでバランス調整を諦めたかのような高難易度でしたが、やり込みの甲斐や緊張感があって、本編よりも面白いと感じました。ストーリー性が乏しく、淡々とダンジョンを攻略していくゲームデザインなので、本編も少し難しすぎるくらいの方が楽しめたのではないかと思います。

さいごに

 ストーリークリア時点では、ゲームデザインと難易度が釣り合っておらず微妙な評価だったのですが、クリア後要素で及第点まで持ち直した印象でした。10数時間のストーリーをチュートリアルとして割り切って遊べる方になら、プレイしてみるのも一興だとおすすめできる作品です。