ジャンル | シミュレーションRPG |
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ハード | Nintendo 3DS |
発売日 | 2014年10月2日 |
発売元 | マーベラス |
開発元 | マーベラス |
公式サイト | リンク |
公式サイトで語られている魅力が全く伝わってこない作品「禁忌のマグナ」のレビュー記事です。
全体的に作り込みが甘く、大ざっぱなストーリー構成とゲームバランス。SDキャラクターを多用したゲーム画面も不満ばかりでした。
褒められる部分と言えば、立ち絵とアニメーションのキャラクターがかわいかったことくらいです。
目次で流し読み
内容を詰め込みすぎて説明不足の圧縮ストーリー
序盤の感触では、軽く数十時間は遊べそうな展開で壮大な物語を想像していました。しかし、序盤だと思っていたのが実は中盤。終わってみると20時間も掛からないボリュームです。その大半は長い戦闘時間と言うオチ付き。7人のヒロインが全員そろって本編突入かと思ったら、そろった時点で既に終盤戦でした。
ストーリー・世界観の説明不足はもちろん。イベントの選択によってはまともに登場しないサブキャラクターが存在。ヒロインですら、後半に登場する娘はほとんどスポットが当てられません。何だかよくわからないうちに都合良く物語が進んで、気付いたら終わってたとしか言い様の無いストーリー。
ストーリーなのか独立要素なのかハッキリしないETRイベント
ヒロインたちと親交を深めていく、宿屋パートの目玉要素。ストーリーとは独立して、好みの娘と仲良くできる要素だと思っていたのですが、一部のイベントはストーリー扱いでした。進行次第では第一段階・第二段階を飛ばして、いきなり第三段階でイチャイチャし始めるなど、プレイヤーは置いてきぼりです。
終盤のストーリーが圧縮されているため、後半に加入するヒロインはイベント不足で1周目に個別エンディングへ到達することができません。好感度を引き継いだ周回要素でエンディングを目指すことになります。ループ必須のストーリー構成ではないので、作り込み不足のしわ寄せが現れている印象でした。
ところでヒロインたちは「精霊」ですか? 「神様」ですか?
公式サイトやプロモーションムービーでは「精霊」と呼称されているヒロインたち。しかし、ゲーム内では1度も『精霊』と呼ばれることはありません。ミスリードでもなく、メーカー・制作側が「精霊」と呼んでいるだけでゲーム設定としては存在しません。いろいろと制作に疑問ばかり浮かんでくる作品です……
かわいいだけでは表現に限界を感じたSDキャラクター
2頭身のキャラクターたちが和気あいあいとするシーンは愛らしいですが、シリアスなシーンとマッチしていないのは残念でした。エモーションで感情を表現するにも限界があります。戦闘画面もゴチャゴチャして解りにくい。映像美が評価を直接左右するわけではないとはいえ、不満につながってしまうのはよろしくない。
近衛先生のイラストはすばらしく、アニメーションは一部CERO:C準拠
近衛先生の立ち絵が動く!喋る!かわいい!! これを目当てに購入しただけあって、数少ない好評価要素です。かわいいだけでなく、悲痛な表情はとてもそそられます。何だか危ない趣味に目覚めてしまいそうです。表情や仕草も多くて、立ち絵付きのイベントではSDキャラに全く目が行きません。
オープニング以外でも、短いながら定期的に挿入されるアニメーションパート。明らかに全年齢向けの雰囲気なのに[CERO:C]なのは疑問でしたが、お楽しみシーンの登場で納得です。どれも見栄えが良くて、イベントはアニメーションと立ち絵+背景で統一した方が良かったのではないかと思います。
敵が堅くて時間ばかり掛かってしまうバトルパート
リーダーと取り巻きでグループになっている敵キャラたち。攻撃が当たるだけで倒せる取り巻きでボーナスを稼ぎつつ、再召喚を繰り返すリーダーを撃破する流れは悪くなかった。しかし、リーダーが堅すぎる。1体倒すのに全員掛かりで数ターンを要する高耐久度。単調な操作を繰り返すだけになり、爽快感の欠片もありません。
増援を呼び続けるジェネレーターや、取り巻きとしてリーダーを召喚するボス。時間稼ぎのように無敵化するボスも存在。敵の排除に時間を掛けると、倒しても倒しても敵が増え続けます。広いマップでは、移動しているだけで増援が入るのでストレス。狭いマップでは敵が多すぎて身動きが取れないと言った点も極端です。
大ざっぱな仕様を”更に大ざっぱな調整”でバランスを取ろうとする難易度
スキルを使うためのAPは待機しなければ貯まらないため、序~中盤は活用する機会に乏しい。しかし、スキル「AP回復+」を手に入れると、今度はスキルが使い放題になってしまう大ざっぱな仕様です。主人公に装備させると範囲回復を無制限に使用可能。1ターンキルや状態異常が起こらない限り、まず死ぬことはありません。
必然的に敵側も攻撃力が増加して、状態異常攻撃を多用してきます。その延長で”確率即死”の攻撃までなら理解できましたが、こちらのライフ4桁に対して5桁ダメージを繰り出してくるのはおかしい。他の攻撃とダメージ差が約10倍も有るので、初めて見たとき『設定を1桁間違えているのでは?』と疑ってしまいました。
さいごに
ボリュームを増やして、ETRイベントとメインストーリーをうまく分けてくれれば評価は違っただろうと感じる本作。もちろん現実は書き上げてきた評価の通りで、戦闘バランスの作り込み・調整不足もあって「惜しい」とすら言いにくいです。かわいいヒロインたちだけが唯一の救い。
周回して気に入った娘のEDを全て見るつもりでしたが、2周目に引き継げるのは一部のデータのみ・イベント・テキストスキップ無しと言う、周回プレイをサポートする気が全くない仕様にギブアップ。完全に心が折れました。おかげでクリアしたはずなのに達成感もなく、最後の最後までパッとしない作品でした。