【殺人探偵ジャック・ザ・リッパー | PS4/Switch】評価・レビュー 探偵か、殺人鬼か、1つの物語を2つのルートで楽しめるアドベンチャー

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総評
1本で大きく異なる2つの物語が楽しめるアドベンチャー。読み物としての出来は良かったものの、演出やシステムは今ひとつの完成度で、ゲームとしては惜しいと感じる作品でした。
良かったところ
二面性を秘めたストーリー
悪かったところ
クセの強いゲームシステム
注力不足が目立つ立ち絵・戦闘描写
心もとない演技力のキャラクターボイス
ジャンル アドベンチャー
ハード PlayStation 4
Nintendo Switch
発売日 2019年4月25日
発売元 日本一ソフトウェア
開発元 日本一ソフトウェア
公式サイト リンク
プレイ時間 ストーリークリアまで12時間

 日本一ソフトウェアがおくるアドベンチャー「殺人探偵ジャック・ザ・リッパー」のレビュー記事です。

 探偵か、殺人鬼か、1つの物語を2つのルートで楽しめる本作。プレイヤーの選択によって、正道と邪道、真逆の展開に分岐していくストーリーが大きな特徴です。極端な2択の繰り返しで、シンプルな構成になっている点は少し退屈だったものの、読み物としては十分に楽しめました。

 コンセプト自体がユニークということに加えて、バッドエンド後のコメディドラマや、クセの強いゲームシステムなど、更に好みの分かれそうなポイントも多いです。立ち絵・ボイスを中心に、演出面の注力不足が評価の足を引っ張っており、悪くはないですが、全体的に惜しいと感じてしまう作品でした。

善悪の二面性を秘めたストーリー

 事件ごとに章形式で進行するストーリーは、それぞれ探偵と殺人鬼、2つのルートが用意されています。探偵ルートなら情報や証拠を集めて正攻法で、殺人鬼ルートなら犯人を殺すことで解決を図るのが特徴です。同じ事件でも、選んだルートによって展開や結末が大きく異なる構成となっており、1作品で2本分の物語が楽しめました。

 自身の中に殺人鬼の魂が存在する主人公の葛藤と、幾度となく迫られる善悪の選択。作中で発生する事件も、勧善懲悪を否定する内容が多く、いろいろと考えさせられるストーリーです。ゲームらしいご都合主義は少なく、容赦のない展開で、ルートによってはメインキャラが不幸になる場合もあります。

 過去の話や外伝的な位置付けの物語はサブストーリー。細かい設定の解説はデータベースに分けられており、メインストーリーをテンポ良く進められた点も好感触です。コンセプトが明確ということもあって、事前の期待を大きく上回ることはなかったものの、読み物としては十分に楽しめました。

極端な2択で分かりやすい選択肢

 ルート分岐は選択肢によって発生するものの、全体の構成がシンプル過ぎるのは、ゲームとして今ひとつでした。大半が極端な2択となっており、一目でどちらのルートに分岐するのか判別できてしまいます。選択肢の発生回数は多いですが、1本道が2つ用意されている感触です。

 主人公に感情移入して、どちらを選ぶか迷ってしまう場合、分かりやすい分岐は逆に悩みどころです。しかし、私のようにプレイ前から1周目のルートを決めているような、ゲーマータイプには少し退屈な構成でした。選択肢で手が止まることは1度もなく、自分の選択にドキドキすることもなかったです。

バッドエンドから始まるコメディドラマ

 一部の選択肢では、誤った答えを選ぶと、ルート分岐ではなくバッドエンドに行き着く場合があります。主人公の死亡や、事件が迷宮入りしてしまうなど、バリエーションは様々です。更に、ここでしか見られないコメディテイストのドラマが始まって、バッドエンドの原因と対策を教えてくれます。

 本編の雰囲気を無視した空気で、好みは分かれるところですが、海外のシチュエーション・コメディが好きなら楽しめる内容でした。バッドエンドを回避する方法に関しては、大半が2択の選択ミスなので、攻略のヒントや救済措置よりも、オマケとしての側面が強いです。

 各バッドエンド後の内容はリンクしており、全てを閲覧することで解放されるコンテンツも存在するため、コンプリートを目指したくなる要素となっていました。

物足りなさや注力不足を感じる各種演出

 イベントCGやカットインが豊富に用意されていた反面、立ち絵の種類が少なく、通常時の演出が物足りなかったのは残念でした。頻繁に発生する戦闘描写も、似たようなエフェクトばかりでワンパターンな印象が拭えません。キャラクターによってはボイスの演技力も不安定で、引っかかりを感じる場面も多かったです。

 立ち絵の反転問題も、とても気になる部分でした。本作の立ち絵は、全て横向きとなっており、会話中のキャラクターが画面内で向かい合う形式です。この仕様自体に問題はないのですが、左右非対称の特徴を持ったキャラクターが複数登場するため、何度も違和感を抱いてしまいました。

 具体的な例を挙げると、マフィアの証である左手のタトゥーが場面によっては右手にあったり、主人公のオッドアイが逆転したりです。特に、主人公のオッドアイは本作のコンセプトを象徴する演出なので、多少のコストを掛けてでも反転は避けてほしい部分でした。手抜きとまではいわないまでも、こだわりが感じられません。

「シナリオ選択」機能頼りでクセの強いゲームシステム

 ストーリーの全体像を確認して、各シーンに直接ジャンプできる「シナリオ選択」は、2周目以降の攻略に役立つ機能です。アイコンから分岐箇所が一目で分かるだけでなく、過去に選んだことのある選択肢にはチェックマークも入るため、未読シーンの確認が行いやすくて助かりました。

 「シナリオ選択」経由での未読シーン確認は容易でしたが、代わりに既読スキップや既読の文字色変更といった、基本的な機能が欠けていたのは不思議でした。未読シーンだけを順番に読んでいきたくても、一目では判別が付きません。全て「シナリオ選択」経由で遊べば解決するとはいえ、何度も開くにしてはUIの階層が深くて煩わしかったです。

 アドベンチャーゲームにしては珍しく、システムデータも存在しません。全体の進行状況は、全て個別のセーブデータに紐付いています。複数のセーブを作成しても進行状況が共有されないため、常に最新のデータだけを使い「シナリオ選択」を駆使して攻略する、クセの強いゲームシステムになっていました。

さいごに

 特徴的なストーリー自体は楽しめたものの、演出やシステムまで含めたアドベンチャーゲームとしては、一歩足りない出来栄えです。最近の「日本一ソフトウェア」新規IPは、余り好ましい評価のタイトルがなかったので、本作に対する期待も控えめだったのですが、良くも悪くも期待通りの作品でした。