【古色迷宮輪舞曲】評価・レビュー「悲劇へようこそ」

良かったところ
選べる選択肢は最大で274個+α
悪かったところ
5
A+

これは「紅茶のいれ方」を間違うだけでヒロインが死んでしまうゲーム

 ストーリーに関するネタバレを書いてしまうと致命的な作品なので詳細は殆ど触れません。代わりに本作品の特徴的な尖った部分を紹介。それはとても心折設計なシステムです。

一言で言うならとにかく難解。選べる選択肢は最大で274個+α

 本作品に普通の選択肢は存在せず、膨大な数のキーワードから最適な物を選んで主人公の行動や思考を決めていきます。このキーワード選択が難しい。ただでさえ記憶や予測で答える必要が有るのですが、物語が進むにつれて選択できるキーワードが増えて行き、時には複数を組み合わせる場面まで登場してプレイヤーを悩ませます。

 ミスチョイスが続いて誰かの運命量が枯渇すると、即ゲームオーバーと言うトンデモ展開が発生。冒頭でも書きましたが、本当に紅茶のいれ方を間違えるだけで死にます。プレイヤーは紅茶をいれるだけでも命を賭けなければなりません。もちろんこれは極端な例ですが、どんな些細な選択でもバッドエンドに直結している仕様です。

繰り返すトライアンドエラーで麻痺して行く感覚

 序盤~中盤はあまりのバッドエンドの連続にプレイヤーのリアル運命量が枯渇しそうになります。それを乗り越え慣れてくると、キーワードチョイスを円滑に行えたり、少々間違えたところで再チャレンジする気力が沸いてきます。そんな心が折られるゲーム展開。その理由は……プレイしてみてのお楽しみとしか説明しようが有りませんね。

物語だけなら地味な作品がシステムに評価を押し上げている

 とは言っても、ストーリー自体がシステムと組み合わせる事を前提としている作品なので、単体での評価は出来ません。セットで考えると総評としては高評価になりますね。ただ難しいだけでは無く、最後まで飽きさせず楽しませてくれる作品に仕上がっていました。

 もし「紅茶でヒロインが死ぬってどんなゲーム?」と言う興味を持って心折設計を上回る自信がある方。もしくは攻略サイトを見ても良いと言う自分に対する優しさの有る方は、是非プレイしてみては如何でしょう? きっとクリアする頃には美味しい紅茶のいれ方を覚えていますよ。