【ハテナの塔】評価・レビュー 独特の雰囲気で紡がれるハテナだらけのローグライクアドベンチャー

総評
ハテナだらけのローグライクアドベンチャー。徐々に明らかとなっていく物語が高評価だった反面、後半になるほど作業感を覚えて評価の下がる作品でした。
良かったところ
独特の雰囲気で紡がれるストーリー
悪かったところ
周回を重ねるごとに強まる作業感
演出重視で面白さを損ねる展開
3
B
ジャンル サバイバルローグライクアドベンチャー
ハード Nintendo Switch
Steam
発売日 2023年4月20日
発売元 集英社ゲームズ
開発元 タストα
公式サイト リンク

 SHUEISHA GAMES/タストαがおくるサバイバルローグライクアドベンチャー「ハテナの塔 The Tower of Children」のレビュー記事です。

 子供たちを導いて、ハテナの塔の果てを目指す本作。独特の雰囲気で紡がれるストーリーは謎ばかりで、「ハテナの塔」とは何なのか、果てにある楽園で何が待ち受けているのか、徐々に明らかとなっていく物語は好感触でした。

 1周回で登場する子供は20人のうち9人となっており、全ての子供を導くには最低3周回を要する構成ですが、2周目以降の変化が乏しい点には作業感を覚えます。9人が2人ずつ降るので1人余る展開や、子供たちに戦いを委ねるパートは演出として面白かったものの、繰り返しプレイさせられると退屈で、後半になるほど評価の下がる作品でした。

「ハテナの塔」の真実に迫るハテナだらけのストーリー

 ゲーム開始時点では、プレイヤーも子供たちも何も分からないところから始まるストーリーは、様々なハテナが満ちあふれています。「ハテナの塔」とは何なのか、どうして子供たちは塔を探索するのか、果てにある楽園で何が待ち受けているのか、探索を繰り返していくことで徐々に明らかとなっていく物語です。

 作品を包む独特の雰囲気も、プレイヤーの疑問や興味を引き立てる大きな魅力です。子供たちや立ち塞がる敵には秘められた設定が存在しており、愛着度の上昇や特定の条件を達成すると、様々な真実が開示されていく要素も用意されていました。

多彩なカード駆使して攻略する探索パート

 「ハテナの塔」で発生する戦闘やイベントは、全てカードを用いて攻略していきます。カードはレアリティ違いを含めて78種類と豊富で、上下によって効果が変化する物や、こちらの行動を阻害する物も存在。リアルタイムで進行する中、状況に適したカードを使ったり、欲しいカードが配り直したりしながら、臨機応変に対応していきます。

 子供たちは3種類のクラスに就いており、探索に参加した子供のクラスに応じて、登場するカードも変化します。同じクラスを組ませて探索すれば効率的ですが、子供の人数が減ると異なるクラス同士や1人での探索も発生するため、周回の後半になるほど難しくなるゲームバランスでした。

周回を重ねるごとに増していく作業感

 本作に登場する子供は全部で20人ですが、1周回で導ける人数は9人に限られています。全ての子供を導くには最低3周回が必要で、ゲーム自体も周回を想定した構成です。周回を重ねるとイベントが変化する仕組みとなっており、プレイするたびに異なる「ハテナの塔」が待ち受けています。

 ただし、周回によって変化する箇所は一部に限られており、基本的な体験が同じなのは残念な部分でした。プレイヤー側の強化が引き継がれるのに対して、ゲームの難易度はほとんど変わらないため、周回を重ねるごとに探索の作業感も増していきます。

 9人が2人ずつ降るので1人余る展開や、子供たちに戦いを託す戦闘は、演出として面白いものの繰り返しになるとストレス要因でした。特に、後者は終わるまで眺めるだけになるため、2回目でも退屈を感じるにもかかわらず、最終的には10回以上も体験することになります。

 1週目時点では楽しめていたものの、2周目以降はどんどん評価が下がってしまったので、後半になっても飽きさせない工夫がもう少し欲しかったです。

さいごに

 独特の雰囲気や真相が気になる物語は良かったものの、最後まで楽しませる工夫や構成が今ひとつの作品でした。スコアアタックに用意されている倍速モードを周回にも解放するなど、改善の余地はありそうなので、今後の調整に期待したいです。