ジャンル | 生活シミュレーションRPG |
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ハード | Nintendo Switch Steam |
発売日 | 2022年11月4日 |
発売元 | スクウェア・エニックス |
開発元 | Live Wire |
公式サイト | リンク |
スクウェア・エニックス/Live Wireがおくる生活シミュレーションRPG「ハーヴェステラ」のレビュー記事です。
探索・戦闘を行い世界の真相に迫るRPG要素と、農作物を育てて自給自足の生活を目指す生活シミュレーションの二本柱で構成された本作。作中には時間の流れが存在するものの、大きな時限要素はなく、自分のペースで両方を楽しめるゲームデザインが特徴的です。
ファンタジーと近未来が融合したストーリーが高評価だった反面、アクションとコマンド式RPGを足して2で割ったような戦闘は、歯がゆさを感じる場面が多いです。スタミナ消費が激しく、回復が遅い仕様もストレスになりがちで、終始遊びづらさを感じました。
戦闘や探索を間接的に支える農作業では、全36種類の多彩な農作物や、家畜を育てられます。内容自体はオーソドックスですが、定期的に作物がリセットされる「死季」を意識しながら、作業と金策の効率化を工夫する部分は面白い要素でした。
目次で流し読み
ファンタジーと近未来が融合したストーリー
「シーズライト」と呼ばれる4つの結晶体が存在する世界で、未来から来たという少女「アリア」と出会うところから始まる物語は、ファンタジーと近未来が融合したミステリアスなストーリーです。人類の生活を蝕む「死季」について調査する主人公たちは、やがて世界の真実へと迫ります。
表面上はファンタジーながらも、鎧に身を包んだ「魔族」の存在や、ところどころに見受けられる近未来的な建物など、世界観は違和感ばかりです。思わせぶりなセリフや秘密も多く、断片的な情報が徐々に開示されていく、続きの気になる物語が展開されました。
主人公はプレイヤー自身となっており、選択肢で会話に参加する形式です。たまにコミカルな選択が用意されているものの、基本的にはシリアス寄りの内容でした。
時限要素がなく自分のペースで楽しめるRPG
世界には、24時間で1日、30日で1つの季節という時間の流れが存在するものの、大きな時限要素はありません。季節の変わり目に「死季」が来て作物がリセットされる点と、季節によって育てられる作物が変化する程度です。いつでも自分のペースで楽しめます。
1日は、朝6時から始まって深夜2時くらいまで行動可能。時間の進行は早く、1日であれもこれもと行動すると不足しがちでした。ただし、前述したとおり時限要素はないので、やりたいことを翌日に回しても大丈夫です。限界まで起きていると強制的に1日は終了しますが、ペナルティも少額の所持金ロストで済み、全体的にゆるめの作りでした。
メインストーリーは存在しますが、ストーリーを進めるかどうかもプレイヤーの自由です。特殊な状況では、イベント終了まで自由行動できない場面もあるとはいえ、かなり限られています。極端な話、仲間がピンチで一刻を争う事態でも、助けに行かず延々と農作業を行っても問題はありません。
様々な行動で消費するスタミナはストレス要因
急ぐ必要はないゲームデザインとはいえ、様々な行動で消費するスタミナの存在は、ストレスの要因でした。農作業や戦闘だけでなく、ダッシュするだけでも減少するため、すぐに尽きてしまいます。消費ペースに比べて回復速度は遅く、プレイ中は終始スタミナ不足に苦しめられました。
さらに、スタミナを回復するために胃袋ゲージを要求する仕様が厄介です。ゲージを維持しなければスタミナ回復が止まるので、常に2つの数字を意識する必要があります。料理を食べれば強制的にスタミナを回復可能ですが、胃袋ゲージ最大値以上には食事が行えない制限もあって、遊びづらさを感じました。
アクションはシンプルだが要素は豊富な戦闘
戦闘はアクション風ですが、回避・防御といった、プレイヤースキルを求めるようなコマンドはありません。基本は、レベルを上げたり装備を調えたりして、キャラクターを鍛えた上で敵と殴り合う形式です。範囲を予告する大技を繰り出してくる場合もありますが、逆に回避不能な攻撃もあって、アクションとコマンド式RPGを足して2で割ったような感触でした。
仲間を2人まで連れて行けるものの、主人公の攻撃に連動して通常攻撃を繰り返すだけの単調なAIです。エネミーのヘイトも主人公にばかり向くため、追加攻撃を行うオプション程度の存在感でした。必殺技を使用できる機会もボス戦に限られているので、主人公の性能に影響する仲間効果や、単純に好みで選んでも大きな影響はありません。
操作がシンプルなのに対して、戦闘に関する要素は豊富です。主人公が使用できるジョブだけでも、10種類以上から3種類をセットする形式で、各ジョブ4種類のスキルを備えています。攻撃属性も11種類と多く、ジョブによって扱える属性が異なるため、少し把握が困難です。一応、エネミーは複数の弱点属性を持っており、初見の相手でも1つくらいは弱点を突けるよう配慮されていました。
ジョブや属性の多さは慣れるまで大変ですが、戦闘中の操作自体はシンプルで、アクションが苦手な人でもキャラクターをしっかり育てればクリアは容易です。逆に、プレイヤーの工夫やテクニックで介入できる部分が限られており、アクションゲームの気分で遊んでいると、歯がゆさを感じる場面が多いバトルシステムでした。
季節に応じて様々な作物を育てる農作業
自宅では、畑で様々な農作物を育てることができます。種をまいて、水を与えて、収穫するまでが1セットです。収穫した作物は出荷することでお金に替わり、新しい種の購入や畑の拡張に使えます。最初は畑だけですが、リフォームやストーリー進行によって、家畜小屋の追加や特殊な農作地の解放など、規模が拡大しました。
できることが増えるにつれて手間も増える中、「妖精オーダー」を達成することで新たなアクションや設置物が追加されます。複数マスを1度に作業できるようになり、作業の効率化につながりました。特に、自動で水をまいてくれる「スプリンクラー」が登場すると、区画を意識した畑作りも面白くなってきます。
育てられる農作物は36種類と多彩です。種類によって収穫までの日数や再収穫の可不可、出荷額が異なり、収穫できる季節も設定されています。「死季」が訪れると、種から育てた農作物は全て枯れてしまうため、月末が近づくと作物の選定にも注意が必要です。どのような畑にすれば、より効率良く作業と金策が行えるか考えることも、本作の面白さでした。
なお、農作業で経験値を得るといったことはなく、プレイヤーの直接的な強化にはつながりません。お金の使い道も大半が農作業関連です。戦闘面における農作業の役割は、回復アイテムの確保と料理による一時的な強化となっており、殴り合いでダメージレースになりがちな戦闘を、間接的に支えるコンテンツでした。
数は多いが内容は薄いサイドストーリー
メインストーリーと並行して、キャラクターストーリーやクエストといった、サイドストーリーが豊富な点も大きな特徴です。それぞれ数十個用意されており、全てのクリアを目指すと、相当なボリュームとなっています。特に、キャラクターストーリーは各キャラクターのメインストーリー後日談となっており、主人公の強化に直結する報酬も多く、重要なコンテンツです。
サイドストーリーが豊富なのは良いですが、1つ1つの内容が薄いのは残念な部分でした。ほぼ全てのイベントが移動と会話だけで構成されており、キャラクターボイスもないため、テキストを読むだけの状況が続きがちです。話の進行も冗長気味で、テンポが悪い点もイベントクリアのモチベーションを下げる要因でした。
さいごに
決して悪いゲームではなく、数十時間プレイしていれば、歯がゆい戦闘やスタミナ要素にもある程度は慣れました。しかしながら、購入を検討している人に推せるかといえば、悩ましい作品です。