【グリザイアの迷宮】評価・レビュー

良かったところ
これだけの為に購入しても損は無い過去編
悪かったところ
期待外れのアフターストーリー
3
B

普通のFD? そう思っていたらまさかの……

 先日「グリザイアの果実」をクリアしたばかりでしたが、新作ゲームの少ない内に消化しておこうと「グリザイアの迷宮」も続けてクリアしました。前作ではマルチエンドとは言え、エピローグで天寿を全うするまで物語を進めたキャラクターも居るのにどうやって続編を作っていくのか? その点が非常に気になっていたのですが、色々と大胆に作られた作品となっていました。

ルート分岐無しのアフターストーリー

 このインターフェースを見た瞬間、前作体験版の事を思い出した。まさかの「はじめから」を選ぶと選択肢無しで好きなルートを見ていくだけと言う大味な作り。その中身も前作エンディングからの流れで当たり障りの無い内容で構成されていて、正直ガッカリな部分もありました。とりあえず各キャラのストーリーの感想を簡単に羅列してみる。

松嶋 みちるアフタールート

 黒髪UT可愛い。馬鹿だなー、相変わらず馬鹿だなー!スタッフロール後のエピローグまで馬鹿なノリで結構楽しかった。チルチルのくせに小癪な!

小嶺 幸アフタールート

 爆弾魔とはなんだったのか……

榊 由美子アフタールート

 デレデレになり過ぎててうz、バニー・メイドコスは評価する。果実の感想でも書いたけど、由美ちゃんはカッターを振り回してツンツンしてる方が可愛いよね。主人公とのやりとりもデレるとワンパターン。展開自体も「起承転結」の転抜きで、クリックしてたら終わってたって感じです。

入巣 蒔菜アフタールート

 キャラクターとしては好きでも嫌いでもないのですが、ストーリーが”会社”絡みでアフターストーリーの中では一番面白かった。主人公がそういう類いの人種だから作品に興味が沸いたと言う経緯も有るので、普通に学園物っぽい話をされても困るんです!

 ところで、一つ前に由美子のデレデレを見過ぎたお陰で平常時の榊さんに違和感がありまくりでヤバイ。個別に選んでいきなりアフターという流れは連続してプレイしてすると状況の変化に付いていくのが大変です。

周防 天音アフタールート

 親父と殴り合い!結婚云々の展開から予想が付いたけど、いい勝負し過ぎじゃないですか。前作でもそうだったけど、主人公の強さが曖昧な作品ですよね。プロのはずなのに都合の良い時だけ素人に毛の生えた程度の描写で苦戦したりやられたりする。主人公だって人間なんだものと言うリアリティと取るか、ご都合に振り回されていると感じるか微妙な所です。

アフターストーリーに関しては全体的に期待ハズレの評価

 他、当たり外れが半端無いショートショート。強引にヤる事をヤッちゃうサブキャラのHシーンが有りましたが所謂オマケ。むしろここまで書いた事が全部オマケだったと言っても良いかと思います。続編を出しておきながら各キャラクターをないがしろにするわけにも行かないので、用意された底上げ部分と言う印象ですね。

過去編だけは面白すぎた。これだけの為に購入しても損はありません

 前回の感想で「ヒロインの為の何でも屋状態ばかりでは無く、主人公にスポットを当てた話が読みたい」と書きましたが、まさに過去編がそれですね。これまで各ヒロインのルートでチラリと見え隠れしていた伏線や、前作に至るまでの経緯を余す事無く詰め込まれた展開にクリックする手が止まりませんでした。

そしてまさかの続編END

 この持って行き方は正攻法に卑怯で楽園の発売を早く! もちろん最初から三部作と明言して居るので展開としては有り。むしろパラレルなマルチエンド形式は好みじゃ無い自分としては、各ヒロインルートは主人公ルートを語る為の下地作り。満を持して最後に本編と言う流れに見えて非常に好印象でした。

 果実・迷宮とプレイ中の評価上下が激しい作品ですが、迷宮が終わった時点で一番面白いと感じていますね。楽園の発売は現時点で2013年春を予定。とりあえず気になるのは『タナトス、いったい何者なんだ……』では無くて、誰がメインヒロインになるのかと言う事かな。前述したように特殊な経緯を経て楽園へと繋がっているのでその辺が全く読めません。これはもう発売を楽しみにするしか無いですね。