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【Ghost of Tsushima | PS4】評価・レビュー リアリティよりもエンターテインメント性の強い時代劇アクション

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総評
モンゴル帝国の対馬侵攻を題材にした、オリジナルストーリーのオープンワールドアクション。遊びやすさと再現を両立した対馬の景観や、爽快感と手応えのある剣劇など、見どころの多い作品です。特に、強いこだわりを感じる時代劇演出は必見。
良かったところ
武士の戦いと葛藤を描いたストーリー
強いこだわりを感じる時代劇演出
彩りあふれる美麗なオープンワールド
爽快感と手応え重視の剣戟アクション
悪かったところ
煩雑なサブウェポンの切り替え操作
ジャンル アクション/ アドベンチャー
ハード PlayStation 4
発売日 2020年7月17日
発売元 ソニー・インタラクティブエンタテインメント
開発元 Sucker Punch Productions
公式サイト リンク
プレイ時間 ストーリークリアまで45時間

 Sucker Punch Productionsがおくるアクション/ アドベンチャー「Ghost of Tsushima」のレビュー記事です。

 モンゴル帝国の対馬侵攻を題材に、「冥人(くろうど)」に堕ちた武士の戦いと葛藤が描かれた本作。一見すると歴史物ですが、登場人物やストーリーはオリジナルなので、史実を知らなくても楽しめる内容となっています。オープンワールドの対馬も、忠実な再現ではなくゲームとしての遊びやすさが意識されており、エンターテインメント性の強い作品です。時代劇を連想させる演出が随所に盛り込まれていることもあって、『自分で操作できる時代劇映画』のような感触でした。

 手段を選ばず戦う「冥人(くろうど)」が主人公ということもあって、遊び方に関しては、かなり高い自由度で作られています。特に、ストーリー進行によって取り返しの付かなくなる要素がほとんどないので、進むか留まるかで悩む場面が少ないのはうれしかったです。戦闘のメインとなる剣劇も、クセのある操作・システムに最初は戸惑ったものの、慣れれば爽快感に転化されて、手応えのあるアクションが堪能できました。

ゲームとして体験できる時代劇映画

 モンゴル帝国が日本を侵攻した「元寇」を題材にしつつも、オリジナルの登場人物たちによるIFストーリーは、歴史の知識がなくても楽しめる内容です。異なる解釈ではなく創作なので、予備知識として史実を知る必要もなく、ほぼゲーム内で語られることが全てとなっています。かなり奇抜な設定も多く、エンターテインメント性の強い時代劇を、ゲームとして体験しているような感触でした。

 対馬侵攻によって武士が敗れるところから始まる物語は、主人公が対馬を守るために手段を選ばず戦う「冥人(くろうど)」となり、暗躍することで進行していきます。「誉れ」を重要視して無謀な戦いを繰り返す肉親との衝突や、恭順による講和を突き付けてくる敵将の存在など、登場人物たちの葛藤が多い物語です。主人公以外のキャラクターにもサイドストーリーが用意されており、「元寇」を中心とした様々な展開が楽しめます。

 時代劇を連想させる演出やカメラワークが、随所に盛り込まれている点も大きな特徴でした。モノクロ描写になる「黒澤モード」の存在や、剣戟アクションも殺陣をイメージしていることから、本作は『自分で操作できる時代劇映画』といっても過言ではありません。テロップ表示の発生する頻度が高く、少し冗長に感じる場面もありましたが、渋みあふれる作風に仕上がっていました。

再現にこだわりすぎないオープンワールド対馬

 ストーリー同様に、対馬を舞台にしたオープンワールドも、忠実な再現ではなくゲームとして楽しめるアレンジが加えられています。実際の対馬は、大半が山と森で構成されており、馬で走れるような場所は限られているのに対して、作中ではほぼ全ての地域を馬で移動可能です。かといって、完全に空想の対馬という訳ではなく、要所や雰囲気は反映されており、現実とゲームの間をうまく取っていました。

 オープンワールドは広大で、様々な場所にクエストやランドマークが用意されています。目的地までの誘導は、「風の流れ」や「鳥」に導かれるよう作られており、雰囲気を崩さずゲーム性を取り込んでいる点は秀逸でした。直線的な誘導のため、高低差に道を阻まれる場面も多いのですが、各所に上り下りできる崖が用意されているので、過剰な回り道を強いられない配慮もうれしかったです。もちろん、ファストトラベルも存在しており、ロードの早さには驚かされました。「PS4 Pro(SSD)」で遊んでいると、TIPSを読む暇もないほどで、TIPS閲覧モードが欲しいと感じたくらいです。

 南北に約80kmと縦長の対馬とはいえ、場所によって四季のように彩りあふれる風景が楽しめるのは、少しファンタジーでした。しかしながら、似たり寄ったりの気候・風景が数十時間も続くと飽きてしまうため、ゲームらしい良い作り込みです。どこの風景を切り取っても絵になり、フォトモードが用意されてはいるものの、普通に探索しているだけで美麗な景色が楽しめます。この記事で掲載しているスクリーンショットも、全てフォトモードではなく通常プレイ中の物です。

遊び方から育成まで自由度の高いコンテンツ

 本作には、メインのクエストとなる「仁之道」の他に、サブクエストやランドマーク巡り、コレクションアイテム収集など、コンテンツが豊富に用意されています。進行の自由度はかなり高く、一心不乱に「仁之道」を突き進むも、寄り道しながら対馬を楽しむもプレイヤー次第です。ストーリー進行によってイベントが消えるなど、取り返しの付かない要素はほとんどなく、進むか留まるかの選択に悩む場面が少ないのは助かりました。

 ボリュームは、寄り道の多い少ないによって大幅に変動するとはいえ、「仁之道」だけでも十数の長大なイベントが用意されています。ランドマークやコレクションアイテムのコンプリートまで目指すと相当なボリュームで、必要になる総プレイ時間は計り知れません。私の場合、主だったサブクエストのクリアと、主人公の成長に直結するランドマークを全て巡るまで遊んで、ストーリークリアまで約45時間でした。

 主人公に経験値やレベルといった概念はなく、クエストクリアで得られる名声によって成長していきます。直接ステータスが上昇するだけでなく、技量という形でポイントをスキルツリーに割り振る要素も存在しました。スキルツリー形式とはいえ長く伸ばしていく要素は少なく、基礎スキルはストーリー進行で解放されるため、どの部分を優先的に補強するかというイメージです。最終的には全て解放できるようになっており、「武士」「冥人」のどちらかで戦うのではなく、手段を選ばず戦うストーリーが育成要素にも反映されていると感じました。

爽快感と手応え重視の剣劇アクション

 刀で戦うアクションゲームと聞けば、高い難易度を想像するところですが、本作の戦闘は爽快感と手応え重視の難易度です。力押しだけで倒せるほどぬるくはないものの、丁寧に戦えば、敵をバッサバッサと切り捨てられます。回復できる機会も多く、死んでもチェックポイントから即再開できるため、ストレスを感じることはほとんどありません。ステルスプレイでも、敵の警戒が程よくザルなので、気持ちよく隠れて進めました。難易度調整も用意されているため、物足りない場合や、アクション自体が苦手な方でも安心です。

 戦闘システムは、「武士」として刀や弓で戦うアクションと、「冥人」として暗殺や道具を使ったアクションが用意されています。特定の条件が定められているイベントを除いて、どちらかにこだわる必要はなく、全てを駆使して目的を達成できれば問題はありません。真正面から乗り込んで一騎打ちを挑むも、見つからずに拠点の敵を排除するも、全てはプレイヤーの自由です。主人公が見つかると捕虜が殺されてしまう状況でも、殺される前に詰め寄って殺してしまえば、捕虜は無事で目的は達成されます。

 「武士」としての剣戟アクションは、殺陣のような流れる動きもあって爽快感抜群です。最初こそ、敵を視点固定できないゲームシステムに戸惑ったものの、基本は多対一や乱戦になるため、慣れれば遊びやすいくらいでした。同様に、敵の兵種に合わせて4つの型を切り替える点も面倒だったのですが、成長するにつれて特攻性能が顕著になるので、切替えと連撃の繰り返しで敵を撫で斬りにする快感が味わえました。

 戦闘中、「武士」と「冥人」のアクションを組み合わせるには、少し操作が複雑すぎた点は残念でした。剣の型が4種類に加えて、10種類のサブウェポンが存在するため、配置を覚えるだけでも一苦労です。切替え中も時間は少し遅くなる程度なので、無理に使おうとして、逆に苦戦を強いられる場面も多かったです。結果的に、使いこなして戦うよりも使わず切り抜ける方向に立ち回ってしまい、もう一工夫が欲しいと感じました。

さいごに

 海外のディベロッパーが開発する日本を描いた作品ということで、若干の不安はあったものの、ゲームとしては満足度の高い評価でした。細かいところまで突っ込んでいくと、違和感は数多く存在しますが、そういう世界観だと納得できる範囲に収まっています。「元寇」という題材が存在するとはいえ、オリジナルの部分が多いこともあって、時代劇ファンタジーくらいの気持ちで楽しむのがちょうど良い作品でした。