ジャンル | ドラマティック討伐アクション |
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ハード | PlayStation 4 |
発売日 | 2018年12月13日 |
発売元 | バンダイナムコエンターテインメント |
開発元 | バンダイナムコエンターテインメント マーベラス |
公式サイト | リンク |
プレイ時間 | ストーリークリアまで24時間 |
新たな世界観で紡がれるドラマティック討伐アクション「GOD EATER 3(ゴッドイーター3)」のレビュー記事です。
ゴッドイーターシリーズのナンバリング第3弾となる本作。初代を意識しつつも再構築された世界観や、大きく変化したアクションと育成要素など、見どころは満載です。インパクト抜群のアラガミも多数登場するため、充実したアクションとストーリーを堪能することができました。
開発会社が変わったことに、一抹の不安はありました。しかし、実際にプレイしてみると大きな不満もなく、それどころか秀逸と感じるバランスで総合的に見ても高評価でした。発売時点ではやり込み要素の不足が目に付いたものの、アップデートまで視野に入れると長く楽しめそうな作品です。
新たな世界観で紡がれるストーリー
フェンリル崩壊後という、これまでのシリーズから大きく時代の進んだストーリーは、世界観自体が再構築されています。もちろん登場人物は一新。新たなヒト型アラガミが重要な役割を持って登場するなど、初代を意識しつつも、全く新しいゴッドイーターが始まった印象でした。
メインキャラクターたちの多くは、幼い頃から奴隷のような生活を過ごしてきたので、細かい過去の掘り下げは控えめです。代わりに、自分の手で未来をつかむために戦うストーリーが紡がれていきます。これまでのシリーズでは、人間関係や過去に囚われた人物が多かったので、かなり対照的でした。
明らかに歴代作品と関係のありそうなキャラクターも登場するのですが、本編では最後まで謎のまま終わるため、少しわだかまりが残りました。中途半端にシリーズのつながりを示唆されてしまうと、過去の登場人物たちがどうなったのか気になるため、DLCなどで明かされることを期待です。
新旧多彩なアラガミが登場
時代や世界観の変化に伴って、新たに発生したアラガミが多数登場します。ブースターと二刀流を装備して、刀からビームを撃ってくるロマンの塊「ハバキリ」や、バリアで攻撃を防ぎながら遠距離から攻めてくる「グウゾウ」など、いずれも特徴的なアラガミばかりです。
その中でも、プレイヤーを捕食することでバーストを行う「灰域種」のインパクトは抜群でした。思いついても避けていたであろう手札を切ってきただけあって、演出にもかなり力が入っています。バーストされることで危機に陥ってしまうものの、盛り上がりも最高潮に達しました。
過去のシリーズに登場したアラガミも数多く登場するため、新旧併せて40種類以上とかなり豊富です。残念ながらアラガミ世界のインフレは激しく、歴代作品のカンバンであったアラガミや「感応種」ですら、大したことはないアラガミ扱いになっていて少し寂しさを感じました。
大きく変化を遂げた育成要素
刀身に「バイティングエッジ」と「ヘヴィムーン」が加わって8種類になったことで、装備の組合せは100パターン弱まで増加。更に「バーストアーツ」「アクセルトリガー」といった、熟練度で性能が上昇していく選択式スキルも複数存在するため、プレイスタイルは千差万別です。
荒廃の進んだ世界観に合わせて、装備の強化・合成に「設計データ」が必要となったことも大きな変化です。若干の煩わしさを感じるものの、入手できるミッションが明示されているため、ストーリーの合間にフリーミッションをプレイする良い動機付けになっていました。
「遺された神機」は大幅に弱体化しました。スキルの種類が少なく、全て単一スキルになったので、選択肢は限られています。その分、神機側にユニークな「バーストプラグイン」が用意されており、インストール可能枠も神機ごとに異なるため、組合せを意識したカスタマイズが重要になりました。
秀逸なバランスで構築されたアクション
プレイヤーの弱体化に対してアラガミが強化されたからといって、高難易度になった訳ではありません。むしろ、歴代シリーズの中でも秀逸なバランスです。適切な装備で挑めば、常に程よい難しさを楽しめます。新アクション「ダイブ」によって、これまでにない動きが可能になったことも大きいです。
「灰域種」のバースト化は初見殺しの毛色が強いとはいえ、無線での状況解説もあって、訳もわからず死ぬといったことはなかったです。バースト中は強化と同時に弱点が露出する仕組みとなっており、アラガミの動きに慣れてくれば、バースト化が逆にチャンスとなる面白さも備わっていました。
開発会社の変更によって不安はあったものの、高評価で安心したというのが率直な感想でした。強いて不満を挙げるとすれば、空中でアラガミや地形に引っかかってしまう不安定な挙動です。私のプレイスタイルが常に空中戦ということもあって、頻繁に遭遇しました。可能であれば修正してほしい部分です。
気軽に8人マルチが楽しめる強襲討伐
新たに追加された「強襲討伐」は、これまでハードルの高かったマルチプレイが一気に身近になったミッションです。討伐対象を選ぶだけで自動的にマッチングされるため、気軽に参加することができます。最大8人という大人数のため、個人の負担も少なく、かなり遊びやすいです。
参加しやすくなった代わりに、育成要素の一部は強襲討伐のプレイが必須になっています。ここでしか入手できない「設計データ」が存在するだけでなく、新要素「エンゲージ」の種類を増やすには強襲討伐に参加するしかありません。薄いつながりとはいえ、オンラインが苦手という人は注意が必要です。
最大で8人まで参加可能ですが、討伐に慣れれば、少人数やシングルでもクリアできるバランスになっている点も好印象でした。もちろん、手練れの神機使いが8人そろえば圧倒的に早く討伐可能ですが、人の少ない時間帯でも気にせず挑戦してクリアできるのはうれしいです。
やり込み要素は今後に期待
レビューを書き始める前に一通り遊び尽くしたのですが、現時点でのやり込み要素は物足りない感触でした。特に、「遺された神機」の強化がマイルドになってしまったおかげで、私のように1種類の神機を集中的に使用するスタイルの場合、早い段階で育成が成熟してしまいます。
鍛えたキャラクターで挑戦するミッションが存在しないことも問題です。「灰域種」自体は脅威ですが、理不尽というほどではなく、慣れてくると意図的に捕食を受けて討伐時間の短縮を試みる余裕さえあります。難易度調整も未実装のため、現時点ではソロプレイくらいしか挑むべき目標が見当たりません。
やり込み要素が不足していることは開発側でも想定しているのか、発売前の段階でやり込み用のミッションやシステムの追加が発表されています。その他にも様々なアップデートを検討しているらしいので、今は牙を研ぎながら続報を待ち焦がれるしかない状況です。
さいごに
プレイヤーのインフレが激しすぎた前作から、シリーズがどの方向に向かっていくのか見えなかったのですが、世界観の再構築に合わせて正常なバランスに戻ったことはうれしい限りです。アクション部分も変更しすぎず、かといって飽きさせないアクセントは用意されており、うまく作り込まれている作品でした。
今後は、アップデートの情報が発表されるまで、フレンドとのマルチなどで緩く遊ぶ予定です。歴代作品では追加パッケージだった拡張版も、今作からはDLC形式で配信されることが明言されているため、長く遊び続けられる作品に成長してくれることを期待しています。