ジャンル | RPG |
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ハード | PlayStation 4 |
発売日 | 2020年4月10日 |
発売元 | スクウェア・エニックス |
開発元 | スクウェア・エニックス |
公式サイト | リンク |
プレイ時間 | ストーリークリアまで30時間 |
スクウェア・エニックスがおくるFF7リメイクの第1弾「FINAL FANTASY VII Remake(ファイナルファンタジー7 リメイク)」のレビュー記事です。
23年越しのリメイクにして、分割作品形式を取っている本作。第1弾で楽しめるのは、FF7全体の序盤に当たる「ミッドガル脱出」までの物語です。オリジナル版では数時間の内容でしたが、膨大な量のコンテンツ追加が行われており、約30時間の十分なボリュームが用意されています。終盤に掛けてはストーリーも再構成されているため、分割された状態でも未完結の印象は薄く、しっかりと盛り上げてくれました。
大幅に進化したグラフィックで描かれるキャラクターや風景も必見です。想像や資料で間接的に補完するしかなかった世界観が、まるで現実のようなクオリティで広がっています。大小様々な変更点やサプライズによって、オリジナル版をプレイ済みのプレイヤーでも未知・未体験の部分が多く、グラフィックの進化だけではないリメイクに仕上がっていました。
目次で流し読み
ミッドガル脱出までを再構成したストーリー
「ミッドガル脱出」までを描いたストーリーは、単純にグラフィックが進化しただけでなく、様々なイベントの追加が用意されていました。既存キャラクターの掘り下げや、新たなキャラクターの登場で、物語は深みを増しています。オリジナル版の序盤を切り取った分割作品ですが、一部のイベントや演出を前倒しで収録しているため、単独作品としての盛り上がりも十分でした。終盤には、オリジナル版に存在しなかったイベントが大量に追加されており、一区切りが付くので未完結の印象も薄いです。
FF7という作品全体の構成としては序盤に当たるため、様々な謎を残したままで終わることは想定通りです。しかし、リメイク版で新たに生まれた謎や疑問も存在します。私自身、オリジナル版を含むシリーズ作品を一通りプレイ済みですが、ストーリーが進むにつれて未知の部分が多く見受けられました。プレイ開始当初はグラフィックの進化を中心に楽しむつもりだったものの、クリア後はストーリーの続きが気になって仕方ありません。
もちろん、FF7シリーズにおける1作目のリメイクなので、本作はオリジナル版を未プレイでも楽しめる作品です。初めて触れる印象は、想像で語ることしかできないですが、ストーリーに見入ってしまうと同時に、謎だらけの状況に少し混乱するかと思います。次回作が発売される時期は未定のため、プレイされる方は気長に楽しむつもりで遊ぶのがおすすめです。オリジナル版をプレイすることでリメイク版の見え方が変わるため、続きが気になる方は、オリジナル版と併せて遊んでみるのも一興かもしれません。
コンテンツ追加で約30時間に増量されたボリューム
オリジナル版では、決してゲーム1本分ではなかった内容は、コンテンツの追加によって約30時間のボリュームに増量されています。進化したグラフィックによるムービーだけでも相当量になっており、見応えは抜群です。メインストーリーのミッション以外に、何でも屋として活動するサブクエストや、ミニゲームも豊富に存在します。ストーリーに影響を及ぼしたり、掘り下げにもつながったりするので、可能な限りクリアしようと思える内容でした。
メインストーリーのミッションは、基本的にオリジナル版と同じ流れで進行するものの、密度は大きく異なります。ただ通りすぎるだけだった場所も、イベントや演出が数多く追加されていました。マップを使い回すような水増しはなかったものの、長い通路を歩きスイッチを押してまわるギミック系イベントは満載で、うんざりする場面も少なくはありません。ゲーム内での一晩を描いたイベントが、現実の時間で軽く一晩以上掛かってしまうという、テンポを損なう問題も見受けられました。オリジナル版の展開を崩さず、一定水準のボリュームを備えるため、詰め込みすぎた結果という感触です。
圧倒的なグラフィック・スケールで描かれる世界観
リメイク版で一際目を引くのは、23年のときを経て、大幅に進化したグラフィックです。想像で補完していたクラウドたちの姿が、現実になったといっても過言ではありません。アクションに魅入ってしまうだけでなく、ティファやエアリスの姿に見惚れる場面も多かったです。
グラフィックの進化は世界観の構築にも一役買っています。中でも、壮大なスケールのミッドガルはすさまじく、見所が満載でした。時間帯やストーリー進行による変化も多いので、カメラを動かして見回すだけでも相応の時間を楽しめます。移動中は、街中で話す人々の声が聞こえてくるため、自然と生活感が伝わってくるのも良い演出でした。オプションで変更すれば、人々の声をトークログとして表示できるのもうれしかったです。
アクションとコマンドを組合せた新バトルシステム
本作のバトルシステムは、通常攻撃や回避などのアクションと、アビリティや魔法といったコマンドを組合せた、オリジナル版とは大きく異なる形になっています。コマンド使用に必要なATBゲージは時間経過と通常攻撃で増加するため、アクションで立ち回りつつ、的確にアビリティや魔法を使用していくのがバトルの基本です。戦闘中は自由に操作キャラクターを変更できるので、めまぐるしく変化する戦況に合わせて、操作するキャラクターを切り替えていくのも重要でした。
コマンド選択中は時間経過が遅くなるとはいえ、それ以外は全てリアルタイムで進行するため、スピーディーな操作が求められます。事前にショートカットをセットすることも可能ですが、こちらは時間経過が変化しないため、使いこなすには配置の工夫と記憶が必要でした。忙しい操作は苦手という方には、アクション部分がオートに変わり、コマンド使用に集中できる「クラシックモード」も用意されています。
登場するエネミーの大半は、それぞれ攻略法が用意されており、ボスなどの強敵は力押しで倒すのが難しいです。特に、相手の情報を確認できる「みやぶる」は必須のアビリティで、未使用での手探りによるバトルは苦戦必至でした。「みやぶる」で得たヒントを参考に、エネミーの動きを観察して、効果的なアクションを行うのが攻略のポイントです。良くも悪くも本作のバトルは全て固定パーティーのため、相応に育成を行っていれば、構成で詰むことはありませんでした。
固定パーティーでもカスタマイズ幅は広い各種育成要素
育成要素は、一般的な経験値によるレベルアップ以外に、武器の強化とマテリアの成長が存在します。強化の方向性や、マテリアの組合せ次第で、キャラクターのカスタマイズ幅は広いです。残念ながら分割作品化の影響で、プレイアブルキャラクターは4人しか登場せず、編成もストーリーに沿って固定ですが、パーティーメイクには工夫の余地が用意されていました。
武器の強化は、キャラクターのレベルアップで獲得したSPを消費して、スキルを開放していくシステムです。新しく入手できる武器は上位互換ではなく、開放できるスキルも武器ごとに異なります。プレイスタイルによっては、初期装備が最終武器になる場合もありました。事前に方向性を決めておくことで、自動的に強化する機能も用意されており、武器の所持数が増えてくる中盤以降も強化は快適です。
他にも、武器には固有のアビリティが存在しており、一定の熟練度を獲得することで、キャラクターのアビリティとして覚えることもできます。熟練度自体は過剰な回数ではなく、チュートリアル程度の要求数で、効果的に使用すれば短縮も可能です。覚えるためだけに使ったアビリティが、後々のボス戦で存在を思い出して大活躍することもありました。
マテリアの成長は、装備して戦闘することでポイントが蓄積する形式です。一定数のポイントを集めることで、新たな魔法を覚えたり、効果が上昇したりします。成長度はマテリア自身に紐付いており、付け替えるだけで誰でも効果を発揮できるため、いろいろと育てて組合せを試行錯誤するだけでも面白いです。マテリアの所持数や装着できる数が増えてくると、管理が煩雑になってしまったのは、少し残念でした。パーティーメンバーの入れ替わりが発生するたびに、希少なマテリアを付け替える必要があったので、もう一工夫が欲しかった部分です。
さいごに
発売前の期待が高かった分、細かいところまで粗探しをしてしまいがちでしたが、総評としては高評価でした。強いていうなら、ゲームらしい部分よりも、グラフィック・ストーリーが評価を大きく引き上げた印象です。次回作が出るのは何年後か、完結するのは十数年後かという不安はあるものの、早く続きを遊びたいという気持ちが強い作品でした。